ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年9月4日


HEADLINE 2 articles

EXTRANETをサポートするVPN
インターネット広告の現在と未来
余談3題:コンビニPC販売/Appleの方針/世界新技術/休刊連絡



[EXTRANET][セキュリティ](レベルA'
エクストラネットをサポートするバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)


 日経産業新聞9面には、日本DECが暗号ソフト大手のローレルインテリジェントシステムズと、エクストラネット事業で提携し、ICカードをセキュリティーの手段にしてインターネットを専用回線のように利用するバーチャル・プライベート・ネットワーク(VPN)ソフトを共同開発したという記事が掲載されている。DECのVPN製品「アルタ・ビスタ・トンネル(AVT)」のキーファイルをICカードに保持して、ネットワーク・システムの信頼性と安全性を高めるソフトのようで、端末ユーザー向けパッケージソフト製品群を49,800円で出荷し始めたらしい。
 日本DECとローレルとは、マカフィーのウィルス対策ソフト製品群「VirusScan」と、ローレルの暗号・認証製品を融合させたソフトを、ICカードに入れたセキュリティパッケージ「防人」6月30日のNEWS Watch及び9月2日のINTERNET Watchダイジェストにも関連記事あり)の8月発売に際して、企業向けの販売ルートを確保するための業務提携を行っており、今回はそのICカード技術を応用して完成させたものと思われる。
 このところVPNなども、少しづつ需要が上がってきており(NTTのISDNを使った「メンバーズネット」サービス開始もその一種、6月20日のNEWS Watch余談その2にも関連記載あり)、そのインターネットVPN用ソフト技術であるアルタ・ビスタ・トンネル(AVT)は、暗号スクランブルを使って、あたかも専用線を使用しているようにインターネット回線の通路を作り上げる事ができ、AVT Workgroup Edition(トンネル・サーバ)AVT Personal Edition(トンネル・クライアント)の2種類がある。トンネル・サーバは、2つのサーバ(又はVPN)間を接続し、企業や組織間の機密通信(エクストラネット)をサポートし、トンネル・クライアントは、インターネットを介してクライアント側のPCをVPN経由のサーバへの接続を可能にする。このVPNの中で、ローレルの機密ICカードを使用すれば、トンネル・サーバ用ではエクストラネットでの各PC端末や携帯端末の機密管理が出来、トンネル・クライアント用ではイントラネットでの各PC端末や携帯端末の機密管理が可能になる。
 しかし、このVPN+ICカードを一気に民生用にまで広げると、オンラインでのコンテンツ売買からインターネット・バンキングまで、EC市場などにも応用可能となるので、かなり広範な用途拡大が見込めそうだ。
 ECでは、個人(端末)と店側(サーバ)の認証が重要ではあるのだが、その認証自体が経由するネットワークに対してもセキュリティを上げるような配慮も、今後は必要となってくるだろう。



[インターネット広告](レベルA'
インターネット広告の現在と未来


 日経産業新聞3面には、インターネット広告に関する2つの企業の取組みと、特集記事が1つ取り上げられている。
 まず、三井物産がホームページ用にゲームのレンタルサービスを始めたという記事が掲載されている。同社が運営する仮想都市サービス「キュリオシティ」上のゲームセンター「Internet Explorer CURIO CITY GAME LAND」(7月開設)のノウハウを活用し、ActiveXを利用したゲームをホームページを持つ企業などに貸し出し、利用者のアクセス増加を見込ませて広告効果を上げようとしているようだ。レンタル料は3カ月限定で、50~100万円ということらしい。
 また、交通広告を手がけるNKBが、インターネットによる飲食店の検索サービス「ぐるなび」を強化し、今月からバナー広告を開始したという記事も掲載されている。年内にも飲料・食料メーカーと組み、宣伝と検索機能を組み合わせた独自の広告ページを作って、バナーをクリックすると検索ページに飛んで自動的に情報提供できるようにするようだ。例えば某ビール会社のバナー広告をクリックした場合、「某ビールをおいしく飲めるレストラン」を自動検索し情報提供するらしく、このタイプの広告制作料金は3千円を予定しているようだ。

