1997年7月23日
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●インターネットFAX研究会発足
●ジーアールホームネットのバックボーン10倍増強策
○今日明日のプロ野球オールスター戦をデータ放送で
余談3題:プッシュ普及/頭でっかち解消法/3階層ウィルス対策
[インターネットFAX][標準化](レベルA')
●インターネットFAX研究会発足
日刊工業新聞9面には、インターネットFAX(IFAX)の標準化を目指した「インターネットFAX研究会」が発足し、活動を開始したという記事が掲載されている。インターネット技術の標準化を進めている「IETF」(Internet
Engineering Task Force)のInternet
Fax Working Groupに対して標準化案を提出するなど、国際標準化活動を行うようだ。同研究会には既に研究者や通信機メーカー関係者ら約200人が参加しており、WIDEプロジェクト(村井純代表)もかかわっているのだが、一般のFAX利用者などの意見を吸い上げる必要もあるとして、WIDEとは別に同研究会が発足したということらしい。
既にWIDEは松下電産と協力して、インターネットFAX機器「FreePort
i66」を開発しており、IFAX機器開発などで先行しているのだが、7月10日のNEWS
Watchでも取り上げた米UUNETのインターネットFAXサービス「UUFAX」が年内に始まるなど、国内外から各種FAXサービスが数々始まる気配なので、標準化には時間的に厳しい状況と考えられる。しかし、インターネット電話のように、様々な方式/ソフト/会社などが乱立してしまってからでは、標準化作業も困難を極めることとなるので、何とか成果を上げてもらえるよう期待したい。IFAXのみならず、インターネット・サービス全般に言えることなのだが、各々のサービスにおいて、通信料などがただ安いということだけではなく、皆で共通に使えるといったメリットも持ちうるようになるべきなのだろう。
[相互接続][プロバイダー](レベルA')
●ジーアールホームネットは、バックボーンを10倍増強する
日経産業新聞2面には、パソ通の「ぷらら」を運営するジーアールホームネット(GrR)が24日から、インターネット接続サービスを強化して、他プロバイダーなどとの相互接続に使う基幹網の回線容量を46.5Mbpsから約430Mbpsに増強するという記事が掲載されている。新たに設置するのは、東京インターネット間で45メMbps、KDDの国際ゲートウェイサービス「インターネットKDD」間が45Mbps、国際デジタル通信の国際ゲートウェイサービス「IDC国際ゲートウェイ」間が90Mbps、その他の国内プロバイダー数社間が200Mbpsなどとなっているようだ。
早速、新相互接続会社の「日本インターネットエクスチェンジ(JPIX)」(5月8日のNEWS
Watch、6月23日のINTERNET
Watch-web記事及び、同日のKDDのプレスリリースを参照)などの成果が現れ始めたと考えられよう。これまで回線増強を行う場合、専用線を購入/借用したり、自前で回線を敷設するなど、一プロバイダーだけで費用をまかなうことは不可能な話しだった。しかし、今回のように一気に十倍近く増強できるようなことは、以前からしてみれば、いわゆるひとつの相互接続マジックと言えるかもしれない。
(ジーアールホームネットが高速化されれば、またその先へつながるプロバイダーなどにも高速化という恩恵が与えらるので、エンド・ユーザーばかりでなく、恩恵が広がっていくところも、インターネット的と感じられる)
[SPORTS][データ放送](レベルB)
○プロ野球オールスター戦を「アソボウズ・データ・スタジアム」で楽しもう
日経新聞13面及び日刊工業新聞7面には、スポーツ解析システムのアソボウズが、投手の球種やコースなど、プロ野球の様々なデータをインターネットで楽しめる「アソボウズ・データ・スタジアム」を23日のオールスター戦から始めるという記事が掲載されている。当初は無料で情報を提供し、9月から有料に移行するらしい。
既に「Date
Studiam BASEBALL」コーナーでは、7月21日のセ・パ両リーグの5試合が、再放送という形でON
AIRされている。Java Appletを使用し、一球毎のコースやカウント、守備位置などを連続コマ落としで見せてくれている。(画面表示の意味などは、ガイドを参照のこと)他にも「Asobou's
Score」コーナーでは、セ・パ両リーグの主力バッターのヒットが打てる得意なコースと苦手なコースが示してあり、ヒットになる球場ゾーンまで表示してあり、ヤクルト・野村監督が得意とするID野球の片鱗を楽しむことも出来る。
今日明日のオールスター戦でのデータ放送では、リアルタイムなデータ更新が不可欠なので、今後有料サービスを行う上での試金石となろう。アクセス過多の場合の解消法など、無料サービス時におけるデバッキングが充分行われる事が必要だろう。(既に、TVのそばにPCを持ってきている方もいるのでは?しかし、この原稿が掲載される頃には、本日のゲームは終わってしまっているだろうか...^_^;)
余談その1:(7月22日のWatchレポートを参照)
日経新聞13面&日経産業新聞3面には、マイクロソフトが22日、9月をめどに無償配布を始めるブラウザーソフト「IE4.0日本語版」向けに、日経新聞社など12社が情報提供すると発表したという記事が掲載された。
Watchレポートに記載されている11社に、東京ニュース通信社を加えた12社が情報提供するのだが、これから日本でプッシュ技術を普及させる為には、今回のような大手コンテンツ・メイカー(新聞社など)の大道団結が、内容充実を図る為にも必要となってくるということだろう。
余談その2:
日経産業新聞1面及び日刊工業新聞11面には、米テキサス・インスツルメンツ(TI)は米ラムバスと提携し次世代の高速半導体チップの開発に乗り出すという記事が掲載された。
ラムバス社がTIに対して、高速メモリー・インターフェース技術のライセンス供与を行った(7月21日のラムバス社のリリースを参照)結果、共同開発の道が開かれたようだ。これで、頭(Pentium等)の回転を、神経(バス等)を太くして、手足(DSPやASIC等)などに素早く伝えられるように出来れば、PC等も頭でっかちなどと呼ばれなくなるのだが...
余談その3:
日経産業新聞9面には、シマンテックが22日、総合的なコンピューターウイルス対策サービスを提供するための「マルチレイヤ・プロテクション構想」を発表したという記事が掲載された。クライアント側に「ノートンアンチウイルス」を、サーバー側にWindowsNTサーバー用の集中管理ワクチンソフトを、そしてインターネット用ファイヤウォール向けのワクチンソフトも近く発売して、3階層に分けてウィルス対策を徹底するようだ。
今までは、扉1枚(ワクチンソフト1本)で侵入を防げたのだが、門、玄関、扉と3重にしなければならないほど、強力なウィルスが誕生しつつあるのだろうか...(¨;)
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