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【イベント】

「Multimedia World'98」開催、新技術/新製品を一挙展示

NTT、10万人規模の電子マネー実験をプライベートフェアでデモ


zenkei NTTグループの総合展示会「Multimedia World'98」が、東京国際フォーラムにて開催された。これは、NTTグループの顧客やパートナー企業などを対象に、最新技術やサービスを紹介するというもの。

 会場は「企業情報システム」「情報流通サービス」など4ゾーンに分けられている。その中で特に会場で注目を集めていたのは、参考出展としてデモ/展示されている本格開始前の新サービスだ。その中から主なものを紹介したい。



10万人が参加する電子マネー実験を紹介
http://www.ntt-ad.co.jp/s-cash/

ec まず注目を集めたのは、「電子マネーステージ/モール」のコーナー。ここでは、'99年4月から実験開始予定の「スーパーキャッシュ」の概要が紹介されたほか、デモが行なわれた。
 「スーパーキャッシュ」は、国内の銀行とNTTが推進している電子マネー実験の名称。ICカードを用いた電子マネーを使って、現実の店舗での「リアル実験」とインターネット上の店舗での「バーチャル実験」が行なわれる。一般参加者10万人を対象に東京都新宿駅周辺の1,000店舗(バーチャル実験参加加盟店を含む)が参加する予定だ。実験期間は'99年4月から2000年5月までの予定。

 実験は、専用端末を使って銀行の口座からカード内に預金をダウンロードし、買い物をした分だけ店の端末に支払うというもの。参加店舗には、専用の端末が設置される。また、パソコンに端末を接続し、インターネットを通じてやりとりすることもできる。電子マネーは、各銀行がそれぞれ発行するが、複数の銀行が発行した電子マネーを互いに流通させることも可能だ。提供するサービスは、加盟店での買い物のほか、実験レベルで公衆電話の利用や自動販売機や券売機の利用も検討されている。なお、参加銀行として明らかにされているのは、あさひ、さくら、三和、住友、第一勧業など主要都市銀行のほか、地方銀行、信託銀行など合計24行。また、加盟店には、小田急百貨店、高島屋、エーエム・ピーエム、ファミリーマート、紀伊國屋書店などが参加を予定しており、かなり大規模な実験になりそうだ。

 展示会場では、実際にスーパーキャッシュを使ったデモが行なわれ、仮想マネーを使って擬似的に買い物をすることができるようになっていた。また、各加盟店向けの端末も展示されていた。




デモ用のセット

店舗用のカードリーダー

ユーザー向けカードリーダー



新型「ComBase」登場
http://www.mabikai.mbc.ntt.co.jp/combase/

 「ネットワークビジネス」のコーナーでは、キオスク型マルチメディア情報端末「ComBase」の新型「ComBase SP」が参考出展された。ComBaseは、ISDN対応の公衆電話型の情報端末で、現在都内11カ所に設置され、実用化実験が行なわれている。今回展示された新型では、タッチパネルが採用されたほか、メールの「受信」と「返信」機能に加え、任意のメールアドレスあての「送信」が可能になった。

 また、メール環境の設定には、従来のICカードのほか、「Irキーホルダー」が利用できるようになった。これは、メールアカウントなどの情報が載ったキーホルダー型の装置。キーホルダーには、赤外線通信規格「IrDA」準拠の送信口が付いているので、ComBaseに向けてスイッチを押すだけでメールの利用環境をセットできるというものだ。なお、この新型の設置予定はまだ未定とのこと。

combase


ComBase SP

「ComBase」メニュー画面

Irキーホルダー



小さい、薄い、「SolidAudio」
http://www.solidaudio.jpn.net/

kiosk 「情報流通サービス」のコーナーでは、カード型の携帯用音楽プレーヤー「SolidAudio(仮称)」が参考出展された。SolidAudioは、音楽圧縮技術「TwinVQ」を採用したデジタルデータによる携帯用のプレーヤーで、NTTと神戸製鋼所によって共同開発されたもの(本誌'98年7月23日号参照)。

 実物を見て驚くのがその小ささだ。クレジットカードサイズで厚さは8mmほど。重さも45gほどと非常に軽い。会場に設置されたスピーカーで聞いた限りでは、ほぼCDクオリティの音質であった。なお、会場に展示されていた試作機にはデジタルカメラなどの外部記憶媒体として知られる「Smart Media」用のインターフェイスが搭載されていた。同社によると、今後Smart Mediaを使うかどうかは未定で、コピープロテクトの問題などをクリアした上で最適なものを採用していくとのこと。

 また、同時に音楽データ配信用のキオスク型の端末(試作品、写真右)も展示されていた。将来的には、この端末や専用のダウンロード機器を利用してSolidAudio向けの音楽データを入手することになる。来年中の商用サービス開始を目標としており、現在、音楽コンテンツプロバイダーとなるレコード会社など各社と調整中とのことだ。

 このほか会場では、NTTの研究開発50年記念展示や、現在各NTTグループが提供中のサービスが一堂に展示された。また、次世代移動通信システムの「広帯域CDMA(W-CDMA)」方式など次世代のシステムなどの展示にも注目が集まっていた。残念ながら、この展示会は一般から参加することはできないが(招待券による入場のみ)、これらの新技術が市場にお目見えするのもそう遠い将来ではなさそうだ。

('98/9/21)

[Reported by okiyama@impress.co.jp]

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