ソフトバンクグループは24日、ビー・ビー・テクノロジー株式会社が運営するADSLサービス「Yahoo!BB」向けにNTT局舎内に確保している、990万回線分のコロケーションスペースを返却することを明らかにした。返却は、同日中に完了する予定。
この問題は、昨年12月にNTT東西が約款を変更したことに起因する。この約款変更により、コロケーションスペースが未使用のまま半年以上経過した場合には、利用料金が発生することになった。この変更に伴い、6月下旬に無料で予約できる期間が終了するYahoo!BBが、空いているコロケーションスペースを返却する形となる。
この問題の元々の原因は、昨年10月まで遡る。Yahoo!BBが、NTT局舎のコロケーションスペースの大部分を確保していたことにより、アッカやイー・アクセスなどの競合他社が、ADSLサービスの提供に必要な機器を設置するスペースが足りなくなり、ユーザーにサービス提供できない状態に陥る恐れがでたためだ。
これに伴いNTT東西は10月30日、総務省にコロケーションスペースを無料で予約できる期間を一年間から半年に短縮する約款変更の申請を行ない、総務省情報通信審議会の審議の後に、変更が受理された経緯がある。
この約款変更の後、NTT東西では「一部事業者と独自に調整を行なうことによって、緊急を要するコロケーション不足の問題はほぼ解消した」としている。しかし、この約款変更には、再発防止策などが含まれておらず、ADSL事業者は更なる対策を求めていた。これに応える形で、NTT東西は3月25日に再び約款変更を申請している。
3月の約款変更では、「リソース配分に係る上限方式の導入」「情報開示の充実」の二点が盛り込まれた。「リソース配分に係る上限方式の導入」により、コロケーションスペースが一定水準以下になった局舎のリソースについて、一事業者毎にリソースの上限が設定されることとなり、「コロケーションスペースの一社独占」が事実上難しくなった。また、コロケーションスペースの状況を開示することによって、他事業者も、事前に状況を把握することが可能になっている。
今回のYahoo!BBのコロケーションスペースの返還は、これらの経緯を踏まえて、最終的に「あまったスペースの有料化を避ける」ために行なわれたと考えられる。この点について、ソフトバンクグループでは「今回の返還は、当社の事業計画に基づくものだ。現在、200万回線分の工事を完了しているが、当面十分だと思われる回線の保留申請は行なっている。これらの計画に基づいて、必要な分を除いたスペースの返還を行なった」と語っている。
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(2002/6/24)
[Reported by otsu-j@impress.co.jp]