■URL
http://www.tse.or.jp/
http://www.iri.co.jp/
http://www.liquidaudio.co.jp/
これに伴い、山口光秀東証理事長は「本日、早々に2社から上場申請があり順調に手続きが進めば年内にもマザーズ上場企業が誕生する」と談話を発表した。東証の基幹市場のひとつとして多くの新興企業に良質な資金を提供できるよう、取引の公正性、タイムリーディスクロージャーの確保など適切な市場運営について、これまでの経験を十分に生かしていくとしている。また、投資家に対しても「新興企業市場という特徴を理解し、ディスクロージャー資料などを十分に検討した上で投資判断して欲しい」と慎重姿勢を促している。
申請書を提出する藤原氏(左) |
上場申請した藤原洋代表取締役所長(45歳)は「今後は電子商取引に焦点をあて、これまで培ってきたインフラ技術を応用した事業展開をしていきたい」と述べた。コンテンツを集合させた事業展開を行なおうとしている企業へ、IRIが資本提携しているパートナー企業と共に投資や技術支援していく予定で、すでに30案件ぐらいあるという。1999年6月期決算の売上高は7億2,500万円。今後の成長率は、インターネット市場と同じ70%を目指している。
これまでIRIは、店頭公開を目指して着々と準備を進め、実際に膨大な届け出書類・資料の作成も行なってきた。しかし、「成長性や将来の展望を最重視する市場なので、IRIにとって最適な市場と判断しマザーズへ切り替えた」としている。また、ナスダック・ジャパンについては「IRIを設立してから3年になり、1日も早く株式公開して資金調達したかった」ため、まだ中身がはっきり決まっていない市場を待てなかったようだ。
申請書を提出する大神田氏(左) |
IRIに次いで、この日上場申請したのがリキッドオーディオ・ジャパンで、幹事証券会社は日興證券。1998年7月16日に設立され、スーパーステージ、光通信、Liquid Audio、伊藤忠商事、NTTデータ、トランス・コスモス、ハピネットが主な株主となっている。従業員は、音楽業界のスタッフなど15人。米国Liquid Audio(NasdaqティッカーシンボルLQID、本年7月9日上場)との独占契約により、オンライン上での音楽コンテンツのデジタル配信プラットホームの提供、システム(Liquid Music System)の開発や販売、サポート業務を手掛ける。
Liquid Music Systemは、インターネットでの安全で有益な音楽のプロモーション、販売を実現している。Dolby Digital圧縮方式を採用した「Liquid Audioフォーマット」やAAC、MP3によりCD並みの音楽をインターネットで配信。RSA暗号鍵による音楽データの暗号化、ウォーターマーキング(電子透かし)による著作権侵害防止策といった特徴を有する。Liquid Playerは無料配布されている再生用ソフトで、ユーザーは楽曲を試聴した上でその楽曲をダウンロード購入、CD購入ができる。
申請に訪れた大神田正文取締役(31歳)は「来年6月の店頭公開を目指していたが、四半期決算など徹底したディスクロージャーの場が提供されるということが、マザーズを選んだ最も大きな理由」と述べた。経営方針や将来展望などを積極的にディスクロしていくことが、引いては著作権の保護にもつながっていくと考えているという。また、「ナスダック・ジャパンからは話がこなかったので、まったく検討しなかった」としている。
1999年6月期は赤字決算で、2000年6月期も赤字の見込み。音楽産業のなかで、レコード業界の市場規模は現在の7,000億円から5年後に1兆円になるとみられている。そのうち、15%がインターネット・デジタル・コンテンツによるものといわれており、今後はこの1,500億円のマーケットで優位に立っていき「2年後には配当を出せるようにしたい」としている。
11日のシステム売買フロアー |
両社に共通しているのが、店頭公開を考えていたがマザーズに乗り換えたことと、ナスダック・ジャパンをあまり意識していなかったこと。現時点では「新市場のなかでマザーズが優勢」、「上場なので格が違う」といった感をもつ向きもあるようだが、マザーズもまだ上場申請を受け付けたばかり。取引が開始されたわけでもない。評価を下していくのはこれからということになろうが、取引所間で激しい競争が行なわれ、よりよい取引の場が提供されていくことは非常に好ましいことだ。
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('99/11/11)
[Reported by betsui@impress.co.jp]