ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月14日


HEADLINE 2 articles

大容量光ディスクの行方は...
リムネットのインターネットFAX通信機器「RIMFAX」
余談3題:次世代半導体/文書から情報へ/球体シリコン



[DVD-RAM][MMVF](レベルA'8月14日のPC Watch-Web記事も参照
大容量光ディスクの行方は...


 昨日の日経新聞1面トップで報じられた、DVD-RAMの統一規格が分裂した件は、今日になって朝日新聞を始め一般紙にも大きく取り上げられている。今日の朝日新聞9面と日経産業新聞16面にも、ソニーと蘭フィリップス米ヒューレット・パッカードの3社が共同で、DVD-RAMの独自規格を提案したという記事が掲載されている。これまで東芝松下電産方式とソニー・フィリップス方式とが対立したため、日立が折衷案を提案し、日米欧の電機メーカー10社で今春に規格統一を合意したばかり(4月2日のNEWS Watch記事を参照)なのだが、そのすぐ1カ月後の5月には欧州コンピューター工業会(ECMA)に対して、3社共同で独自規格を申請してしまったようだ。その規格では容量も片面3GBあり、統一規格の2.6GBより大きいらしい。朝日新聞では、各社の相関図まで掲載して解説をしており、かなり念の入った記事となっている。
 折角VHSとβのビデオ方式戦争の二の舞を踏まない様、両陣営のDVD方式の折衷案「ウォーブル・ランド・グルーブ方式」(4月11日のNEWS Watch記事を参照)を提案し、そこからDVD市場を拡大しようとしていた日立が、一番ガックリ(怒り心頭?に)きているのではないだろうか。20日には、神戸市でECMAの会合が開催され、そこで3社側は今回の独自規格申請の詳細を説明するようだが、紛糾するのは間違いないところだろう。

 こんな時にタイミング良く日経新聞11面には、NECが'98年中に、DVD-RAMの2倍の記録容量(片面5.2GB)を持つ次世代大容量光ディスク「MMVF(マルチメディア・ビデオ・ファイル)」方式を実用化するという記事も掲載されている。(関連情報が7月2日のPC Watch-Web記事及び7月1日のNECのリリースにあり)DVD-RAMを推進する各社は'99年をメドに片面4.7GBに容量を上げる計画だが、NECはそれに先駆けて商品化を目指すようだ。同紙面の解説でも、DVD-RAM規格分裂で次世代光磁気ディスク(MO)陣営共々、大容量記憶媒体として漁夫の利的に注目されることになるのではとしている。
 上記のNECのリリースにおいて開発したとしている10.2GB(両面)容量の技術を、まず片面にて実現し、先行して市場に送り出すとなれば、明らかにDVD-RAM市場を牽制した戦略と言えるだろう。

 上記2件とも、特許などの利権も含んで、各社の思惑が様々に絡んだ故の分裂/事業化と言え、PCユーザーにとっても大容量記憶媒体(光ディスク)方式の今後が不透明になり、ますます混迷の度合を深める事態となろう。(ユーザーはただ漠然と事態を見送るしかないのだろうか...)



[インターネットFAX](レベルA'8月14日のINTERNET Watch-Web記事も参照
リムネットインターネットFAX通信機器「RIMFAX」発売


 日経産業新聞2面にはリムネットが、インターネット経由のリアルタイムFAX通信機器「RIMFAX」を発売するという記事が掲載されている。送り手と受け手に端末を置いて情報をやり取りする方式で、最適送信速度などを設定できるので、遅延のない安定したFAX送信を可能にしたようだ。機器自体の価格も25万8千円と28万8千円(FAXに直結するタイプとPBX経由のタイプ)ということで、他社同等品に比べて半額以下に設定するらしい。
 この機器は、イスラエルの通信機器メーカーのラドリンクス(RADLINX)社の製品をベースに日本仕様を開発したということで、同社の7月5日のニュースリリースにおける、リムネットとのPASSaFAX機のOEM契約での製品が出荷されることになったようだ。同社の技術解説では、OND(Overriding Network Delay)という技術を開発し、その技術によってインターネット上でも遅延なくリアルタイムに安定送信できるようだ。そのため、専用サーバーなどにFAXデータを一時蓄積しておく必要が無くなり、送信ミスが発生した場合でも即座に判明するというメリットもある。
 これまでも、UUNETの企業向け「UUFAX」サービスや松下電産インターネットFAX機器「FreePort i66」などのインターネットFAXシステムを度々取り上げてきた(7月10日のNEWS Watch記事を参照)のだが、サーバーでの処理方法やPBXとのつなぎ方など、まだまだ方式的に固まっておらず、日本でも「インターネットFAX研究会」が設立されてはいる(7月23日のNEWS Watch記事を参照)のだが、なかなか共通仕様を仕立てるまでには至っていないのが現状だ。そんな中で、インターネット電話サービス「リムフォン」も展開するリムネットは、インターネット電話とFAXの両サイドを考慮した、共通化した技術及びサービスにおける仕様を構築することが可能で、この分野でも先行出来る立場にあると言えそうだ。




余談その1:
 日経新聞9面&日経産業新聞8面には、東芝米IBM、独シーメンスなどが進めていた次世代半導体である1GB-DRAMの共同開発体制が抜本的に見直されるという記事が掲載された。当初参加予定の米モトローラが不参加を決め、東芝も三菱電機と供に、IBMなどとは別方式(バリウム・ストロンチウム・チタン:BSTを使用)を取ることを決めたようだ。
 上記のDVD-RAM規格不統一問題とは異なり、次世代と名前が付く間は離合集散や切磋琢磨を続けて、より良いものの開発を希望したい。(しかし、そこに企業エゴが働き始めると...)

余談その2:
 日経産業新聞1面には、富士通文書管理規定を廃止して情報管理規定に切り替えたという記事が掲載された。サイバースペース時代に対応した管理規定の変更としているようだ。
 メールやWebでの情報交換などの開かれたインターネットの利用法も、今後この様な企業側からの利用規定がかけられることにより、イントラ/エクストラネット・ユースからの新たな使用法などの枠組みを受け入れざるを得なくなりそうだ。

余談その3:
 今日はハード(半導体)関連の記事が多いのだが、最後に日経産業新聞1面トップに掲載されている、ICリードフレーム大手の三井ハイテックが米半導体ベンチャーで直径1mmの球状シリコン表面に半導体回路を形成する新技術を開発したボール・セミコンダクター社に対して資本参加したという記事を取り上げたい。出資額が約30億円と、ボール社の資本金の50%弱となり、三井ハイテックの97年度研究開発費の1.6倍にもなる投資額でもあるようだ。また、人的にも協力するらしい。
 確かに平面シリコンウェハを球体にして集積率を上げる技術的発想は、何かブレイクスルーしてくれそうな力があると予感させる。6月26日のNEWS Watchで取り上げた、オプトロム社のCPUなどコンピューター部品を内蔵した光ディスク:「インテリジェントディスク(ID)」開発と同様に、ソフト技術ばかりでなく、ハード技術も従来の機器(観念)をガラッと変えてしまうような着想(パワー)がどんどん生まれてくるように期待したい。



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