■URL
http://www.butterfly.net/buzz/releases/index.html
http://www-916.ibm.com/press/prnews.nsf/jan/C059214DBC2D016185256BB4004632D9
米Butterfly.netと米IBMは9日、オンラインゲーム市場に分散コンピューティング環境「Butterfly Grid」を提供すると発表した。これは、コンピューター資源を配分することで、百万人以上のユーザーが同時にオンラインゲームに参加できる環境を提供するもの。Butterfly.netは5月21日から米ロサンゼルスで開かれるゲーム・マルチメディア関連トレードショー「Electronic Entertainment Expo」(E3)において、同システムのデモを行なう予定だ。
Butterfly.netはこの2年間に渡り、IBMのeビジネス用インフラ技術を用いてサーバーネットワーク間でゲーム処理を分散するシステム「Grid」を構築。これにより、インターネット上で百万人ものユーザーが同時にオンラインゲームに参加できるようにした。Gridは、同社の非公開ネットワークで運用されるため、セキュリティを確保している。
同社はオンラインゲーム提供会社に対し、Butterfly Gridクライアントソフトのライブラリを提供する。このライブラリは、携帯機器やPC、家庭用ゲーム機からGridに接続するためのサンプルコードを含み、同社サイトで配布されている。
オンラインゲームではこれまで、ユーザーが分散したサーバーに配分されるため、相互にプレイできるユーザー数が限られていた。また、第一世代のゲーム技術では、1台のサーバーがダウンしたりパッチを当てている場合には、ゲームが中断されていた。Butterflyが提供する第二世代のGrid技術により、オンラインゲーム会社が信頼性の高い最新のゲームを、同時に数百万人に提供可能になるという。
IBMのGlobal Servicesで副社長を務めるScott Penberthy氏は「Butterfly Gridは、サーバーのマルチキャストネットワークに渡って、オンラインゲームの処理機能を提供する革新的なシステムだ。これにより、高性能な3Dゲームに対応するコンピューター資源を効率的に利用できる。我々は、Butterfly Gridが娯楽やメディア、ゲームなどの企業に経費削減をもたらし、オンラインでよりよい娯楽機能を提供するものと信じている」とコメントしている。
Gridのような分散コンピューティング環境は、一部で商用化の動きがあるものの、そのほとんどはゲノム解析や核爆発のモデリングなどの学術研究に利用されている。Butterfly.netはオンラインゲームという成長市場にGridを提供することで、Grid技術の商用化に成功するかどうか、今後が注目される。
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(2002/5/9)
[Reported by hiro@nakajima-gumi.net]