【実証実験】

高速無線LANを使って、バスにニュースや動画コンテンツを配信する実験

■URL
http://www.yrp.co.jp/awa/index.html

 横須賀リサーチパーク(YRP)研究開発協議会AWA共同実験グループは14日、伝送速度36Mbpsの高速無線LANシステムを利用して、ニュースや動画コンテンツをバスの中で視聴できる「NEW's Media」配信実験を行なった。

 実験では、新聞社などのコンテンツホルダーから提供された情報を大手町のサーバーに蓄積し、これをJGN(Japan Gigabit Network)を通じてYRP内のサーバーに配信する。次に、YRP内のサーバーから5GHz無線LAN(HiSWANa)を使って館内のPDAやPCに情報配信すると同時に、25GHz無線アクセスシステム(HiSWANb)を使ってバスの中に設置したサーバーにデータを転送する。バスの中では、HiSWANaを使って移動中でもコンテンツが楽しめるようになっている。

実験概念図 スループット特性比較

 HiSWANaは、AWA(Advanced Wireless Access System)とも呼ばれ、NTTが2001年3月より東京・渋谷で行なっていた公衆無線アクセス実験「Biportable」で使われていた。「NEW's Media」で使われているPDAや無線カードなどは、「Biportable」で実際に使われていたものだ。現在、5GHz帯無線LANの屋外使用に関して総務省で検討が行なわれているが、対抗技術となるIEEE802.11aに比べると、1アクセスポイントあたりの接続端末数が多くなっても、伝送能力が落ちないという利点があるという。一方、バス停とバス車内を結んでいるHiSWANbは、最大伝送速度400Mbpsが可能だ。

HiSWANaの基地局 バス停に設置された
HiSWANbの基地局
バスの車内に置かれた
HiSWANaの基地局(左)と
HiSWANbの基地局(右)

 実際にバス車内のデモ端末(PDA)を使って動画コンテンツを再生してみたところ、若干カクカクと再生される印象を得た。これは、PDA側の処理能力によるものだという。実験に協力しているNTT研究所によると、「現在使われている設備はあくまで試作機なので大きいが、商用化のためには小型化が必要。今回の配信実験は、高速無線システムの使い方の提案という側面が強い」という。この実験を踏まえて、2002年度中には京浜急行電鉄株式会社の電車内や駅構内で同様の配信実証実験が予定されている(時期は未定)。

バス車内のノートPC PCカード型無線カード PDA端末

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(2002/3/14)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]


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