■URL
http://www.eaccess.net/jp/press/2002/pr020528.html
http://www.japan-telecom.co.jp/
(左)イー・アクセス千本 倖生社長 |
説明を行なうイー・アクセス |
日本テレコム株式会社とイー・アクセス株式会社は28日、日本テレコムが運営する個人向けADSL事業「J-DSL」をイー・アクセスに約55億円で営業譲渡することで合意したと発表した。これによりイー・アクセスは、CLEC(新興通信事業者)中最大規模の加入者数を得ることになる。なお、設備の譲渡は2002年6月中、既存加入者のネットワーク移行は年内に完了する見込みとのこと。
今回日本テレコムとイー・アクセスとの間で契約された主な内容は、以下の3点。
・個人向けADSL回線事業の営業譲渡
・イー・アクセスからODNへのADSLホールセールの開始
・日本テレコムからイー・アクセスへのバックボーンの提供
まず、「個人向けADSL回線事業の営業譲渡」には、現在日本テレコムがADSLサービスを提供している842局舎におけるDSLAM(集合型DSLモデム装置)などNTT局舎内設備の譲渡も含まれる。これにより、イー・アクセスは提供局舎数が現在の473局舎から875局舎へと大幅に増加する。提供地域でいうと、現在の東名阪などの主要都市周辺地域から全国規模へと拡大し、国内インターネットユーザーの約8割をカバーするという。譲渡後の加入者数は、5月末見込みでイー・アクセスの約31万件と日本テレコムの約21.5万件をあわせて約52.5万件となり、NTT東西の次に当たる約19%のシェアへと拡大する。
また、今回の営業譲渡により、イー・アクセスがホールセールを行なっている約30社のISPにODNが加わることとなる。これに従い、ODNでは7月初旬よりイー・アクセスのADSL回線を利用したサービス「ODN ADSLプラン」の販売を開始する。価格は、8Mbps対応で月額2,880円の予定。
上記に加え、「日本テレコムからバックボーンの提供」が行なわれることにより、イー・アクセスでは現在のサービス提供地域から更なる拡大が見込めるという。この点について、イー・アクセスの千本 倖生社長は「今まで提携先のISPにさんざん、『なぜ、全国でサービス提供を行なわないのか?』という要望を言われてきた。その一因としては、バックボーン不足があった。今回、日本テレコムのバックボーンを利用できるようになることによって、全国規模でのサービス提供ができるだろう」と語っている。
なお、既存の日本テレコムの個人向けADSLユーザーに対しては、日本テレコムが契約関係を引き続き継続するため、サービスにおける影響はなく、ユーザーは特別な継続手続きの必要もないとのこと。
今回の営業譲渡によってイー・アクセスは、875局舎でのサービス提供を開始するが、この譲渡によって多くの局舎で両社のDSLAMが重複して設置されている局舎などが出てくる問題や、両社の設備の互換性の問題が出てくる。この点について、イー・アクセスのCTOエリック・ガン氏は「今回の営業譲渡について、最も大きかったとも言える点は局舎内設備の点だ。幸い、局舎内設備は両社とも住友電工製のものを利用しているので、その点に関しては全く問題がない。また、現在のADSLの爆発的普及の速度を考えると、局舎内設備は足りないことがあっても、余ることはまずないだろう」と語った。
最後に、千本 倖生社長は「今回の営業譲渡により、イー・アクセスはCLEC中1位の事業者になり、またNTT西日本にも迫る加入者数となった。この『規模の経済』によるコスト上のメリットを享受できるほか、日本テレコムの良質なバックボーンを得て全国にサービスを提供できるメリットは大きい。今後は、更なる事業の拡大と企業価値の向上を目指していきたい」と語った。
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(2002/5/28)
[Reported by otsu-j@impress.co.jp]