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http://www.jp.real.com/conference/
12月2日、東京国際フォーラムにてカンファレンス「RealNetworks Conference/Tokyo'98」が開催された。主催はリアルネットワークス株式会社。
カンファレンスは、同社の製品「RealSystem」によるストリーミング技術の最新動向を紹介するというもので、「日本発、インターネット・メディア、始まる」をテーマに開催。会場には、米RealNetworks社のCEO、Rob Glaser氏、ニュースサイト「CNN Interactive」のJeff Garrard氏らが招かれた。
キーノートスピーチ1番目に登場したのは、Rob Glaser氏。同氏による講演は、主に先頃発表された最新版システム「RealSystem G2」(本誌11月24日号参照)のアピールが中心となった。まずはマスメディアの歴史を、'20年代に登場したラジオ、'50年代のテレビ、そして'90年代のストリーミングメディアという流れで紹介した。その後、RealPlayerユーザーの増加数、ストリーミングコンテンツを配信しているWebページの増加数、そして、9月の「Clinton大統領証言ビデオ」配信時の爆発的なアクセス数を紹介し、あたかも次世代のマスメディアの中心はインターネット(特にストリーミング)であるかのようなスピーチを行なった。また、将来ストリーミングがより普及するための条件として「分散されたインフラ」「良質なコンテンツ」の必要性を語った。
途中リアルネットワークス社長比嘉ジェームス氏にバトンタッチし、会場の大スクリーンを使ったG2のデモが行なわれた。ここでは、G2と、前バージョン「RealPlayer 5.0」を交互に使い、クオリティの違いをアピールしたほか、新技術「SureStream」のデモを行なった。Sure Streamは、複数のストリームを同時に流し、ユーザーの通信環境に応じて即時に最適なストリームに切り替えるという技術だ。また、「G2日本語版」の概要についてもアナウンスされた。基本的に英語版と同等の機能で、あらかじめコンテンツが設定されている「Channel」には日本語のチャネルを用意するとのこと。なお、サーバー製品は12月2日より出荷開始、再生用プレイヤーは12月中に公開予定だ。
2番目のキーノートには、ニュースサイト「CNN Interactive」のSenior Editor、Jeff Garrard氏が登場した。Web上でニュース配信を始めた理由として「新しい視聴者を獲得するため」として「ターゲットを絞った広告活動はインターネットならでは。テレビではできないこと」と語った。また、CNN日本語版についても現在検討していることを明らかにした。G2を利用したCNNサイトのデモでは、動画とテキストを併用した広告などを紹介した。
その後行なわれた質疑応答では、会場から数々の質問が飛び出した。「ニュースリソースの編集で、Web上に公開するにあたってのガイドラインはあるのか?」の質問に対しては「(テレビ用のニュースの)多くは、視聴者が“聞くこと”を前提として書かれているが、我々は“読むこと”を前提にしている。ポイントは『短く』『速く』『最新のもの』であること。Webの編集者は、印刷の経験のある者を使っている」と答えた。また「テレビとインターネット放送の境界は?」という問いに対しては、「テレビを見ながら追加情報を得るという形など、適切にミックスされることが必要だと思う」としている。
今回のカンファレンスは、内容的に「G2」の“お披露目会”といった印象であったが、来場者には十分に「新しいメディア」を感じさせるものだった。今後、より広く普及するには、G2の機能をフルに活かしたコンテンツがどれだけ登場するかが鍵となりそう。なお、ストリーミングメディアの利用範囲は、ニュース、エンターテイメント系コンテンツ配信以外にも確実に広がっている。特にイントラネット内での利用が増加する傾向にあり、実際にロータスでは、「ドミノ/ノーツ」の次期バージョン「R5.0」にRealSystemをバンドルして'99年にも販売を開始するとのことだ。
('98/12/2)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]