【イベントレポート】

韓国・ソウルで「COMDEX Korea & INTEROP 2002」が開催
モバイル&ハード主体の展示

■URL
http://comdex.chosun.com/2002_eng/com_m1.html

会場となったコエックス
 韓国最大のITイベント「COMDEX Korea & INTEROP 2002」が、8月26日から29日の4日間、ソウル市サムソンドンにあるコエックスホールで開催している。最初の3日間は企業対象で、最終日のみ一般にも公開される。韓国内のIT企業を中心に、展示会とカンファレンスを合わせて約130社が参加。展示会場のスペースは幕張メッセのホール2つ分くらいとやや小規模ながらも、初日から大勢の来場者が会場に詰めかけ、会場は活気にあふれていた。キーワードがモバイルソリューションとネットワークということもあり、展示会場の出展内容は、本家米国のCOMDEXと同じく何でもあり状態である。やはり目につくのは、PCやPDA、携帯電話端末などの情報端末で、他には液晶ディスプレイやプリンターなどの周辺機器、ホームシアター向けAV機器やゲーム用コントローラーといったハードウェアが並ぶ。INTEROP併催、ということでサーバーやネットワーク関連製品もいくつか出展されていたが、コンテンツ系などソフトウェア関連の出展は少なかった。

●メインスポンサーLGは2つのブースを出展


http://www.lgtel.com/ (LG TeleCom)

 出展企業の中で最も大きいスペースを占めているのが、メインスポンサーの1つであるLG Telecomのブースである。入口からすぐ入ったところに設置され、IMT-2000やCDMA2000 1xに対応した最新の携帯電話端末がずらりと並べられている。なかでも来場者が行列を作るほど注目されていたのが、最新サービス「ez-i」の紹介コーナーだ。「ez-i」は携帯電話向けの情報コンテンツサービスで、メールやチャットはもちろん、ゲームやカラオケなど多彩なメニューが特徴だ。会場ではJava対応端末に加え、カメラ付き端末、動画送受信対応の端末などが展示されていた。オンデマンドでアニメやミュージックビデオが見られる「V-Station」、天気予報やニュースなどの情報を配信する「MiTV」、40和音対応機種をターゲットにした着メロサービス「FeelRing+」などに加えて、携帯電話でオンライン決済ができるM-Commerce機能も充実。オンラインショッピングやATM、自動販売機など、利用できる場面が急増しているという。
 ビジネス向けモバイルサービスとして、モバイルPOS端末や、GPSを搭載したPDA Phoneなどが展示されており、こちらも来場者の注目を集めていた。

 また、同じLGでもテレコムではないLGエレクトロニクスのブースでは、液晶ディスプレイやプロジェクターに加え、LG IBMブランドのデスクトップ「MultiNetシリーズ」や、ノートPCの「ThinkPadシリーズ」などが展示されていた。

「ez-i」のJavaコンテンツメニュー
テレビ番組のようなコンテンツがたのしめる「MiTV」対応端末
カードリーダー付きの端末はCDMA 1x対応機種。価格は約3万円

●国内展示会は手抜き…?のSamsungブース


http://sec.co.kr/

 米国COMDEXでは主力スポンサーにもなっているSamsung。国内ではすでにブランドが定着しているためか、1ブースのみの出展だ。内容も、携帯電話端末では「Anycall」シリーズのGPS搭載やカメラ付き端末などいろいろなタイプを出展していたものの、他には無線LAN搭載PCの「SENS Q」シリーズ、Windows CEを搭載した横型PDA「NEXIO」、液晶ディスプレイのSyncMasterシリーズなど、既存製品をぱらぱらと展示しているだけだった。会場全体を見てもメジャー企業の出展は少なく、大型ブースを出展していたのは、日系企業のエプソンとワコム、磁気メディアメーカーのImationなどが目立つ程度だった。

 テーマ別のパビリオンでは、個人情報の管理や認証に関する技術を開発している企業を集めたPKIパビリオンがあったが、こちらも最先端の技術を紹介する内容ではなく、USBメモリを使った認証キーシステムや、小型で持運びができる指紋認証端末など、すでにある技術の実用化例がいくつか紹介されているのみ。韓国メーカーにとっては、COMDEX=新技術・製品のお披露目場所、という捉え方はされていないようだ。

意外に小規模だったSamsungのブース
PKIパビリオンの展示。認証機能を持つ周辺機器が中心だ

●韓国版eBayは成功できるか?~ソフトウェアブース


http://www.haansoft.com/ (Haansoft)
http://www.auction.co.kr/ (Auction)

 ソフトウェア関連で大型ブースを出展しているところはほとんどなく、目に付いたのはこれもメインスポンサーの一社であるHaansoft社ぐらいだ。同社は韓国のワープロソフト市場でMicrosoftをしのぐシェアを得ている、日本で例えるとジャストシステムのような存在である。ITブームに乗った2年前に比べ、運営規模は縮小傾向にあるそうだが、それでもトップ企業の地位は変わらず。スポンサーとしてスタッフを多数動員しているため、会場内ではHaansoft社のTシャツを着た若いスタッフがあちこちで見られた。

 韓国といえば、ネットゲームなどブロードバンド向けのコンテンツ開発が話題になっているが、そうした出展はほとんどなし。唯一、オークションサービスの「Auction」が、大きめのブースを出展している程度だった。「Auction」自体はeBayが運営しているが、日本市場の撤退を教訓にしたのか、ネットサービスを提供している複数の企業が参加して、オークション以外のサービスも提供。トップページデザインもeBayスタイルではなく、独自のデザインになっている。
 会場の中央には韓国のベンチャー企業を中心とした小ブースのゾーンが設けられていた。ここではソフト関連の出展が多く、PDA向けの地図ソフトやグループウェアソフト、ブロードバンド環境を活かしたビデオカンファレンスソフト、PCに取り込んだ顔写真を元にアバターを作成するソフトなどが出展されていた。

 韓国では、2年前のITベンチャーブームほどではないものの、IT市場の景気は悪くないという。IT企業に就職すると徴兵が免除されることもあり、給料は少なくてもIT系企業への就職を希望する若い技術者が少なくないそうだ。女性も実力次第で男性と同じように活躍の場が得られることもあり、こうした人材によって韓国のIT市場の前途は明るいと見られている。
 次回の「COMDEX Korea 2003」は、2003年8月18日から21日まで開催される予定。展示会場の規模も今回の倍のスペースが用意されるとのことで、来年は新たな展開が見られるだろう。

Haansoftのブース
eBayとポータル各社が提供する「Auction」のブース
デジカメ画像からアバターを作成するソフトのデモ

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(2002/8/29)

[Reported by 野々下 裕子]

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