【イベントレポート】

STBを用いたストリーミング配信は垂れ流し的スタイルが好まれる
~KDDI、FTTHトライアルの経過を報告

■URL
http://www.kddi.com/topics/ftth/


KDDI株式会社ソリューション事業本部の嶋谷吉治氏

 独立行政法人通信総合研究所が17日に開催したシンポジウム「FTTHトライアル『コミュニティ知の創造実験』シンポジウム」で、KDDIが進めるFTTHトライアルについての報告があった。このトライアルでは、現在、東京都新宿区と文京区で450世帯が参加して、FTTHを利用したストリーミングの配信やネット家電の実証実験を進めている。実証実験には、東芝や日立、講談社や産経新聞などのコンテンツ業者、通信総合研究所など104社が参加している。

 KDDI株式会社ソリューション事業本部の嶋谷吉治氏は、「KDDIは携帯電話と固定網を同じ会社で提供している。さらに、親会社がトヨタ自動車となるので、インターネットITSも含めて一括したサービスを提供できる」と、FTTHサービスの強みをアピールした。FTTHは2003年の春、携帯電話を用いて最大2Mbps程度の通信サービスを提供する「CDMA2000 EV-DO」は2003年の秋、トヨタ自動車による車載端末は2004年を予定していることから、徐々に基盤が揃うとしている。携帯電話と固定網の一括サービスの強みとしては、課金や認証を行なうプラットフォームを共通化することにより、コンテンツや各種サービスの利用がよりシームレスに提供できる点があるという。

 次いで、実証実験を進める各アプリケーションについて報告があった。まず、セットトップボックス(STB)を通じてDVD並のストリーミングをテレビに配信する実証実験を紹介した。この実験では、700本ほどあるコンテンツをユーザーが検索して好きな映像を選べるようになっている。パソコンを用いたストリーミングの場合は「能動的にクリックをして探していくスタイル」だったが、STBを用いたテレビとリモコンの組み合わせだと「地上波のように垂れ流し的の受動的なスタイルが好まれる」という。具体的には、新着やおすすめのコンテンツのダイジェストを流し続けて、気に入れば本編を見るといった形だ。

 また、商店街などの地域限定コンテンツを配信する試みも紹介された。ここでは、FTTHトライアルのエリア内にある商店街の電子チラシや電子クーポンを発行しているが、「あまり評判がよくない」という。嶋谷氏は、情報の深みと新鮮度がなく「口コミ以上の情報がない」ことを原因として挙げており、地域限定のコンテンツを盛り上げるためには、地元に住んでいて、たくさんの情報を集める人が必要だとしている。しかし、天気予報はアクセスを集めており、このことから「習慣づけて見てもらえるコンテンツが必要」だとしている。

 KDDIのFTTHトライアルは、2002年9月まで実施した後、2003年春からの商用サービスの開始を予定している。

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(2002/7/17)

[Reported by adachi@impress.co.jp]

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