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http://internet.impress.co.jp/books/hakusho_2002.htm
「ウィルス感染メールの受信経験有無」のグラフ
インターネット白書2002 (C) Access Media/impress, 2002 |
まず教育関連。学校のインターネット接続率は現在ほぼ100%に近づいているが、調査(大阪教育大が実施、1,300校より有効回答)では、回線種の内訳はダイヤルアップ接続が29%。中低速(64~1.5Mbps未満)の常時接続が29%、1.5Mbps以上の常時接続が38%となった。前回はダイヤルアップ接続が58%で過半数を占めていたが、この1年で学校でもブロードバンド化が進んだ形だ。ホームページを開設している学校は、小中高養あわせて1万5,083件。2001年3月では1万2,188件で、1年間で3,000以上の学校が新たに開設している。ただ100%にはまだほど遠く、都道府県別に見ると石川県(69%)、岐阜県(68%)、京都府(67%)といった開設率の高いエリアがある一方、約7割の県は開設率が40%未満の状況だ。
一方で、インターネットを校内で活用できているかについては、まだ問題が多いようだ。「学校のインターネット環境の課題」という設問では、「校内ネットワークが未整備で、利用場所が限定されている」(38%)、「ソフトウェアの種類やライセンス数、機能などが不十分」(29%)、「回線接続費が不足し、回線容量(アクセス速度)が不十分」(28%)、「保守運営費用が不足し、システムの維持(障害・セキュリティ対策)が十分でない」(28%)……と、厳しい予算やソフト・ハードの制約に悩む学校担当者の姿が浮かぶ結果となっている。また「インターネット運用上の問題点」についても、「運用・支援スタッフやノウハウの不足」(79%)、外部からのアタックやウィルスの感染」(29%)、「授業で利用する情報の著作権問題」(29%)などが指摘され、学内のスタッフだけで対応し切れていない状況が感じられる。
電子政府・電子自治体への取組みが進む政府/自治体だが、全国で約8割の市町村が、何らかの公的なホームページを開設していて、開設数は平成13年4月で4,849件(作成中含む)。ホームページの内容は「行事・イベントの紹介」や「観光・物産情報」が主流であるものの、「申請書のダウンロードサービス」(前年比288%増)、「申請・届出・手続きの案内」(161%増)など、電子自治体の広がりを踏まえたサービスが増加傾向にあるという。
この1年間でセキュリティに関する動きは大きく広がりを見せ、インターネット上だけでなく、一般の新聞やニュースなどでも取り上げられるようになった。まず不正アクセスに関しては、2001年のインシデント(コンピュータやネットワークのセキュリティを侵害する、また侵害を試みる人為的行為)に関する届出は2,853件に上る(JPCERT/CC調べ)。2000年が2,232件だったので、約1.3倍に増加している。特に6月の「Code Red 」、9月の「W32/Nimda」などの被害がクローズアップされた。またコンピュータウィルス届出数はさらに増加し、2001年1年間での届出は遭遇・感染合わせて24,261件と、2000年(11,109件)に比べ2倍以上に急増した(IPA/ISEC調べ)。特に電子メールの添付書類で感染するものが増え、実に71.2%が添付書類による感染という。こうしたウィルスメールについては、ユーザーの35.2%が「受信したことがある」と回答。ここでもブロードバンドユーザーで受信経験が多い傾向が見られる。ウィルスではないものの、話題に上ることが多かった「迷惑メール」も、PC利用のインターネットユーザーで39.1%、携帯電話/PHS利用のユーザーで57.1%が受信経験があるという。
またハイテク犯罪については、2001年は810件と過去最も多い結果となった。同様に、「各都道府県警に寄せられたハイテク犯罪等に関する相談受理件数」も13,593件と、前年(9,334件)に比べ1.5倍近くに増加した。
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[Reported by aoki-m@impress.co.jp]