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【金融サービス】

ソフトバンク・ファイナンスグループ、事業戦略を語る
債券私設取引市場や銀行、住宅金融の分野にも進出

■URL
http://www.sbfinance.co.jp/

北尾吉孝氏
 ソフトバンク・ファイナンスグループは27日、事業戦略説明会を開催した。昨年9月1日に続く2回目の説明会で、同グループはIR、ディスクロージャーの充実を図るためソフトバンクが純粋持株会社に移行した昨年から、四半期に1度の開催を目標にしている。

 ソフトバンク・ファイナンスの北尾吉孝代表取締役社長は「本年からグループ企業を順次株式公開させていく。公開後は、各社の代表職を各社のCEOに任せ自らは会長となり、グループ企業のシナジー効果を狙うことに専念していく」と語った。また、銀行業や住宅金融など「未着手の金融分野を強力に進めていく」と述べ、従来からの目標であるWeb上のワンストップ総合金融サービスの実現へ向け、最強の金融グループを形成していくかまえだ。

 グループ各社の今後の展開や新規事業は以下のとおり。

 

本年度公開予定企業

 ■モーニングスター:1999年12月期決算基準で第2四半期に公開を予定している。公開・上場市場はナスダックジャパンを考えているが同市場が間に合わなければ東証マザーズになる可能性もある。

 同社は、投資信託の格付けを主に手掛けている。米国に先立って月刊誌「ファンドインベスター」を完全にWeb化。紙媒体は発行しないかたちをとり、そのWeb版「ファンドインベスター・ネット」を27日から開始させた。同社のWebサイトは1998年12月25日にスタートし、現在の月間ページビューは155万。業績も昨年7月から黒字化しているという。

 今後は、投資信託ばかりでなく、格付け対象を広げて業容を拡大していく。まず、株式や企業リスクの格付けを手掛ける。特に、新規公開企業のリスク評価に力を入れていく。投信格付けの場合は星の数で表し、星が多いほど優れているという評価だが、このリスク格付けの場合はバツ印で表し、バツが多いほどリスクが高いという評価。例を挙げると、マザーズに上場したインターネット総合研究所はバツが2つ、リキッドオーディオは同4つだという。

 また、公開後は債券の格付けも開始する方針で、その後、総合格付け「ビジネスレーティング」を行なっていく。また、これらのリサーチはEトレードにも提供。

http://www.morningstar.co.jp/
http://www.morningstar.co.jp/fdi/index.htm (ファンドインベスター・ネット)
※ファンドインベスター・ネットのURLは将来 http://www.fundinvestor.ne.jp/ になる予定。

 

 ■Eトレード:2000年3月期決算基準で第3四半期にナスダックジャパン公開を予定している。米国E*tradeの時価総額が最大手のモルガンスタンレーの8%となっており、これを日本に当てはめてみると、野村証券の時価総額が4兆5,639億円でその8%は3,650億円。「これが、Eトレードの時価総額となりそうだが、ここにインターネット、ソフトバンク・プレミアムがつくことも考えられ相当なものになるだろう」(北尾氏)という。

 口座数は、昨年12月末現在で野村証券が10万9,074、大和証券が9万3,000、Eトレード証券が5万3,000、マネックス証券が3万3,376、松井証券が2万3,302と業界3位になっているという。

 今後、引受業務を強化していく。資本金が30億円に満たない証券会社の場合、100億円を超える企業を引き受けるときは他の証券会社と協力しなければならず、単独では引き受けられないというルールがあり、これをクリアするために1月26日付けで資本金を15億100万円から30億100万円に増資したという。これまで同社は5社の引受実績があるが、本年2月末までに引受幹事団入りの決まっているのがメッツをはじめ5社あり、年内に30社以上を候補先として予定している。

 このほかの展開としては、1年かけて現在の10万口座から20万口座体制にシステムを増強させる。また、オンラインでの信用取引(現在は電話だけ)、米国E*trade顧客に対する日本株の販売も行なう。新規事業としては、広告業や有料コンテンツを提供していく。

http://www.etrade.ne.jp/

 

 ■ソフトバンク・インベストメント:2000年9月決算基準で第4四半期に公開を予定している。第1号インターネット・ファンドは昨年7月1日に設立し、123億円を調達。そして、インターネット関連企業に投資が完了した。具体的に昨年12月末までの投資状況は、投資先が確定したのが80社、投資金額が約111億円(1社当たり平均投資額約1億円)となっており、そのうち額面金額での取得が26社、平均持ち株比率18.6%。出資先の業態構成は、小売18%、システム関連18%、ソフトウエア15%、コンテンツ14%、その他31%。

 第2号インターネットファンドは2月末までに500億円を募集する予定で、500社のインターネット関連企業に集中投資する。

http://www.sbinvestment.co.jp/

 

来年度以降公開予定企業

 ■インズウエブ:保険商品の比較検索サイトで、昨年11月20日にプレ・サイトをオープンし、本年3月から正式オープンさせる。

http://www.insweb.co.jp/

 

 ■フォレックスバンク:インターネットによるリアルタイムな外国為替ディーリングやソリューションを金融機関に提供することを目的にしており、電子ディーリングシステム「AutoDeal LITE」を日本で長期的・安定的に提供していく為に設立された。契約について基本合意書を締結している銀行は現在4行ある。

http://www.forexbank.co.jp/

 

 ■サイバーキャッシュ:インターネット決済技術とサービスを手掛け、1998年5月に営業を開始した。大日本印刷やべルシステム24、マイクロソフトなどを提携パートナーとして、同サービスの導入先としてはHMVやフジテレビ、ジャスコなどがある。

http://www.cybercash.co.jp/

 

