■URL
http://bs.noma.or.jp/osaka/
12日から14日までの3日間、大阪市住之江区のインテックス大阪で「ビジネスシヨウ2002 OSAKA」が開催された。「ブロードバンド時代を躍進するビジネスと社会」をテーマに154社が参加した展示会場の中から、近鉄ケーブルネットワークとNTT西日本を紹介する。
近鉄ケーブルネットワーク(KCN)は、奈良県の近鉄沿線エリアでサービスを拡大させているCATV事業者。多チャンネル放送サービスとCATVインターネットを提供しているが、これと併行して昨年秋に開始したADSLサービス「KブロードADSL」に注目だ。
KブロードADSLは発表当時、Yahoo! BBを80円下回る2,200円という月額料金が国内最安値という触れ込みだった。その後、他県でこれよりも安価なADSLサービスがスタートしたために国内最安値ではなくなったそうだが、生駒市を中心とした同社のサービスエリアでは今もYahoo! BBと並ぶ低価格ADSLサービスの一つである。当初は1.5Mbpsだけだったが、現在は同料金で8Mbpsにも対応しており、スペック面でもYahoo! BBと遜色なくなっている。
さらにサービスエリアについても、同社の本来の事業であるCATVよりも広いという力の入れようだ。CATVは今のところ生駒市と奈良市だけなのに対して、KブロードADSLは奈良県中部や大阪府東部、京都府南部などでも提供されており、順次拡大していく計画となっている。
確かにCATV事業でもHFC(Hybrid Fiber Coax)ネットワークによるエリア拡大計画を発表しているが、これは2005年度末までの長期的なものである。それを待っていてはブロードバンド市場で大きく出遅れることになるため、比較的エリア拡大が迅速に行なえるADSLによって認知度アップと加入者獲得を先行して行なう狙いである。
KCN営業本部営業部主任の矢野光一氏によると、同社では当初、KブロードADSLを月額3,200円程度で提供する予定だったのだという。それがYahoo! BBの参入により、急きょ現在の価格に設定し直したという経緯だ。エリア規模がYahoo! BBに比べて小さく、利益をあげるのが厳しいであろうこの価格帯でADSLに参入したのは、将来のCATVサービス開始時の加入者獲得につなげる先行投資だったと言える。
なお、CATVインターネットサービスのほうは現在、最大速度の違いにより1.5Mbpsと10Mbpsのメニューが用意されているが、9月頃にも最大30Mbpsの「KブロードCABLE30」の提供を開始する予定だ。首都圏ではイッツ・コミュニケーションズ(iTSCOM)がHFCネットワークとDOCSIS 1.1準拠モデムによる同様のサービスを開始しているが、KCNのCATVインターネットもiTSCOMと同じシステム構成をとっているという。
KブロードCABLE30は、CATVの新規エリアとして今夏より順次サービスが開始予定の京都府宇治市と城陽市から投入されてきそうだ。料金は月額5,500円と発表されているが、ADSLのスペックも進化してきていることを考えれば、市場の状況により見直される可能性はあるという。
近鉄ケーブルネットワークのブロードバンド事業のほか、近鉄グループ企業が共同でブースを構えている(左)。近畿日本鉄道の沿線情報サイト「近鉄沿線百科」(右)や近鉄情報システムのiモードによる特急券予約サービスなどを紹介 |
NTT西日本では、すでに本誌でもお伝えした無線LANアクセスサービス「フレッツ・スポット」やBフレッツなどのフレッツシリーズをはじめ、フレッツ回線と組み合わせて利用するライブカメラやテレビ会議などのソリューションなどを出展していた。ここではちょっと変わった集合住宅向けのブロードバンドソリューションを紹介したい。
集合住宅向けというと、インターネットマンションという言葉が浮かぶと思うが、大規模なマンションだけが集合住宅ではない。NTT西日本では2001年1月から、“インターネットアパート”のためのソリューションである「らくらくインターネットハイツメニュー」を販売している。
これはその名の通り、6~8戸程度の小規模ハイツやアパートを対象としたものだ。1棟に1本のフレッツ・ADSLまたはBフレッツ回線を引き、これを各世帯に分配するかたちになる。建物内配線は、新築物件ならLAN方式、既存物件ならVDSL方式または安価なHomePNA方式から選ぶことが可能。パッケージには、フレッツ回線、インターネット接続サービス(約30社から選択可能)のほか、ブロードバンドルーターやVDSLモデム、スプリッターなどの機器と設置工事が含まれている。例えば、アクセス回線にBフレッツを使って8世帯に導入するとすれば、初期費用は90万から。オプションで保守メニューや新規入居者向けのパソコンセットアップサービスも用意されている。
初期費用が高い印象を受けるが、アパートの建築費全体からすればそれほど大きい金額ではないとしており、物件の付加価値アップによる入居者獲得に有効だとアピールする。確かに、このソリューションを導入した“インターネットアパート”では、結果的に家賃や管理費などにその金額分が上乗せされることになるだろうが、それでも入居者が個別に契約するよりも割安になるという。フレッツ・ADSLであれば入居者が個別に加入するほうが実用的かもしれないが、Bフレッツは個人で契約するにはまだ抵抗のある料金であることを考えれば、入居者にとってもメリットはあると言える。
らくらくインターネットハイツメニューは、アクセス回線となるフレッツ・ADSLまたはBフレッツのエリアで提供中だ。最近では大手デベロッパーでも大規模マンションだけでなく小規模なハイツもかなりの数を手がけているとしており、今後は大手デベロッパーとの提携も進めながら、らくらくインターネットハイツメニューの販売を拡大していく考えだ。
らくらくインターネットハイツメニューのVDSLによる既存物件用機器一式(左)。ただ、やはり新築物件への導入実績のほうが多く、既存物件は3割程度だとう。このほかNTT西日本では、動画視聴を想定したセット・トップ・ボックスも参考出展していた(右)。中身はWindowsベースのPCで、ハードウェアMPEG-2エンコーダーやDVDプレイヤーが搭載されている |
◎関連記事
■4万kmに及ぶ光ファイバー網が強みのケイ・オプティコム/関西電力
■NTT西日本の「フレッツ・スポット」、ビジネスシヨウの展示でも詳細見えず
(2002//)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]