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ウォッチャー金丸のNEWS Watch

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1998年2月12日


HEADLINE 3 articles

ネット接続用プリペイドカード「ODNウェブカード」
「タイムプラス」サービスイン
ミリ波を使った世界最高速:52Mbpsの無線LAN
余談4題:トップの一言/オープンデリバネット/屋台で電子マネーを/アクティメイツ第2弾


 

○インターネット接続用プリペイドカードの「ODNウェブカード」
 12日の日経新聞11面には、新電電の日本テレコムが、インターネット接続用のプリペイドカード「ODNウェブカード(仮称)」を開発し、近く試行実験を開始するという記事が掲載された。実験は電通新日本製鉄、そして「オートナビゲーション」技術を提供する米オーリック・ウェブ・システムズと協力し、同社の「オープン・データ・ネットワーク(ODN)」への通信料と接続料をセットして約90分間接続できるカードを1万2千枚発行。3カ月間の実験終了後に商用化する方針としている。また「オートナビゲーション」技術によって、このカードを配布する企業のホームページへ必ずアクセスするような設定も可能という。

 インターネット接続用のプリペイドカードは、すでに東京インターネットなどプロバイダーから発行されている。接続機能に加えて、マーケッティング・ツールとしての機能を持たせることで、カードを発行する企業などのページへのアクセス数を向上させるとともに、ODNの利用率も上げようという事だろう。この実験がうまく推移すれば、各プロバイダーから似たようなカードが多種発行される可能性もある。


○「タイムプラス」サービスイン2月5日号のNEWS Watchを参照)
 11日の日経新聞12面と日刊工業新聞5面、そして12日の日経産業新聞7面には、NTTの市内通話料割引サービス「タイムプラス」の申し込み受け付けを、首都圏で13日に開始するという記事が掲載された。同日申し込めば、早ければ16日の通話料から割引を適用されるとのことだ。同サービスは4日、年内の全国拡大を条件に郵政省から認可を受けており、まず東京や神奈川など首都圏の1都7県で開始し、年内のできるだけ早い時期に全国展開するという。ISDNについては、サービス申請時と変わらず、今年夏からのサービスインとしている。

 郵政の電気通信審議会や公取委の判断などでサービス認可の時期が少々遅れた「タイムプラス」サービスだが、認可が降りた後のNTTの対応は素早い。それだけ対抗サービスである「東京電話」に脅威を感じている証しだろうか。
 今後のサービス拡大の推移も、注目したい。


○ミリ波を使った世界最高速:52Mbpsの無線LAN
 11日の日刊工業新聞5面には、郵政省通信総合研究所(CRL)が10日、60GHzのミリ波帯無線を使った世界最高速の52Mbpsで動作するマルチメディア対応ミリ波無線LANシステムの実験成功を発表したいう記事が掲載さた。2月20日に横須賀リサーチパーク(YRP)で開催される電子情報通信学会移動通信ワークショップで、その詳細が発表される。

 従来の2.4GHzの周波数帯を使った無線LANでは、各ユーザ局が他局が送信していないかを確かめてから自分の信号を送信するという分散制御方式を採用しており、実用的には数Mbps程度が限界だった。しかし今回開発したシステムは、広帯域がとれるミリ波帯を使ったことと、集中制御方式の新通信プロトコルを採用したことにより高速のシステムを実現している。
 2月9日号のNEWS Watchでも、ミリ波(40GHz帯)を使った34Mbps無線データ伝送を実現させる技術「SAMBA」を紹介したが、現在あまり利用されていない周波数を使って、高速無線通信を研究開発する傾向は、ますます強くなるだろう。



余談その1:トップの一言
 今日は企業トップのインタビュー記事で、興味深い一言が2つあったので紹介したい。
 まず12日の日経産業新聞3面には、「デジタルビジネス新潮流」コーナーの第一回として、米MSのクレイグ・マンディー上級副社長がPC以外の商品戦略について記者の質問に答えている。その中で、「日本でもデジタル衛星放送が始まったが、その多くはインターネット以前の技術がベースとなっている。私はインターネット技術を採用しているか否かが今後の勝敗の分かれ目だと思う」という発言があった。
 また同じく日経産業新聞の6面には、スイスのダボスで今月開催された世界経済会議に出席した日本IBMの椎名武雄会長が、同会議の議論について話した中に、「情報格差の問題が深刻化しつつあり、国や地域ごとの格差の他に、ACBCAfter Computer Before Computer)というコンピューターを理解する人とそうでない人の格差もある」という発言もあった。

 18世紀後半からの産業革命のキーワードとして、「蒸気機関」が出てくるように、コンピューターやインターネットが20世紀と21世紀を分けるキーワードとして未来の歴史書に登場してくるのは、間違いないところだろう。AIBIAfter Internet Before Internet)と命名して、現在の情報革命を分けても良いかもしれない。

余談その2:オープンデリバネット
 12日の日経新聞12面には日本ビクターが4月から、ヤマト運輸ローソンと組んで、インターネットで注文した商品を最寄りのコンビニなどで受け取れる通販システム「オープンデリバネット」の運用を開始するという記事が掲載された。ビクターの子会社のベネフィットオンラインが運営をし、ネット上に仮想店舗を開いている企業から受注情報を受けると、ヤマト運輸に商品の集荷や配送指示を出して、商品の受け渡し場所をローソンの店舗か注文者の自宅を指定するシステム。ビクターは昨年7月から「ぷらら」上でコンビニ配送可能な仮想モールを開設していたが、利用対象をぷらら会員に限定していたため、今回のインターネットへのオープン化を行った。

 利用者が商品が受け取る場所を選べるのは、嬉しいシステムだ。しかし、いいシステムでもぷらら会員のみを対象としたのではちょっと利用しにくい。今回オープンになったことで、オンラインショッピングのすそ野が広がるかもしれない。

余談その3:屋台で電子マネーを
 12日の日経産業新聞3面には、2千軒以上の飲食店がひしめく福岡・中洲に、電子マネーが使える屋台「博多屋台 大政」が登場したという記事が掲載された。「大政」が導入したのは、富士通が「九州R&Dセンター」で試験運用中のICカードを財布代わりにするプリペイド式電子マネーシステムで、富士通社員や取引先1,300人が利用中。その利用額は1人1回約3千円で、週に5~6人が電子マネーで支払うという。話を伝え聞いて来店する客も多く「店のPRにもつながり評判は上々」とのことだ。

 どうやらクレジットカード決済よりも先に、ECが屋台にまで進出してきたようだ。

余談その4:アクティメイツ第2弾(2月10日号のやじうまPC Watchも参照)
 12日の日経産業新聞17面には、米MSが昨年8月に売り出し話題を呼んだ「双方向型人形・アクティメイツ」の第2弾を、8月をめどに発売するという記事が掲載された。アクティメイツはPCとつなぐと会話を交わせる人形で、第2弾の「アクティメイツ・アーサー」と「アクティメイツ・D.W.」は米教育TVのPBSが放映中のアニメ「アーサー」の主人公である、ねずみのアーサーと妹のD.W.をキャラクター人形として使っている。本体小売り価格は110ドルと玩具としては比較的高額だが、発売以来全米で数十万個が売れて、昨年のヒット玩具の一つになったという。

 先日ハワイでたまたま第1弾のアクティメイツ・バーニーを目にしたのだが、どぎつい紫と緑という色合いに、お世辞にも可愛いとは言えない顔つき。「これはアメリカ向きとしか言えないな~」と思った。


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