ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年4月1日版


HEADLINE 3 articles

China-US太平洋海底光ケーブルネットワーク計画
NTTグループのマルチメディア戦略発表
関西経済連合会の新産業創出システム「IIS Japan」


[NTT][海外進出](レベルA')
●China-US太平洋海底光ケーブルネットワーク計画

 日経新聞15面、日経産業新聞9面及び日刊工業新聞11面には、3月18日のNEWS Watchでも一部取り上げた、NTTAT&T、中国郵電電信総局、香港テレコム、KDD、韓国通信、MCISBCシンガポールテレコムスプリントらの中国とアメリカを海底光ケーブルで結ぶ計画に関する覚書への正式署名の記事が掲載されているが、各国(特に中国)や各企業の色々な思惑が働いているようだ。
 NTTの3月31日のプレスリリースやKDDの3月31日のリリース、AT&Tの3月30日のリリースにもあるように、3月30日に北京にて覚書に正式署名しており、この海底光ケーブルによって、2015年の主力通信を目指して中国、日本、韓国が米国と4対の光ファイバー(1対当たり20Gbps、合計80Gbps)にて直接接続されることとなることが発表されている。前回のニュースでは100Gbps相当としていただけに、少し回線速度が落ちてはいるが、より現実的なものになったといえる。
 それにしても中国が、AT&TやKDDなどの海底ケーブルで実績のある会社だけに絞らずに、上記10社の参加を認めたところは、したたかな戦略を感じずにはいられない。実務上KDD&AT&T2社で充分なのではあるが、国際外交的な配慮はもちろんのこと、各10社の技術的なアドバンテージを吸収しようという意志も強く感じられ、2015年あたりには中国の方からのネットワークの売り込みがあるような気にもなってしまいそうだ。
 「なお、本プロジェクトへのNTTの正式参画は、NTT法改正法案成立後となります。」という、NTTのプレス・リリース内での最後の記載が消える頃には、この計画の建設発注先も国際入札により決定し、1999年末に運用開始(予定)しているかもしれず、これがNTTの(おそまきながらの)正式国際通信進出の第一歩となる可能性も高い。


[NTT](レベルA')
●NTTグループの(どっと)マルチメディア戦略発表

 日経産業新聞3面には、NTTNTTビジュアル通信が連携したマルチメディア事業の記事が、また日経産業新聞5面と日刊工業新聞11面には、NTTによるワークステーション用の155MbpsATMデータ通信ボード開発の発表の記事が掲載された。後記の記事は、NTTの3月31日付のプレスリリースにも上がっているものである。
 他にも3月31日付でINTERNET Watchにも掲載されたNTTデータ通信のEC実証実験「まちこ」(日経新聞17面&日経産業新聞3面及び日刊工業新聞7面掲載)の記事や、同じく4月1日付でINTERNET Watchに掲載されたNTTソフト「WebLive!」や「INFOVISER」ソフト発売の記事(日経産業新聞9面掲載)も掲載されている。
 4月1日を見計らってNTTグループのマルチメディア事業展開を大々的に発表したあたりは、今年度も日本の通信をリードするのはNTTだというようなイメージを作り上げようとしているようなのだが、前出の日中韓米間の海底ケーブルの構想に比べて、日本国内の各々の取組みはどれも小粒に見えてしまう。確かにピリリと辛い(背中に手の届くような)取組みではあるのだが、OCN構想のような、ブレークスルーを感じさせる取組みは、今年の国内については無さそうだ。それだけにNTTは、今年度をOCNも含めたインターネット環境の整備(実務)の年とも位置付けているのだろう。


[施策][ベンチャー](レベルB)
(社)関西経済連合会の「新産業創出システム」(The Industry Innovation System(IIS Japan)創設

 日経新聞21面と日刊工業新聞30面には、関西経済連合会の新産業創出システムである「アイ・アイ・エス・ジャパン(仮称)」を設立する記事が掲載された。平成9年度事業計画(案)でも一部に掲載され、3月31日付の提案書にも構想の案件が掲載されている。
 関西の地域から新たな産業(ベンチャーなど)を起して行こうという動きであるが、敢えてインターネット上で行うが故に、逆に地域性を活かしたもの(関西ならではの特徴を出す)となるかどうかが鍵を握っているように思われる。他にも、昨年大阪で開催されたAPECの会議での取り決めによる、その後の実務作業である「APEC環境技術交流バーチャルセンター」を4月1日より新設していたりということもあり、過去には大阪万博を大きな経済発展の足掛かりとした大阪だけに、APECもヴァーチャルな部分も含めた新たな発展のスタートとしようと頑張っている(意外にも堅実な)関西パワーが感じられる。


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