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【業界動向】

リキッドオーディオ・ジャパンが投資家向け説明会を開催

■URL
http://www.tse.or.jp/mothers/ (マザーズ)
http://www.liquidaudio.co.jp/ (リキッドオーディオ・ジャパン)

 東京証券取引所では1日に、リキッドオーディオ・ジャパンの投資家向け説明会が開催された。マザーズ上場企業は、上場後3年間は投資家向け説明会を年2回開催しなければならず、これに基づいて開催されたもの。マザーズ企業としてこの説明会を開いた企業はリキッドが初めて。

 参加した投資家の数は、申し込み約230人に対し170名ほどだったという。

ピンチヒッターで説明する小長井氏
 リキッドの出席者は、当初大神田社長が予定されていたが「急病」ということで欠席し、取締役の小長井千晶氏が代わって演台に立った。また、財務面などについては管理本部長の木場昌治氏が説明。

 まず、小長井氏がエンドユーザーに対しどのようにインターネット上で音楽を安全に配信しているのか、ソニーのメモリースティック・ウォークマンを使ってデモを行ない、その後に会社説明のプレゼンテーションに移った。

 プレゼンテーションでは、携帯電話などさまざまな携帯端末の普及やCATVなど広帯域通信の普及、またはカーナビ、コンビニ端末の普及などにより、時間と場所を選ぶことなく音楽を楽しめるように生活が変化してきており、音楽配信のビジネスチャンスも広がっていると述べた。特に、次世代携帯端末のIMT-2000が音楽配信ビジネスのブレイクポイントになるとしている。

 このような環境下、avex groupやBMG、TOSHIBA EMI、コンテンツプロバイダーでは@nifty、DreamNet、TOWER RECORD、ソニー、東芝、三洋電機、リアルオーディオ、マイクロイソフト、セガなど、各レイヤーのキーパートナーと提携関係を現在構築中だという。

 また、メジャーやマイナーを問わずレーベルとの提携を推し進めており、アーティストとの直接提携もこのビジネスでは不可欠なことなので積極的に行なっているとしている。

 一方、業績について2000年6月期の予想は、売上高が5600万円(前期実績5,208万円)と当初予想と変わらないが、経常損失が7億6,897万円(同2億8,402万円の損失)と当初予想より下方修正した。これは、上半期に比べて下半期に経費が大幅に増大するためだという。1月以降、株式を上場し知名度が上がった効果もあるのか、上場企業や大手企業から新規事業を一緒に立ち上げたいとの申し出が相次いでおり、これに対応するため人員の増強を図り、システム外注費の増加も見込まれるため。

 ただし、上場時に予想したとおり2001年6月期には黒字化(上半期はブレイクイーブン、下半期に若干の利益計上)する見込みとしている。

 プレゼンテーションが終わると質疑応答となり、投資家はかなり積極的に質問を浴びせていた。主な質問を以下にまとめる。

質問:マザーズ上場以降の株価の評価や感想は
答え:上場初日以外は毎日売買が成立しており、株主にとっては流動性があると思っている。また、株価は非常に高い評価を受けておりそれに応えていきたい。

質問:配当政策はどのように考えているのか
答え:累積損失が一掃されるまでは配当を支払うつもりはないので、単年度に黒字化してもださない方針。累損が一掃されるのは2003年6月期を予想している。

質問:米国Liquid Audioから販売代理契約を結んでいるが更新の見込みは
答え:5年後をもって独占契約は終了するが、その後も優先的な交渉権を得ている。米国Liquid Audioからは「暖かな父親のような眼で見る」と言われている。

質問:次回は社長が出席して説明するのか
答え:社長が出席できなかったのは本当に申し訳ない。詳しい状況を私(木場氏)も把握していない。朝、移動中の電話で「今日、ちょっと急病になっている」との情報が秘書のほうから連絡された。最近調子が悪かったという部分もある。もちろん、次回は必ず出席する。

引き続き質問:投資する側からすると、状況がわからないというのは変な疑心暗鬼をもってしまうが
答え:状況が確認できないのは確かに無責任だと思う。私も非常に朝早かった。皆さんも眠い方がいらっしゃるかもしれないが。今回のどういう状況だったかはホームページのほうで説明します。

 社長欠席についての質問の締めくくりでは、質問した投資家が「10時半(説明開始時間)はそんなに早くないと思うが―」と述べ、会場に笑いが起こった。

 しかし、この話は投資する上で確かに重要なことである。海外、特に米国市場では経営陣の人事で株価が大きく一度に動く場面が多々あるのだ。健康面でも、会社に影響力がある人物の場合はなおさらだ。投資家が質問したことはもっともなことといえる。

 それにしても、これだけ活発に鋭い質問が多々あったことは正直驚いた。オンライントレードの登場など、投資機会、投資する上での情報が増えたことで確実に日本の投資家は成長していると感じた。

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(2000/3/1)

[Reported by betsui@impress.co.jp]


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