ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月21日


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郵政省のCATVデジタル化支援
インテレネット・システムとは!?
余談6題:日本の通信行政の行方は...2/広告収入/メーラー共有/こども検索/ディスクロージャー公開/JPEGとMPEGの父/休刊連絡



[デジタルCATV][政策](レベルA'
郵政省のCATVデジタル化支援


 日刊工業新聞2面には、郵政省がCATVのデジタル化への支援に乗り出すというという記事が掲載されている。年明けには一部のCATV業者がデジタル放送へ踏み切ると見られているが、経営基盤の弱い中小のCATV業者は資金難から設備導入が出来ないのが現状である。そこで、低利融資や投資減税などの支援を行うことで、CATV事業のデジタル化を促進させようとしているようだ。
 既に今年5月から東京ケーブルネットワークがデジタル実験放送を行っており、東急ケーブルテレビジョンなど4局も今秋には試行サービスを行う予定らしい。さらに、年内には受信機であるセット・トップ・ボックス(STB)も商品化されるというデジタル化への流れはあるのだが、従来のアナログからデジタルに転換する為には、特に局側の送信施設の変更にかなり設備投資が必要となってくる。地方などのCATV業者には財政的な負担が大きくなるので、今回の支援策を決定したようだ。
 5月には、(社)日本CATV技術協会の規格・標準化委員会が、デジタルCATVの標準規格を策定5月30日のNEWS Watch記事を参照)し、日本のデジタルCATV放送普及に拍車がかかるかと思われたが、どうも現状では一筋縄では普及して行かないようではある。5月19日のNEWS Watchでも、CS衛星を使ったPerfecTV!などのデジタル衛星TV放送の普及が、日本でのCATV普及拡大を難しくするだろうという記事を紹介したのだが、今日の日刊工業新聞8面の記事では、そのPerfecTV!を運営する日本デジタル放送サービスでさえも、今秋からサービスが始まるディレクTVや来春から始まるJスカイBなどに参画を検討している委託放送事業者に対して、牽制球を投げているようだというのだ。早くも加入ユーザー数の頭打ちから、パイの奪い合いへと移りつつあることを示しており、チャンネル数が多く設定できるデジタルTV放送全体の先行きにも、一抹の不安がもたげてきたとも思われる。
 インターネット用インフラとしても期待されているCATVなのだが、デジタル化も遅れ、衛星や地上のデジタル放送にシェアを奪われてしまうことになれば、折角の高速伝送性能を活かしきれずに終わってしまう可能性も感じてしまう。



[インテレネット!?](レベルB
ホームページにPCと電話の両方でアクセス出来る「インテレネット」システム


 日刊工業新聞39面には、クレフ インベンション(福岡)が、ホームページにPCと一般電話の両方でアクセス出来る国内初の「インテレネット」システムを開発したという記事が掲載されている。インテレネットは、専用PCサーバーとモデム、ソフトなどで構成され、インターネットと電話の双方のアクセスを同サーバーが一括管理してホームページに接続するようだ。電話では、音声ガイドに従ってプッシュボタンを押すと、ホームページの選択ボタンが押されたのと同じ動作に変換されるらしい。同システムを特許出願し、システム価格も電話回線1本で100万円弱を予定しているようでもある。
 既に、インテレネット第一号として、大分県民生協のホームページと連動させて8月から稼働しているようで、アンケート&プレゼントなどにも使われている。テーマ「家庭生活とインターネットの意識調査」の集計も既に出ており、アクセスカウンター形式で人数表示をしている。(「プレゼントは只今準備中です。乞うご期待。」というのはご愛敬だろうが...(^_^;)
 その解答されたカウンター数を見ても分るのだが、やはり圧倒的に電話アクセスの方が少ない結果となっている。ホームページ上でアンケートを見て、わざわざ電話で解答する人はまずいないことから、アクセス数を増やすためには、バーチャル以外の公報活動も重要となってくるだろう。ホームページ上でも情報を広めるためにプッシュ技術が使われてきているように、電話で情報を広めるためのプッシュ技術としては、DMならぬダイレクト・テレフォン・システム(DT!?)を使うこととなる...のだろうか。(非常に迷惑な技術となりそうなのだが...(¨;)




