【業界動向/団体】

今度はクリエイターの啓蒙に注力

Web技術の互換性推進団体「The Web Standards Project」が活動再開

■URL
http://www.webstandards.org/

 2001年に活動を一旦停止した、Web技術の互換性推進団体「The Web Standards Project」(WaSP)が11日、活動を再開することを発表した。サイトはリニューアルされ、さまざまな情報が追加されている。

 NetscapeとInternet ExplorerがWWWブラウザーのシェアをめぐって激しく争っていた頃、NetscapeとMicrosoftの両社はHTMLに新しいタグを付け加えたり、独自の表現方法をブラウザーに追加することを競っていた。そのため両方のブラウザーで同じ見え方をするWebサイトを作ることが至難の業となり、W3Cなどに代表される標準規格をブラウザーに採用してもらうことが非常に重要なことになりつつあった。WaSPは著名なWebデザイナーたちがそうした目的のために作った草の根団体で、ブラウザー開発各社、オーサリングツール開発各社に標準規格を採用するよう呼びかけ続けていた。

 しかし、2000年になってブラウザー戦争が落ち着きを見せるにつれ、ブラウザーがかなりの程度まで標準規格に準拠したため、WaSPは一旦活動を停止することを発表した。今回再開した経緯についてWaSPのグループリーダーJeffrey Zeldman氏は「標準規格のブラウザーは、戦の道半ばでしかない。我々は勝てると思ってはいなかった。今や我々が望んでいたものを手に入れた以上、残るは、我々が人々に、そして彼らのクライアントに、そしてサイト利用者にとって、Web標準規格に基づいてデザインし構築することがいかに重要で益となるかということについて、その片鱗を理解してもらうよう説き勧めることだ」とコメントした。

 現在Internet Explorer、Netscapeをはじめ多くのブラウザーが現実的な標準規格を搭載しているものの、Webデザイナーはその標準規格に則ってサイトを構築する代わりに、文書構造を重要視せず、アクセシビリティを無視し、ブラウザー独自のコードを書き続けているとWaSPでは指摘している。そのために活動再開にあたってWaSPはクリエイターの啓蒙に力を入れることにした。

 米国では、多くのサイトに対してすべての人が完全な仕方でサイトにアクセスできるよう求める法律がある。この法律に従うためには「標準規格に則ってWebサイトをデザインすることが最も簡単な方法である」とWaSPは指摘する。また、アクセシビリティを確保することによって、ブラウザーでは見えないがために利用者を減らすといったこともなくなるだろう。

 トリッキーな表現手法を使うよりも、全ての人に同等に表現されるWebサイトの方が表現者のメッセージを伝えられることは明白であるだけでなく、オープンなインターネットのテクノロジーの発展のために全てのクリエーターが参画する方法があることは大きな励みとなるだろう。

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(2002/6/12)

[Reported by taiga@scientist.com]

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