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Lesson 18.(最終回)

[2009/04/10]
Lesson 17.
コンテンツの安全性に配慮しよう
[2009/02/20]
Lesson 16.
バイラルを活用したSEO
[2008/11/21]
Lesson 15.
Googleのローカルビジネスセンターを有効活用する
[2008/08/28]
Lesson 14.
継続は力なり
[2008/05/30]
Lesson 13.
検索エンジンと戯れる“遊び心”を持とう
[2008/03/03]
Lesson 12.
フレーム構造を使ったサイトがGoogleで上位に
[2007/12/19]
Lesson 11.
今後のパーソナライズドSEOを有利にするために、現在のSEOが重要
[2007/10/22]
Lesson 10.
Webマーケティングで生き残るために必須のもの
[2007/08/29]
Lesson 9.
Googleのサービスから読み取れること
[2007/07/31]
Lesson 8.
複数サイトの落とし穴
[2007/06/20]
Lesson 7.
SEOしたい検索サービスをホームページにする
[2007/05/29]
Lesson 6.
SEOで1位は良いことずくめか?
[2007/03/28]
Lesson 5.
紙媒体の情報をSEOに活かす
[2007/02/27]
Lesson 4.
テレビ番組を利用したマーケティング
[2007/01/24]
Lesson 3.
季節を利用したSEO対策
[2006/12/21]
Lesson 2.
ページランクの高いサイトとリンクする方法
[2006/11/22]
Lesson 1.
フレーム構造はSEO的に不利?
[2006/10/26]
Lesson 14. 継続は力なり

 皆さんこんにちは。聖火リレーの混乱や大地震など、今年のオリンピックはどうなってしまうのでしょうか。


継続は力なり

 「継続は力なり」と申しますが、何事も続けるというのは大切なことです。昨日からSEOを始めた方がどんなに勉強しても、5年続けている人にはなかなか太刀打ちできません。過去の体験までを情報として得ることは困難だからです。

 では、今からSEOを学んでも先行者に勝てないのでしょうか。いいえ、人はなんらかの理由で挫折したり飽きてしまったりするものです。たとえ途中から始めたとしてもしばらく下積みを続ければ、SERP(Search Engine Result Page;検索エンジンの検索結果表示画面の意)上で一定の存在感を出せるでしょう。

 時間という概念をSEOに当てはめるのであれば、Googleのエイジングフィルターが良い例です。Googleのエイジングフィルターは、検索スパムへの対抗手段として考え出された評価軸で、「Webサイトが開設されてから一定の期間は、評価を無効として検索結果の上位には表示しない」というものです。

 つまりこれは、「古くから存在するドメイン」を優遇するアルゴリズムです。いかがわしいサイトなどは、次々にドメインを変えていくことが多いものです。現実社会で、創業百年というように、ひとつの看板のもとに長期間安定して同じビジネスを継続している事業者は信頼度が高いと見なされるのと同じことです。

 Googleは検索を通じて我々に人生哲学を教えてくれます。「継続は力なり」と。最初からうまくは行かないかもしれませんが、エイジングフィルターに認められるような、立派なサイト構築を目指して頑張ってください。

 ひとつの物事に専念する人々を見ると、人生で最も憂鬱な「老い」ですら、あまり苦でないように思えてきます。ロックスターは若い頃ルックスで騒がれますが、10年経ちその髪が薄くなっても、音だけはより男前になってゆきます。

 ドメインも美しく歳を重ねたいものです。



ポジショントークという考え方

 SEOの情報を得るために多くのブログからRSSを取得しますが、玉石混交と感じさせられます。この調子であれば、ライバルを惑わすための情報も簡単に流せてしまいそうですね。

 勉強熱心な方はさまざまなブログを読まれることでしょう。しかし、結局どれが正しいのかわからず苦労を重ねておられるかもしれません。そんな時は、ブログの筆者に直接質問をしてみるのも面白い試みです。

 ビジネスを成功させるには、物事に深く入り込んで行く必要があります。あるブログと別のブログとをつき合わせ、言ってることが正反対だった場合には、どういうことかと尋ねてみるのです。

 たとえば、Impress R&Dの「Web担当者フォーラム」の「SEOマニフェスト」で考えるSEO担当者の「べし」「べからず」(後半)という記事では、専門家の間で見解が真っ二つに割れています。

 SEOに対する見解というのは十人十色ですが、ここで忘れてならないのがポジショントークという考え方です。Yahoo!やGoogleでさえ、ポジショントークがあります。

