ウォッチャー金丸のNEWS Watch
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1997年10月6日


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ヤマハとアクセス、テレビ朝日のデータTV放送への取組み
日本版「JavaStation」発売
余談3題:デジタルDPEサービス/Web-zine「ウォーカー」シリーズ/M&A続報



[データTV放送][IA](レベルA'本日のINTERNET Watch参照
ヤマハ、アクセス、そしてテレビ朝日のデータTV放送への取組み


 日経新聞13面には、ヤマハとネット家電ソフトのアクセスは共同で、TV放送電波のすき間(VBI)を利用して、文字や映像情報を送る地上波データ放送を受信可能にする、初のTV向けシステムボードを開発したという記事が掲載されている。テレビ朝日のデータ放送「ADAMS(アダムス、tv-Asahi Data And Multimedia Service)」への受信に対応しており、試験システムとしては価格は16万円前後になるようだ。
 また日経産業新聞3面には、テレビ朝日と関連会社のテレビ朝日データが、「ADAMS」を来春からTVでも利用できるようにするという記事も掲載されている。既にテレ朝、NTT、松下電産、LSIジャパンの4社はPC向けデータ放送方式「データウェーブ」を共同開発しているが、今回はそのTV版の技術基準をまとめたらしい。テレ朝とテレビ朝日データは来年3月に試験放送し、4月からTV向け本放送に移る予定で、すでに6月からPC向けデータ放送サービスを提供しているテレ朝だが、系列全社 (テレ朝を含む全国24局)も来年3月をめどにPC向けデータ放送の開局を準備中ということらしい。
 これまでもアクセスは、米半導体ベンチャーのインテグラフィックス・システムズとのTVインターネット用システムLSI「サイバープロ2010」開発協力(9月3日のNEWS Watch参照)や、ナショ・セミ・ジャパンと「ネットフロント」を搭載したシステム開発(9月25日のNEWS Watch参照)を行ったり、今回もヤマハともネットフロントを組み込んだシステム開発に協力しており、放送関連のIA機器用システムへのソフト提供に中力しているようだ。
 またTV電波を使ったPC向けのデータサービスは、TBSが10月から「データパレード」をスタートさせて(9月30日のNEWS Watch参照)はいるが、テレ朝の方はサービス開始時期が遅れる分、PC以外にもTV受像機に接続できるセット・トップ・ボックス・タイプの機器も含めたHTMLデータ放送を普及させて行こうとしているようだ。

 上記のようなTVとインターネット(HTML)放送が家庭に配信されてくる時代になれば、ますます情報家電(IA)の利用度も上がってくると言える。そういった意味では、今日から日経産業新聞第1面と2面で連載再開した「モダンタイムス2001」第5部でも、ネット家電を中心とした家電メーカーの逆襲(復権)を取り上げて行くようなので、今後のIAの展開を考える上で参考になるだろう。



[Java端末][NC](レベルA'
日本版「JavaStation」発売


 日経産業新聞7面には、日本サン・マイクロシステムズが、米サンが開発したNC「JavaStation」を来年1月に国内で発売するという記事が掲載されている。企業向けを中心に、価格は1台10万円以下を予定しており、UNIXサーバーと組み合わせて管理コストが安い情報システムの普及を目指すようだ。この機種は米サンが96年12月から、MPU「100MHz microSPARC-II」を搭載して発売(価格は742ドルから)しているが、日本市場では同MPU動作速度を200MHz程度に向上させて、設計仕様も一部変更することとなっているようだ。その他は、米国でのJavaStationの仕様にもあるように、簡易型OSとして「JavaOS」を搭載、ブラウザーには「HotJava」を使うところなどは同じらしい。
 このNCは、JavaChips(picoJavaやmicroJava、UltraJavaなど)を使わず、まだmicroSPARCシリーズを使っているため、完全にJavaネイティブ(高速処理)の機器とは言い難いのだが、まだシステムの信頼性(完成度も含む)などを考慮して、このMPUの選択がなされたと思われる。

 これから来年にかけては、米ネットスケープ・コミュニケーションズオラクルが提携(NCI社にそれぞれの子会社を合併)して「家庭・ビジネス用端末」を今年のクリスマス商戦向けに第一弾を発売する計画(5月30日のNEWS Watch参照)などもあるようなので、上記のJava端末も含めたNC陣営と、このところPCメーカー間の足並みが乱れ始めているNetPC陣営との対立が、今年末から来年初めにかけて深まっていき、来年の夏を前にWindows98搭載機とJava(NC)プラットフォームの対立も、激しさを増してくると思われる。




余談その1:デジタルDPEサービス
 日経新聞17面には、DPE最大手のプラザクリエイトが11月1日から、DPEチェーン「パレットプラザ」全店(750店)で普通の写真をデジタル化してコンピューターに蓄積し、顧客がインターネットを通して閲覧、各種発注、再利用ができる「フォトネットサービス」を始めるという記事が掲載された。イスラエルのピクチャービジョン社と設立した合弁会社のフォトネットジャパンと共同展開し、フィルムのデジタル化と保管は1本500円でプリント1枚30円を予定しているらしい。
 昨年の11月に写真のデジタルデータ化サービス「フォトネット」を開始すると発表('96年11月12日のINTERNET Watch参照)してから約1年余りで、全国750店舗での受け入れ体制を整えたということなのだが、その間にデジカメ普及が拡大してきているために、通常写真をWebに載せるニーズが減る可能性もありそうだ。(一般の人々が、通常の写真を使ったインターネット発信に目覚める割合と、自分でデジカメで撮影してWebに載せるサービスを選ぶ割合とでは、家庭用PCの普及率が(一時期よりはスピードダウンしたとは言え)今後も高まる中においては、後者の方が増えていくと思われる)

余談その2:Web-zine「ウォーカー」シリーズ
 日経新聞15面には、角川書店は東京をはじめ4地域で発行している都市情報誌「Walker」シリーズを発売当日に各誌の情報をインターネットで無料掲載するという記事が掲載された。イベント情報を日付や場所などで検索できる「ウォーカーズ・ネット」も11月に開設するらしい。(TokyoWalkerNetは既に開設済)
 今月30日には、出版界としてはまだ珍しい株式公開を行う角川だけに、出版にとらわれない新機軸として今回のサービスを展開する意図があるのだろう。しかし、Web-zineの収益がまだまだ定着していない現在、売れ線の「ウォーカー」シリーズを無料掲載してしまうとは、思い切った決断とも映ってしまうのも事実だ。

余談その3:M&A続報今日の弱肉強食10月2日のNEWS Watch参照)
 10月4日(土)の日経新聞7面には、米ワールドコムMCIコミュニケーションズ買収提案の続報で、ワールドコム側は買収に必要な法的措置を取り始めたという記事が掲載された。具体的には、MCIの敵対的買収防止措置の封じ込めと、英ブリティッシュ・テレコム(BT)との合併拒否時に発生する違約金を無効にする措置ということらしい。
 企業間のM&Aが始まれば、買収する側としては当然とる措置ではある。しかし、この様に一度M&Aに狙われれば逃げ道を阻まれ、どっちに転んだとしても存亡をかけた激しい戦いを強いられてしまう現実を真の当りにすると、背中が寒くなる思いもしてしまう。(最初から提案などと生温いものではなく、ワールドコムはM&Aに本気だったということなのだろう)



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