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http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011031_2.html
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http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011206_2.html
http://www.soumu.go.jp/s-news/2001/011221_7.html
未使用のままリソースが大量に保留されているというのは、いったいどういう状況なのか? イー・アクセスが、コロケーションの可否調査でNG回答を受けた東京大崎局を立ち入り調査したところ、約70ラック分に相当するスペースが一事業者によって確保。しかし、すでに設置済みのラックのうち電源が入っていたのは4ラック、さらに使用されていたのは2ラックだけで、60ラック程度のスペースが未使用状態だったという。もしもこのスペースをすべて使用した場合、収容できるADSLサービスは約6万7,200回線に相当する。大崎局の収容加入者数である約5万回線を超える、過剰なスペースを押さえているとイー・アクセスは指摘する。
なるほど、こういった状況を考えれば、「できればリソースを開放するなど、自主的に融通してもらいたい」(イー・アクセスの千本社長)というのもうなずける。
しかし、ビー・ビー・テクノロジー(BBT)は、「計画に変更があって自主的に開放することはあり得る」(孫社長)としながらも、あくまでも保留しているリソースは新規事業のためのものであると主張する。「(ヒアリングの前日に発表されたBB Phoneなどで)需要が急激に伸びることも考えられる。未発表の事業も多々ある」のだという。また、「将来に向けての事業計画を競争相手に開示するのはよくない。利用実績をチェックするにしても、新事業については10カ月程度の準備期間がある」として、未着工分の保留リソースを再配分する仕組みや利用実績に応じたリソースの割当制度には真っ向から反対した。
確かに需要の公正な判断が難しいことは事実であり、上限設定を意見したアッカ・ネットワークスもこの点は認めていた。ただし、ヒアリングの後半には「事業計画を見せる必要はないが、いつまでに工事をするかは示す必要があるのではないか」(アッカ・ネットワークスの坂田社長)と反論している。ここにきて、ヒアリングの焦点は、もはや約款変更というよりは、BBTの保留するリソースそのものとなったようだ。
もっとも、今回の“コロケーション差し押さえ合戦”でいちばんまいっているのは、東西NTTだろう。「e-Japanでは2005年までに4,000万世帯への高速回線提供をうたっている。たかだかこの程度でリソースが枯渇すること自体が問題」(孫社長)だとして、本当に枯渇しているならば、事務所用の空きスペースの転用や老朽化した設備の撤去などの「代替案」を講じるべきとの考え方に対して、「リソース“そのもの”は十分にあるんですよ」(NTT東日本の佐々木相互接続推進部長)と弱々しく繰り返す姿からもそれはうかがえる。
佐々木部長によると、例えば事務室を機械室に変更するとなると、36平方メートルで約7,000万円程度かかる。また、電源のリソースが不足している東京の90ビルで設備を交換するだけで約20億円が必要だという。経営合理化の課題を背負う東西NTTにとって、大きなリスクが発生する設備増設という方法は、なんとしても避けたいところだ。そもそも、電源にしろラックスペースにしろ、既存の設備で保留状態にあるリソースがかなりあるのだ。あくまでも東西NTTは「既存リソースの利活用を図る」ことで、問題を解決したいのである。
公開ヒアリングから2日後の21日、情報通信審議会は、条件付きながらも約款変更を認可するのが適当との答申をまとめた。総務省では、申請内容の補正が行なわれしだいこれを認可する予定である。既存リソースの効率的利用を狙った保留期間の短縮化施策は、とりあえず実現することになる。
とはいえ、これで問題がすべて解決するわけではない。(以下後編)
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※本記事は当初全2回の予定でしたが、21日に出された情報通信審議会の答申の内容などを盛り込むため、全3回に延長することとしました。ご了承ください。
(2001/12/22)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]