【新製品】

マクロメディア、「Flash MX 日本語版」を発表~Webは"Browsing"から"Doing"へ

■URL
http://www.macromedia.com/jp/software/flash/

 マクロメディア株式会社は7日、Webデザインソフト「Flash 5」の後継ソフトとなる「Macromedia Flash MX 日本語版」を3月29日に発売すると発表した。標準価格は5万8,000円、アップデート版は1万9,800円。対応OSは、Windows版がSE/Me/NT4/2000/XP、Macintosh版がMac OS9.1以降、OS X 10.1以降。

 Flash MXで追加された主な機能としては、ビデオコンテンツをライブラリーに取り込んでFlashファイルの中で再生することが可能になった点が挙げられる。これにより、デザイナーは、動画を変形させたり、拡大・縮小が自由に行なえるようになった。スクリプトと組み合わせたり、特殊な撮影法を用いることで、ユーザーが任意に、映画「MATRIX」風の回り込む視点を持った動画を楽しむこともできる。

 また、これまでFlashのライブラリーに取り込んで利用していたJPEGなどの画像ファイルやMP3などの音声ファイルを、外部からリアルタイムに取り込んで再生する機能も追加された。この機能を使うことで、Web管理者はFlashファイルを更新することなく、素材ファイルを差し替えるだけでコンテンツをリニューアルすることができる。コーデックには、Sorenson Sparkを採用した。

 Flash MXでは、デベロッパー向けの機能も強化された。まず、従来のデザイナー向けパネルレイアウトに加えてデベロッパー向けのレイアウトを標準で搭載。パネルレイアウトは自由に切り替えて使えるだけでなく、パーソナライズも可能だ。スクリプトのデバッガー機能も強化された。さらに、スクロールバー、ラジオボタンなどユーザーインターフェイスがコンポーネントとして提供され、ドラッグ&ドロップで簡単に配置できるようになった。UNICODEにも対応し、11言語を扱うこともできる。

デザイナー向け
レイアウト
デベロッパー向け
レイアウト

左側のコラムで宿泊日と人数を入力すると、真ん中に宿泊費が表示される

 7日に行なわれた記者発表会では、さまざまなデモが行なわれ、同社が提案する“ミラクル・エクスペリエンス(MX)”の一端を垣間見ることができた。まず、米国のホテルのWebサイトで使われている宿泊予約サービスでは、従来「宿泊予定日選択」「部屋のランク選択」「約款への同意画面」「クレジット情報など個人情報の入力」「予約確認画面」といった5ページで構成されていたサービスを、1枚のFlashだけで完結するデモが行なわれた。宿泊予定日や人数などの入力情報は、リアルタイムにWeb上に反映され、「予約完了までに3分かかっていたものが、1分に短縮された」という実績があるという。

 また、動画に関するデモでは、Disneyが提供しているMATRIX風の動画サービスのほかに、ソニー・ミュージックエンタテインメントなどが作成中のFlash MXコンテンツが紹介された。株式会社カプコンでは、PlayStation2用ゲーム「鬼武者2」のWebサイトをすでにフルFlash化、近いうちにFlash MX化する予定だ。また、ミスターチルドレンの公式サイトで開発中のコンテンツは、1画面上に同時に4つの動画を表示させ、マウスを載せた動画の音声を再生させるというもの。これらは、ユーザーが自由に場所を動かすこともできる。

 今後、マクロメディアでは、バックエンドのサーバー製品となる「ColdFusion MX」の発売を予定している。これにより、Flashはアニメーション作成ソフトから、Webアプリケーション開発ソフトへと完全に様変わりする。実際に、Flash MXコンテンツ上で、ビデオチャットを行なうデモも行なわれた。

 マクロメディアの井上基代表取締役は、「Webは、未だにどれも同じような構図で退屈だし、ECは面倒くさい。Flash MXによって、新たなインターネット環境を提供することができる」と語り、また米MacromediaのStephen Elop上級副社長は、「今までのインターネットは、見る(Browsing)だけで受動的なものだった。Flash MXによって、アプリケーションとリッチメディアが融合したリッチアプリケーションが登場し、インターネットはユーザーが行動(Doing)するものへと変わるだろう」と語った。

井上基
代表取締役
Stephen Elop
上級副社長

 なお、Flashコンテンツを再生するFlash Playerは、同社によるとインターネットにつながった98%のPCにインストールされているという。さらに、NOKIAの携帯電話型PDAや、ソニーのインターネット対応液晶テレビ「エアボード」にも搭載されるなど、ノンPC分野へも裾野を広げている。

NOKIAの
携帯電話型PDA
エアボード

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(2002/3/7)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


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