 また、特集「ネットビジネスの光と影」その第3回の「広告サービス」では、ニューズ・ウィーク・ジャパン・オンラインAOLニフティヤフー・ジャパンインフォシーク・ジャパン等の取り組を紹介し、日本のインターネット広告市場も2000年には200~300億円(TVが現在1兆8千億円)市場になると見込まれる中で、どこのサービスも広告収入に関しては強気な拡大路線を強調しているということのようだ。
 このところ、バナー広告を表示していても宣伝効果がイマイチなのではないかという声も聞かれ、その改善のために上記2件のような、エンターティンメント性を上げたり、検索システムとの連動での宣伝効率アップなどでの、アクセス増加対策を行っているサイトも増えてはきているが、まだまだ小手先の方策のようにも感じられる。上記特集でも、人気サイトの寡占化が既に始まっており、インターネット広告自体の集中も起きつつあるとしているように、広告市場全体が拡大していくには、まだ少し時間が必要のようだ。
 小手先とはいっても、現実の地道な取組みの積み重ねの上に、大きな世界(市場)が広がっていることを期待したい。




余談その1:9月3日のPC Watch-Web記事にも関連記載あり)
 朝日新聞13面日経新聞16面&日経産業新聞13面、及び日刊工業新聞9面には、丸紅とコンビニのローソンが3日、PCと周辺機器などを9月下旬から、首都圏のローソン店舗で販売すると発表したという記事が掲載された。来年2月までには、全国約6,400のローソン全店の店頭に置く端末で扱えるようになり、将来は秋葉原のPC専門店並みの品ぞろえと価格を実現するらしい。
 PC販売もインターネットと同様に、分散型の展開を模索して行きそうだ。

余談その2:
 日経新聞13面には、米アップルが、OSのライセンス戦略を見直すという記事が掲載された。MacOS8までは供与するが、その次のOSやノートPC用OS、CHRP向けの次世代OSなどは、原則的に供与しない方針らしい。
 もちろん互換機メーカーにとっては、大変な死活問題なのだが、アップルにとっても果たしてプラスの選択なのだろうか。インターネット関連市場が、なぜこれほど拡大したかを考えると、そのオープン・スタンダードな部分で多くの人々に受け入れられて来たからだと思うのだが、この方針でアップルが、いつか来た道をまた逆戻りしてしまわないかと心配してしまうのは、私だけだろうか。

余談その3(今日のなぜ?
 インターネットや情報通信機器などには直接関係ないのだが、今週の2日にNEWS Watchの余談その2で取り上げた、日本ビクターがVTR往復記録技術を世界で初めて開発したという記事に引き続いて、新製品開発に関する記事が掲載されているので取り上げて見たい。
 日経新聞13面には、ブリヂストン(BS)が3日、摩耗時にもタイヤの基本性能を維持できる新基盤技術「AQドーナツ」を開発し、10月にもスポーティーカー向けに第1弾製品の発売すると発表したという記事が掲載された。タイヤが摩耗してくると、内部からよりグリップ力の高いゴムが出現する構造のようで、摩耗時の性能劣化防止を前面に打ち出すのは世界でも初めてらしい。
 この技術も、どうして今まで開発されなかったのだろうか。他にも、最初からよりグリップ力の高いゴムでタイヤを作った方が良いのではとか、摩耗させた方がグリップ力が高くなるような逆転現象が起こらないかとか、素人ながら疑問がふつふつと沸き上がってくる。きっと上記のリバースVTRと同様に、コロンブスの卵的な発想から生まれてきた技術なのだろうが、妙な勘ぐりをしたくなってしまのも、両技術ともに世界初だからだろうか...
(ネーミングも、「AQ(永久!?)ドーナツ」というゴロ合わせのようでもあるし...(^_^;)

休刊連絡:
 明日のNEWS Watchは、休刊と致します。ご了承願います。m(__)m



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