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「Ogg Vorbis1.0」リリース、ライセンスフリーでMP3より高音質

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http://www.vorbis.com/
http://www.vorbis.com/news.psp
http://www.xiph.org/ogg/vorbis/docs.html
http://www.vorbis.com/download.psp

 Xiph.orgは19日、ライセンスフリーな音声圧縮技術フォーマット「Ogg Vorbis1.0」を発表した。2000年以来、Xiph.orgはOgg Vorbisのベータ版を発表し、最近ではかなり安定したリリース候補(Release Candidate)バージョンをリリースしていたが、今回正式に1.0が発表になったことで、企業の利用など、Ogg Vorbisフォーマットの利用が加速することが予想される。現在サイトは混み合っているが、Windows、Mac、Linux環境向けのさまざまなエンコーダー、デコーダーなどがダウンロードできる。

 Ogg Vorbisは、Xiph.org Foundationによって設計された音声圧縮技術フォーマットだ。MP3、AACなど既存の音声圧縮技術は、いずれかの企業が特許を取得して権利を主張しているため、これらの技術を使ったソフトウェアや製品を作るためにはライセンス料を支払わなければならない。Ogg Vorbisはこうした問題を回避するために一から設計されたフォーマットで「特許の影響を受けない」とXiph.orgでは主張している。

 技術的には、Ogg VorbisはMP3と同じく非可逆圧縮フォーマットであるため、ファイルを作成するために元のデータがいくらか失われる。しかし同じファイルサイズあるいは同じビットレートならば、Ogg Vorbisの方がMP3よりも音質が良いとXiph.orgは以前から主張しており、実際そのように感じるユーザーも多いようだ。

 今回バージョン1.0が発表された中で大きな役割をもつのは「バージョン1.0仕様書」の発表である。現在ダウンロードできるOgg VorbisユーティリティーソフトはGPLに基づいて公開されており、またライブラリーとSDKは企業が利用しやすいようにBSDライセンスで発表されている。しかし、今回仕様書が正式に公開されたことで、この仕様書をもとにクローズドソースなOgg Vorbisの実装を企業が開発することが可能になる。こうした法的な枠組みにより、企業はOgg Vorbisフォーマットを使ったソフトウェアや製品を無料で配布したり、クローズドソースな実装であるエンコーダー、デコーダーやその他のソフトウェアツールを有償で販売することも可能になる。

 Ogg Vorbisを開発したXiph.orgでは、音声圧縮技術にとどまらず、ライセンスフリーな動画フォーマットや5.1チャンネルをサポートした音声圧縮技術など、ライセンスフリーにこだわってさまざまな技術開発を継続している。

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(2002/7/22)

[Reported by taiga@scientist.com]

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