■URL
http://www.metscorp.co.jp/
http://www.tse.or.jp/mothers/
東京証券取引所の新興企業向け証券市場マザーズに、今月18日新規上場予定のメッツ(コード4744)の発行価格が9日に決定された。
需要を把握するブックビルディングの仮条件は、当初の500万円以上600万円以下から500万円以上700万円以下に上限が引き上げられ、結局発行価格は1株当たり700万円に決定。申し込み期間は今月14日から15日まで、払い込み期日は17日となっている。
同社は、グラフィックや宛名印字などコンピュータのソフトウェアの開発・販売を手掛けている。証券市場では、初値に対してすでに「2,000万円ぐらいではないか」との声も聞かれる。ただし、これには特にしっかりした裏づけがあるわけではないようだ。
まだ、マザーズ上場銘柄はインターネット総合研究所(コード4741、IRI)とリキッドオーディオ・ジャパン(コード4740、リキッド)の2銘柄しかない。両社とも上場したのは昨年12月22日だが、上場初日は買いが殺到し値段がつかなかった。IRIの初値は上場から3営業日後の28日に5,300万円がついて、これは発行価額1,170万円に対し4.5倍。リキッドの初値は、翌営業日の24日に610万円がついて発行価格300万円に対し2倍だった。メッツに対しては単純に、IRIまではいかないだろうが、リキッドと同じ程度にはなるだろうと心理的にみる向きがある。
その一方で、慎重にみる向きも少なくない。同社は将来ASP事業を手掛けていく方針も打ち出しているようだが、当面の業績については利益よりもシェア重視の戦略をとるため、前期までのような経常利益の伸びは予定していないとしている。また、製品単価が下落傾向にあることも指摘されており「既上場2社ほどの成長イメージは描きにくい」とする見方がある。
現状をみる限りでは、確かに既上場2社のようなインターネット関連企業とは言い難い。その分、「インターネット関連」としてのプレミアムは相対的に望みにくいといえそうだ。しかし、その半面で「マザーズ人気」というプレミアムが継続していることも考えられる。そうだとすると、センチメント(心理面)先行による大幅な値上がりが見込めるかもしれない。
メッツが、既上場2社のような値上がりを見せれば「マザーズ銘柄は儲かる」といった心理が一段と投資家に植え付けられ、実態面をみるよりもますますセンチメントが先行する市場になっていく可能性が高い。実態面を評価するか、センチメントに期待するか、いずれにせよこの絶対株価水準では、一般的なごく普通の個人投資家がなかなか手を出せないことは既上場2社と同様だ。
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(2000/2/9)
[Reported by betsui@impress.co.jp]