【レポート】

地域ISPの発展は地域密着型の営業力がカギ
~JAIPA、地域ISPの集いを開催

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TOKAI 村松邦美氏

 12日、社団法人日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)の地域ISP部会主催によるセミナー「第10回地域ISPの集い in 静岡」が静岡市にて開催された。「地域ISPの集い」は、地域ISP関係者を対象としたもので、講演会やセミナー、懇親会などが行なわれる。

 今回、静岡で開催された「地域ISPの集い」では、地元のISPとして、株式会社TOKAIの情報通信本部長ネット営業特需部長 村松邦美氏が登場し、「地域ISP発展の戦略」と題した講演が行なわれた。

 TOKAIは、静岡県内への都市ガス、また東京都内ではLPガスの提供のほか、不動産、住宅設備機器の販売、ブライダル事業も手がけている。また最近では、情報関連事業としてソフトウェア開発やCATV事業も展開している。村松氏は、情報事業に進出した理由として、「日本の総人口と世帯数の減少」を挙げた。各研究所などの予測によると、2010年をピークに人口と世帯数は減少。それに伴い、ガスやブライダル事業は縮小すると危惧したという。

 同社の情報通信産業への参入は、1968年のLPガスの配送管理システムの管理に始まる。1988年にはCATV事業、1996年にはダイアルアップによるISP事業、1998年にはCATVインターネットをそれぞれ開始し、さらに2001年にはADSL接続サービスの提供も開始した。ADSL接続サービスにおいては、自社で運営するISP「TOKAIネットワーククラブ」はもとより、@nifty、BIGLOBEなどへのホールセールを行なっており、現在は静岡県内で93収容局、関東エリアでは208局をカバーしているとのこと。静岡県内におけるADSL接続のシェアは43%(県内69,000世帯のうち30,000世帯)となりNTTよりも高い数字となっている。

 同社の特徴としては、自社が所有する2001年5月に完成した名古屋~東京間323kmの光ファイバー網(200芯程度)が挙げられるという。光ファイバーの敷設には国土交通省が所有する共同溝や小田急線を利用している。接続先にはJPIXも含まれており、自社他社を問わず東海地区に一次プロバイダーとして回線を提供。これにより、従来は1Mbpsあたり月額20万円程度のバックボーンコストがかかっていたが、現在は10万円弱になったという。

 これらのサービスを提供するにあたり、同社が強みを見せたのが“地域密着型の営業”である。ADSL事業においては、ガスやCATVなどの従来からある営業所も重要な拠点であったという。2001年度の会員獲得数は、パソコンショップやADSLの専門営業所などの「専門分野」での獲得が28,000件あったほか、ガス関連機器の販売店やCATV局などの「既存事業・関連会社」では17,000件にのぼったとのこと。

 最後に、同社は地域に密着した営業を展開してることを強調。ガスなどの販売店にも情報事業への進出を理解してもらい、さらなる発展を遂げていくと述べた。

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(2002/4/12)

[Reported by adachi@impress.co.jp]

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