 ■イー・ローン:個人向けローン商品をインターネット上で比較・検討し、商品のオンライン事前申し込みを可能にするサービスを手掛ける。本年1月19日から営業を開始し、開始から6日間の累計ページビューは約4万件だったという。現在、11社の金融機関と提携しており、新たに東京三菱、シティバンク、横浜銀行、静岡銀行と提携を予定している。

http://www.eloan.co.jp/

 

 ■イー・ネットカード:インターネット上において消費者ローン、クレジットカードの会員募集を行い、本年1月5日からサービスを開始した。実際には、アコムの発行するローン・クレジットカードへの媒介(取次ぎ)を行なう。イーネットカードの収入としては、アコムから媒介手数料として貸付額の4.9%が支払われている。

http://www.enetcard.co.jp/

 

営業開始予定企業

 ■イー・アドバイザー:個人の人生設計に応じた資産設計のトータルアドバイスを提供する。本年1月24日にプレ・サイトをオープンした。2000年3月に正式営業開始予定。

http://www.eadvisor.co.jp/

 

 ■ウエブリース:昨年11月に設立された総合リース会社。多様化するIT設備ニーズに応え、財務面だけでなくビジネスモデルを評価基準として、ベンチャー企業にも積極的にリースを行なっていく方針。本年2月1日から営業開始の予定で(一部昨年12月から開始済み)、2月中にプレ・サイトをオープンさせる見込み。また、上半期中にインターネットリース事業を開始する。

 ■ソフトバンク・フロンティア証券:営業開始は本年2月を予定しており、未公開企業の株式発行市場「フロンティアクラブ」を創設する。未公開企業が成長段階に応じてバリュエーションを高めながら、できるだけ創業者の持ち株比率を低下させないで資金調達を行なえる場を提供。

 インターネット関連やソフトバンクグループの投資先など、株式公開が見込める未公開企業を対象とする。この市場に投資するのは一般個人ではなく、世界中のベンチャーキャピタルや機関投資家、事業会社などで、ダッチ・オークション方式を採用する。フロンティアクラブでの株式発行予定企業数は、今期2社、来期30社としている。

 ■イー・ファイナンススクール:個人の資産運用に関するパソコンなどの教育を行なう。カー用品の製造・流通やISP「牛若丸」などを手掛けるサンバードオート電機とソフトバンク・インベストメントが折半出資して昨年12月に設立された。まず、Eトレードを使ったオンライントレードの初級教室を2月中旬に開設する。ソフトバンク・ファイナンスグループ各社のコンテンツ教育や、ネットを駆使した金融情報収集術の教育も行なっていく。

 

新規展開

リーマン・ブラザーズ証券CEO ASIA
 ■イー・ボンド証券昨年10月に設立された私設取引システム(PTS、取引所外でコンピュータネットワークを使って有価証券の取引を執行するシステム)の運営を行なう証券会社。資本金は1億円で、ソフトバンク・ファイナンス60%、リーマン・ブラザーズ証券40%の出資比率となっているが、本年2月には銀行、証券、保険会社など10数社が出資予定で10~15億円に増資される見込み。その時の比率は、ソフトバンク40%、リーマン20%、その他40%となるようだ。証券業登録申請は昨年12月に行なっており、本年3月にはPTS認可申請を行ない、営業開始は本年5月を予定している。

 流動性の低い債券の市場をつくる。第1段階では、機関投資家と証券会社のための市場とし、価格の透明性と流動性を確保する。第2段階では、市場を個人にも開放し流動性を一段と高める。売買価格の決定は、インターネット上での匿名による相対交渉。リーマンのJarett F. Wait CEO ASIAは「現在の債券市場より効果的で透明性の高い市場としてe-bond.co.jpを創設する」と述べた。

 ■ネットバンキング事業:新規の銀行を設立すること、また、既存の銀行を買収することも考えたが、とりあえずバーチャルブランチを設立するという方法をとっていく。スルガ銀行とインターネットを利用した銀行業務を行なっていくことで合意し、同行の支店のひとつとしてインターネット上に「スルガ・ソフトバンク・バーチャルブランチ」を設立する。

 ■住宅金融:資本市場を利用した資金調達を考え、新しい住宅金融システムを構築していく。モーゲージ担保証券(MBS、抵当証券担保付証券)化させる仕組みを構築するため、米国のFannie Maeをアドバイザーとして採用した。非営利団体の設立も考えており、政治家や関係役所への根回しも実際に進めているという。

 ■その他:ソフトバンクグループのリソースを徹底的に活用するため、ソフトバンク・ベンチャーズ・コンソーシアムを形成する。サーバーやコールセンター、宅配、バックオフィスなど、グループ内のインターネット・インフラの共有化、情報、データベースの共有化を図っていき、コンソーシアム企業用の掲示板を構築する方針。経理や給与計算、書類郵送などさまざまな事務を処理する「オフィスワーク・ドット・コム(仮称)」の設立も考えている。

 また、ネットを利用していない企業とネット企業ではバリュエーションに差があるが、この差を利用したネットトランス事業も目論む。つまり、ネットを利用していない企業をBtoBを導入し、ネットカンパニー化させていく。

 その実験的なものとして、ソフトバンク・インベストメントが香港の繊維製品の染料製造業CHEUNG WAH社を買収(約61%取得)した。1月19日の買収時には、新株11億5,250万株を1株0.18香港ドル(総額邦貨換算約29億円)で申し込んだが、1月26日現在では1株6.85香港ドル(保有時価総額約1,089億円)と38倍になっている。この会社を香港でのネットカンパニー化事業の中核にし、韓国や中国本土でも同様の展開が図れないか検討する。

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[Reported by betsui@impress.co.jp]


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