【レポート】

変革するインターネットメディア~Web広告研究会がフォーラム開催

■URL
http://www.wab.ne.jp/forum/forum_02092401.html

米IABのFlatley氏
 広告主企業を主体とした研究団体「Web広告研究会」(Web Advertising Bureau、略してWAB)が「第6回WABフォーラム」を開催し、インターネット広告の現状、および「メディア構造改革宣言」などを発表した。

 フォーラムでは、まず米国のインターネット広告団体・IABの主要メンバーで、米Forbes.comの副社長兼広告担当責任者であるBill Flatley氏が講演を行なった。Flatley氏によれば、現在IABの参加企業は130社で、ABCやCNN、ESPN、Yahoo!など主要なインターネットメディアの多くが名を連ねている。IABはインターネット広告の計測指標ガイドラインの作成や、メディアミックスでのブランディングに関する研究で知られ、特に「Dove Nutrium Bar」という化粧せっけんのブランディング調査では、オンライン広告の場合、フリクエンシー(露出頻度)に比例してブランドイメージが浸透する点や、コスト面でより効果的だと指摘。オンライン広告を含めた広告展開の場合、“テレビ:雑誌:オンライン”で、“5.5:2.0:3.1”の比率でフリクエンシーを調整すると、最も効果的であるとのモデルを作成したという。またブランドイメージを高めるための広告として、ウィンドウが大きく広がる“Expanding Window”やウィンドウ上を広告が横切っていく“EyeBlaster”、複数の広告主企業で展開する“Infocenter”といった、最近の広告形態を紹介。さらにForbes.comでこの9月から開始した広告商品「ブランド向上保証プログラム」(Brand Increase Guarantee Program)をとりあげた。これは最低10万ドルを広告料金として投入、60日間以上広告を継続することで、企業のブランド力を大幅に増加させる広告プログラムで、増加の見られない場合は広告料金を返却するという。まだ開始したばかりだが現在2社がすでに登録、今後さらに4社が追加する予定で、Flatley氏は「ブランド力について約400の研究を行なっているForbes.comだからできるプログラム」と自負しているという。

 次いでWABの各委員会が現状報告を展開。Webメディア委員長の岩城陸奥氏は、「81:27:1」という数字を示し、これが総広告費:テレビ広告費:ネット広告費の比率(2001年)であることを説明。「“番組はテレビで、情報はインターネットで”などといったメディアの使い分けが進むなか、インターネット広告にかける比率はこれでよいのか?」と問いかけ、一方で「マス媒体批判ではなく、まだ大人の広告媒体になれていない(成熟していない)、ユーザーを惹きつけるコンテンツが少ない、アクセシビリティが考えられていないなど、インターネット自体の構造改革も必要」と述べた。またサイト運営委員長の林哲夫氏は、企業サイトへのアクセスが増加していて、自社メディアとして充分なパワーを持ちつつある点を指摘した。反面、「企業サイトは社内の写し鏡となる存在」とも発言。社内資産の有効活用や、部門横断的な取組みなしには、充実した企業サイトは望めないとしている。

左からNTT-Xの中嶋氏、ネットレイティングスの萩原氏、電通の峯川氏
 さらにNTT-Xの中嶋孝夫代表取締役社長、ネットレイティングスの萩原雅之代表取締役社長、電通 インタラクティブコミュニケーション局の峯川卓ブロードバンド部長を中心としたディスカッションが行なわれた。電通の峯川氏は「日本や韓国でADSLが非常な勢いで普及したため、これまでの米国を参考としたビジネスの動きが変わってきている。日本およびアジア各国はブロードバンド定着が急速すぎて、順序だった進化が行なわれていない面がある。またADSLによって、これまでの企業ユーザーから、家庭を中心とした普及になっている点も特徴で、これまでのインターネットの流れを知らず、ブロードバンドからネットに入った人は、テレビと比較して“ネットってこの程度か”と思っているユーザーも少なからずいると思う。こうした点が今後、いろいろな面で出てくるのではないか」と、日本の現状を分析。ネットレイティングスの萩原氏も、「現在ブロードバンドユーザーはインターネットユーザーの約3割だが、利用頻度や時間はナローバンドユーザーの3倍以上。このため、トラフィックではブロードバンドユーザーが半数を超える状況が出始めている。新聞社や特化型ポータルサイトなど、一部のサイトではブロードバンドユーザー比率が40~50%に達するところもあり、ブロードバンドユーザーに適した新しい広告手法を活用できるのでは」と発言。一方、NTT-Xの中嶋氏は、「光の価格がもう少し下がらないと普及は難しいが、光が普及した場合、いわゆる主婦層が重要なターゲットになってくる。日本の30~40代女性は、子育てなどで就労率が低いが、この層がネットを活用するようになったときに、在宅勤務やSOHOなど、さまざまな活躍が出てくるのでは」と予測した。ブロードバンドの普及で、家庭でのインターネット利用と、ながら視聴などテレビとインターネットの関係がクローズアップされる、というのが共通した見解だ。またオンラインでの表現の自由がブロードバンドによって増すことで、クリエイティブ面の変革を期待する声も多かった。

 WABでは、フォーラムの最後に、インターネットメディアの改革をうたう「メディア構造改革宣言」を発表。インターネットメディアを顧客との関係を築く手段と捉えて、オーディエンス中心のマーケティング戦略を展開する、またメディアの測定や検証に関する環境整備を行ない、業界を越えた協力体制をつくるといった内容で、この提言を目標として活動していく意向を表明した。

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(2002/9/24)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]

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