 例えば、株式を公開している企業と、創業者が100%株を保有している非公開企業では、必然的にものの見方が変わってきます。前者は株式市場に対する説明責任が生まれるため、当然保守的な見解にならざるを得ないでしょう。

 リスクを取ってもとにかく上位に表示したい、という場合には、出来たばかりの会社に思い切って頼んでみるのも手かもしれません。こういう会社はよりチャレンジングなSEO、ハイリスクハイリターン型で攻めてくるでしょう(弊社は、と言えばその中間くらいでしょうか)。

 SEO会社に限らず、零細だから勝てないというのは間違いです。大きい会社ほどある意味で簡単なことしか出来なくなってしまう時が往々にしてあります。規模の大小は質の違いに過ぎません。最終的には自分の目で判断を下していかなければなりません。

 SEOをするのがかけがえのないドメインなのか、代用の効くものなのか、ベンチャー事業なのか、ブランド構築目的なのか、さまざまな要素を加味して、最良の選択を行なう必要があります。



今後は「人と人とが力を合わせて増殖させる仕組み」が鍵に

 Yahoo!のロボットについて、巷でよく言われる「アンカーリンクの前後の文を読むようになった」というお話について考えてみたいと思います。

 これは、実装されていれば大変合理的と言えるアルゴリズムですね。アンカーテキストが文脈の中でより自然に出てくれば、関連性の薄いリンクを容易に判別することが可能です。

 「SEO界でリンクとコンテンツ以外に、本気で取り組まなくちゃいけないことって何があるんだろう……」と、上の記事にも書かれている通り、文脈というものが重要になってくるはずです。実はSEOに最適化された記事を書く業者というのは既に存在していて、弊社でもお取り引きのある会社さんがサービスをご提供されています。

 それとは別に、よく「ブログに1本記事を書いていくら」というアルバイトも目にするようになりました。そうした仕事も、昔は機械的に生成すれば良かったテキストが、アルゴリズムの進歩により人の手で書くことを迫られたために発生した雇用です。

 良質なコンテンツが無限に生成される、という仕組みは、SEOにとって最良のものと言えます。オウケイウェイヴというQ&Aサイトを運営する会社があります。「教えて!goo」や「Yahoo!知恵袋」と言った方がわかりやすいかもしれません。

OKWaveトップページ。OKWaveでは自社でQ&Aサイトを運営するだけでなく、他社にQ&Aコミュニティプラットフォームをサービスとして提供。他社ブランドで提供するQ&Aコンテンツもデータベースは共通で、他社にサービス提供することで入り口が増え、利用者増加に成功している

 彼らの設立ミッションを読むとSEOは意識されていなかったようですが、優良なコンテンツが結果として検索エンジンでも優遇される、という好例を見せてくれています。

 一昔前というのは、ソフトウェアのようにただコピーするだけの「無限増殖」に頭を絞ったものですが、これからの時代は「人と人とが力を合わせて増殖させる仕組み作り」が鍵になると言えそうです。

 オウケイウェイヴほどの大規模システムでなくとも、ネットショップなどで自分の専門分野コミュニティ作りに挑戦してみるというアイデアもあります。

 一昔前では、ネットショップに掲示板を置けば書かれるのはクレームと荒らしばかり、という状態で、掲示板など置かないというのがセオリーとなってしまいましたが、オウケイウェイヴのロングテール戦略がこれだけ成功しているのを見れば、掲示板の荒らし対策も進歩した今こそ再チャレンジする価値があるのかもしれません。

 質問や話題の数だけ無限にページが増えていき、それがロングテール戦略やSEOの内部要因強化にも有効で、誰もやっていない(やらなくなった)技であればもう一度試してみる価値はありそうです。

 オウケイウェイヴはマイクロソフトと提携し、株価もうなぎ上りです。質問コミュニティ運営と言えばSEOとあまり関係ないように思われますが、少し遠くから眺めれば、自サイト運用にも役立つヒントが見えてきます。社会に評価されているサービスは、自社にも応用できないか分析してみましょう。


(2008/05/30)


  田村昌士(たむら・まさし)
SEOコンサルタント。PC向け、モバイル向け共に、SEO対策研究の先駆者として活躍。著書に「プロとして恥ずかしくないWEBデザインの大原則 -改訂版-」(共著)等がある。SEO対策の専門家として今まで数多くの企業にソリューションを提供。モバイルSEOは2004年から研究を開始。
(プロフィール最終更新:2009/04/09)

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