ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年8月28日


HEADLINE 3 articles

PersonalJavaでWebphone開発
著作権を巡る技術と取り決め
インターネット人口を増やすためには
余談2題:携帯ワープロ/手動式/休刊連絡



[JAVA][WEBPHONE](レベルA
PersonalJavaでインターネット電話機を海外大手メーカー3社が開発


 日経新聞13面には、カナダのノーザンテレコムと仏アルカテル、韓国の三星電子の通信・電子機器大手3社が、Javaを使ったインターネット電話機の開発に乗り出すという記事が掲載されている。3社は、米サン・マイクロシステムズから情報家電向けソフト「パーソナルJava」をライセンス供与を受けることで合意しているようだ。
 8月26日の三星のニュースリリースでも、「Webphone」と呼ばれるインターネット電話機を、3社がそれぞれ1998年中ごろまでに出荷する計画としており、通話機能に加えて電子メールや各種オンラインサービスが利用できる次世代型の電話機とするとの記載もある。他にも、サンのスコット・マクナリー会長が、「パーソナルJavaがWebphoneのような産業機器に採用されることは喜ばしい。」とし、「Webphoneは、一般家庭市場へのJava浸透の、全世界的な第一歩となるだろう。」と語ったともしている。確かに、これまで家電向けJava機器としては、一般TV向けセット・トップ・ボックス(STB)ぐらいが製品化されているに過ぎず、なかなか家庭内に浸透する突破口が見いだせずにいた状況なので、大手家電機器メーカーがバックに付いたことにより、サンを中心としたJava推進陣営もより大きな前進と感じているのだろう。
 上記の発表や発言などは全て、8月25日から28日までニューヨークで開催されている「JAVA INTERNET BUSINESS EXPO」にて公表されたもので、このところJava関連のニュース(INTERNET Watch-Webでも、Java StudioJDKJava-Navigatorなど)が相次いでいるのもその影響なのだが、今週いっぱいまではJava関連情報から目が離せないことになるだろう。



[著作権][透かし技術](レベルA'
著作権を巡る技術と取り決め


 日経新聞17面には、ソフト開発のエム研が、 デジタル画像などの著作権を保護する電子透かしシステムを開発し、9月1日から著作権管理サービスを始めるという記事が掲載されている。作者や作品の登録(登録料は1人当たり1万5千円、電子透かしの埋め込み料は1作品当たり800円)を行い、2次利用を希望する問い合わせなどに応じるサービスとなる他、来年4月からは、既に開発されている透かし情報を読み取るソフトをインターネット上で自動巡回させ、不正コピーなどを発見して著作権者に連絡するサービスなども開始する計画のようだ。
 このサービスは、同社の開発製品の中の、電子透かし「にんじゃマーク(開発コード名)」技術を応用して著作権管理サービスを始めると考えられる。NTTなども電子透かし技術を使ったコンテンツ課金サービス「InfoProtect」を開始しており(6月17日のINTERNET Watch記事にも関連記載あり)、著作権に関する流通経路における保護技術は着実に進展していると見る事が出来る。
 こういった著作権を守る技術的なアドバンテージが生まれつつある中で、日経産業新聞28面のビジネスTODAYコーナー(裏1面トップ)には、CD-ROMの制作会社と、日本音楽著作権協会(JASRAC)が著作権料の規定をめぐり対立しているという記事も掲載されている。今回問題になっているのは、オラシオンが10月17日に7,800円で発売を予定している中島みゆきのデビューから現在に至るまでの音楽活動の歩みを収録した「なみろむ」で、CD-ROMをビデオとみなすJASRACの計算をそのまま当てはめると、著作権料が定価の6割にも達してしまうということのようだ。以前発売した森高千里のCD-ROMに対する、音楽出版社との間で取り決めた著作権料が2%程度だったらしいので、今回のCD-ROMに対してビデオ著作権が適用されれば、とても予定売価を維持できないと思われる。
 前記のような電子透かしなどの技術を使えば、例え動画といえども作品の著作権は守られやすくなるのだが、技術とは別の権料に関する解釈というものは、時代や媒体によっても異なってくるのは当然の成り行きだろう。こういった技術的な著作権保護のシステムが確立される前に、新メディアでの著作権をどう取り扱うかなどの、取り決めの方針ぐらいでも示していかないと、またしても技術の進歩にただ振り回されて、後手後手にまわってしまうということにもなりかねない。



[FAXサービス](レベルB
インターネット人口を増やすためには


 日経産業新聞8面には、インターネット関連ベンチャーのエースジャパン(東京・杉並)が、インターネットを経由した電子メールをFAXで受信できるサービス「エースペーパーメール」を開始したという記事が掲載されている。基本料が2000円/月で、利用料が5円/6秒となるようで、まず東京、千葉、神奈川など関東圏でサービスを開始しており、9月以降は関西圏にも進出するらしい。
 また、同じく日経産業新聞の5面には、NTTがFAXを使ってホームページを作るソフトを開発したという記事も掲載されている。ワープロ文章をFAXでホームページ管理センターに送り、センターにおいて文字認識を行い、ホームページの内容を変更するシステムとなっており、今後は手書き文字も認識できるOCRソフトも使っての手書きFAX対応も行う考えのようだ。
 昨日のINTERNET Watch-Webにも掲載されたような、郵政省が9月1日からインターネット経由で郵便を出せるサービス「ハイブリットメールサービス」を開始するという件もそうなのだが、オフラインな人達との伝達サービスというものがまだまだ拡大する傾向にある(整備されていない)と言えるのではないだろうか。キーボードとCRT画面を恐れる人々に、インターネットの何たるかを無理やり教え込むより、現実のサービスを介してインターネットに取り込んで行く方が、何百倍も手っとり早くかつサービス等の拡大も見込めるだろう。NEWS Watchをお読みいただいているインターネット・マスターの方々にも、先端技術ばかりを追いかけるだけではなく、底辺の底上げのための技術革新も忘れないよう、お願いしたい。




余談その1:
 日経新聞16面&日経産業新聞9面及び、日刊工業新聞10面には、日本電気ホームエレクトロニクス株式会社(NEC-HE)が9月21日から、携帯ワープロ文豪ARDATA(アルデータ):CA-2000T」を発売するという記事が掲載された。A5サイズで単三乾電池4本で約60時間駆動を実現するなどの他にも、モデムやPHSデータ通信等の機能を持つことが可能なので、その辺のモバイルPCと遜色ない機動性を持っていると言えよう。このところノートPCやモバイル端末、PDAなどに圧されて、すっかり影が薄くなってしまったワープロ専用機だが、ささやかなる逆襲といったところか。

余談その2
 日刊工業新聞33面には、日省エンジニアリング(宇都宮市)が、携帯電話用小型手動式発電機「アラジンパワー」を開発したという記事が掲載された。手のひらサイズの約100gと軽量な機器で、ホチキスのような形をした本体を握ったり・放したりを繰り返してマグネット部分を回転させ、1~1.5W程度を発電コイルに発生させる構造となっているようだ。今後はノートPCなどの用途にも開発を進めるらしい。
 また日経新聞の10面には、ソニーが9月1日の「防災の日」に、『非常に、手回しのいいラジオ』と銘打って、単三電池と手回し発電の電源を兼ね備えた非常用ラジオ「ICF-B200」(1万2千円)を発売するという全面広告も掲載されている。
 アウトドアで情報を得るためには、まずからだを鍛えて、災害などいざという時に備えよ、ということで...(^_^;)

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