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http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/20000719-01.html
日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は19日、不正目的によるドメイン登録について、取消や移転の措置を可能にする「JPドメイン名紛争処理方針」を策定した。同日より3ヶ月間の公示期間を経て、10月19日より実施に移す。
今回策定された紛争処理方針は、ICANNが昨年10月に採択した「統一ドメイン名紛争処理方針」を日本の状況に合わせてローカライズしたもの。他社の会社名や商標を先行して登録し、高額で競合企業に転売しようとしたり、類似のドメイン名で利用者の混同を招くなど、明らかに不正と思われる登録・使用に対して適用される。こういった行為により権利を侵害された企業などがJPNICの認定する紛争処理機関を通じて申立を行なうことができ、不正と判断された場合は、ドメイン登録者に対して登録の取消や申立人へのドメイン移転の措置がとられることになる。裁判よりも迅速(最長で55日で裁定)で低コストで解決できるとしている。
同時に、従来の「ドメイン名登録等に関する規則」も「属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名登録等に関する規則」として改訂された。大きな改訂ポイントとしては、まず、紛争処理方針の導入により、現行の規則で行なってきたドメイン名の移転制限が緩和され、ドメイン名の移転については原則的に自由化されたことが挙げられる。また、紛争処理手続きによりドメインの移転が発生することを受け、「ネームサーバ設定留保状態のドメイン名登録制度」が導入された。これは、ドメインの登録はできるが、ネームサーバの設定ができない状態のこと。例えば紛争処理手続きの結果、すでにJPドメインを登録している組織に対してJPドメインが移転される場合や、移転されるドメインに対して移転を受ける側の組織が登録資格を持っていない場合(会社登記のない組織がCO.JPドメインの移転を受ける場合や、株式会社がOR.JPドメインの移転を受ける場合など)に適用される。同規則についても、10月19日からの実施を予定している。
不正な目的でドメインを登録・使用する行為は「サイバースクワッティング」と呼ばれ、米国などでは大きな問題となっている。一方、JPドメインの登録については「1組織1ドメイン」「ドメイン名の移転禁止」といった原則があるため、国内では同様の紛争は少なかったが、現在これらの原則を緩和/撤廃することも検討されており、その前提として紛争処理のルール作りが急がれていた。
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(2000/7/21)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp / ymasa@wizvax.net / shin-s@cyberdude.com]