■URL
http://www.jasrac.or.jp/jhp/ikensho/ikensho.htm
http://www.amd.or.jp/contents/dsc0913_2.html (AMDの意見表明)
http://www.monbu.go.jp/singi/chosaku/00000260/ (中間まとめ)
社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)は、'99年7月に著作権仲介業務法の改正に向けて文化庁著作権審議会から発表された「中間まとめ」に対する意見書をWeb上で公開した。内容は、「中間まとめ」について「権利の保護と文化の発展に寄与する視点が根本的に欠落しており、反対せざるを得ない」と真っ向から反論するものになっている。
まず、「中間まとめ」の重要なポイントの1つであり、複数の著作権管理団体の登場も見込まれる「仲介業務法の改正」については、「規制緩和の方針は、競争原理を至上主義とするアメリカをモデルとしているかのようにみうけられる」としている。ここでは、米国の管理団体、ASCAP、BMIの2団体が効率を重視した結果、飲食店などの店舗における演奏権の管理が疎かになっているという例をあげ、飲食店等でのBGMやカラオケなどの音楽利用が盛んな日本国内において「アメリカをモデルとした権利ビジネスの考え方をそのまま持ち込むことは危険である」としている。また、営利目的の集中管理団体の参入を認めている点については、CISAC(著作権協会国際連合)の憲章第13条をあげ、「著作権の集中管理が営利目的になじむものではないということは、国際的に一致した認識である」として、「営利法人の参入は、結果的にわが国の文化の衰退に繋がりかねない極めて危険な発想である」としている。
ほかには、「非一任型の集中管理に対しても規制が必要である」「支分権や作品の選択制を認めた場合の問題点」といった各項目で「中間まとめ」に対する意見を述べているが、注目は、「その他」の欄にある「準備期間の必要性について」の項目。この部分を大ざっぱに要約すると「JASRACは約60年間にわたって行なってきた業務は、単一の集中管理団体による管理体制を前提としている。もし複数団体の参入などを容認したら、コンピュータシステムを変更するために膨大な費用と時間が必要になるし、会員・信託者間で十分な議論を尽くす必要がある。だから“円滑な移行を図るためには相当な移行期間を設定すべきである”」。ここからは、「著作権仲介業務を独占している」、「対応が遅い」といった従来からJASRACが批判されている部分に関する対処の姿勢は見えない。JASRAC側から言うと、将来的にも音楽著作権の管理はJASRACの一元管理で十分、ネットワーク音楽配信など音楽利用の多様化はJASRACの著作権管理デジタル化構想「DAWN 2001」で対応できるといったところだ。
なお、「中間まとめ」については、社団法人デジタルメディア協会(AMD)が意見書を提出している(本誌9月13日号参照)。こちらでは、規制緩和については評価できるとしながらも、音楽以外の分野において規制が強化されるのではないかという懸念や、「権利処理代行センター構想」に関する疑問を投げかけている。これらの意見を参考にした上で、さらに検討を行ないまとめられるという文化庁著作権審議会の「最終報告」がどのような形になるか注目だ。
('99/9/16)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]