【調査結果】

NTT東日本のADSL速度推定システム
的中率は7割以上だが……

■URL
http://www.dlqs.jp/

 NTT東日本が今年2月から実験提供している「ADSL伝送速度事前推定システム」の的中率は7割以上になることが明らかになった。

 推定システムは、アナログモデムで試験サーバーにダイヤルアップ接続した際の信号劣化の状況をもとに、ADSL接続の速度を事前に推定しようというもの。専用の測定ソフトをダウンロードすることでユーザー自身で操作でき、推定結果が電子メールで送られてくるようになっている。NTT東日本が通信・放送機構(TAO)の委託研究プロジェクトの一環として取り組んでいるもので、5月29日に東京都内で開催されたTAOの研究発表会で中間報告が発表された。

 推定システムを公開した2月12日から4月29日までの約2カ月半の間、ウェブサイトには約1万7,000件のアクセスがあった。NTT東日本では現在、この実験を通じて収集したデータをもとに推定値と実測値を比較しており、推定精度を検証していく計画だが、今のところ的中率は7割から8割程度に達しているという。

 ただし、結果として示される推定値は、例えば「G.dmt AnnexA方式では1.5Mbps~8Mbps」「G.dmt AnnexC方式では4Mbps~8Mbps」という具合である。やはり、ADSLは性質上ユーザーごとにバラツキがあるということで、マージンを広めにとらざるを得ないのが実状なのだという。実際にサービスに耐えられるシステムに発展させるには、いかにマージンをせまくするかが大きな課題となる。

 ADSLの伝送速度を推定する手法としては、地図情報から推定する方法、線路データベースから推定する方法、測定器を用いた測定などがある。このうち地図情報を用いる方法では、直線距離以外の情報がなく、実線路との誤差やケーブルの種別などにより、推定精度が低くなるという。一方、線路データベースを用いる方法でもビル構内などは情報がなく、エンドツーエンドで正確な線路損失を特定できない場合がある。測定器を用いれば精度は高くなるが、これもユーザー宅に作業者を派遣するコストがネックとなる。

 これらの手法に対して、アナログモデムを利用した今回のシステムでは、推定精度、ユーザーの利便性、システム構築コストといった面からも実用化が期待されている。

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(2002/5/29)

[Reported by nagasawa@impress.co.jp]

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