余談その1:
 昨日のNEWS Watchでトップに取り上げた、行政改革会議の続報が、今日も日経新聞1面トップなどや日刊工業新聞1面に掲載された。そして、集中討議最終日の今日は、日経新聞夕刊1面トップにもあるように、現行の1府21省庁体制を1府12省庁に整理・統合することを正式に決定したようだ。(この3日間の経緯は、NIKKEI-NETの「行革特集」ページを参照)
 その中の郵政省の解体に絡み、郵政3事業(郵便、郵貯、簡保)の見直しの最終調整が、今後の課題として残ったようだが、予めこの民営化問題を討議しやすくするために郵政省解体を進めたとするならば、本末転倒も甚だしいと言えるだろう。将来日本の通信行政にとっても必要性のある産業省という形を、先に示すべきではと思われる。

余談その2
 日経産業新聞2面には、ニフティが10月をメドに、オンライン広告の掲載に踏み切るという記事が掲載されている。ネット上にバナ広告を掲載する他、広告主とタイアップの会員向けイベントを主催するなど、10月の利用料金値下げに向けて、広告収入を新たな収入源にする考えのようだ。
 245万人ともいわれる日本最大の会員数を誇るニフティだけに、ここでの広告事業の成否が、将来日本のオンライン広告が発展するのかどうかを見る絶好の実験場になるとも言え、大いに注目される事業であろう。

余談その3(8月20日のINTERNET Watchダイジェスト記事にも掲載あり)
 日経産業新聞8面には、アスキーサムシンググッド(ASG)が10月3日、利用者を切り換えられる電子メールソフト「E-mily」を発売するという記事が掲載されている。Windows95/NT対応で、価格は単体で1万円、発売記念5ライセンスパックで34,800円となっている。
 PCが一人一台の環境にある職場というのは、まだまだ多くはないはずで、共用PCではまさに望まれるソフトだろう。ただし、PCの奪い合いも激しくなるのは必定だが...(^_^;)

余談その4
 日経産業新聞2面には、京都リサーチパーク(KRP)が、小中学校のPC教育向けこどもサーチエンジン「ひらけゴマ」を開発したという記事が掲載されている。この検索エンジンは、小中学校の教師がホームページの内容を事前に審査し、子供達に不適切と判断したものをあらかじめ除外しているらしい。現在、3万件以上のホームページが登録されており、「ニュース」や「のりもの」など10項目に分類されているようだ。
 このところ、わいせつや暴力関係などのページを子供達に見せないために、フィルタリング・ソフト/システムを導入するケースも増えつつあるのだが、その本場アメリカでも、Yahoo!のこども向け検索エンジン「Yahooligans!」サービスなども始まっており、情報提供側と受手側双方による社会的な情報操作(聞こえは悪いのだが)の必要性の高まりを感じさせている。

余談その5
 日刊工業新聞29面には、富士銀行97年版ディスクロージャー(情報開示)誌全ページをホームページに掲載し、インターネット開示を始めたことを明らかにしたという記事が掲載されている。
 既に7月22日から、PDF形式で公開されているのだが、今回は同行のディスクロージャー誌をCD-ROM化し、26日から閲覧も出来るようにすることから、新聞記事になったと思われる。
 折しも、日経新聞1面には、シンガポールの政府機関が同国の地下鉄工事の保証業務で、東京三菱銀行を除く邦銀を事実上締め出したことが明らかになったという記事が掲載されている。(同7面のきょうのことばも参照)
 欧米のみならずアジアでも、邦銀の信用の凋落が見え始めたわけだが、上記のようなインターネットを使った地道な公開努力が、少しずつではあるが失地回復の基礎となっていくだろう。

余談その6
 今日のNEWS Watchは記事の数で勝負している感があるが、最後までおつき合いいただいた皆様に、良い話しをひとつ。
 昨日と今日の日経産業新聞5面には、「日本のオリジナリティー」と題して、JPEGやMPEGといった静・動画像圧縮規格の標準化の父とも言える、安田浩東大教授の話しが掲載されている。
 その中で、JPEGやMPEGを国際標準にまで押し上げた源は、穏やかな性格の中に有る、画像への熱意が相手に伝わることだとしている。日本がことごとくグローバル・スタンダードから取り残されつつある今、教授のような熱い想いがあれば、きっと世界に通じる何かが見えてくると期待させてくれる記事であった。(このNEWS Watchも、その何万分の1でもいいから、私の熱い想いが伝わってくれていれば本望なのだが...)

休刊連絡
 明日は、臨時休刊といたします。ご了承下さい。m(__)m



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