INTERNET Watch Title Click

【ドメイン】

JPNIC、JPドメインの「不法占拠」紛争に解決手段提供へ

■URL
http://www.nic.ad.jp/jp/regist/dom/drp/

説明会の様子

 米国などを中心に、企業名や商標などのドメイン名をその企業より先に取得し、高額で販売したり、Webサーバーを置いてわいせつ画像を掲載したりといった「サイバースクワッティング(不法占拠)」行為が問題となっている。現在gTLD(.COMなどの世界ドメイン)を管理するICANNではこれに対し、紛争解決のための調停手段を提供している。

 日本でJPドメインを管理するJPNICも同様の調停手段の案「JPドメイン名紛争処理方針(第一次答申)」を発表し、16日に説明会を開催した。現在のところ、10月より施行するべく論議を進めている。

 ドメイン名は短時間で取得できることなどから、時間と費用のかかる裁判や仲裁などの法的手段では対応しきれず、迅速で簡易な解決手段が必要とされている。また、現在の日本法ではサイバースクワッティングが商標権侵害や不正競争行為に該当するかどうか、判例または法律の整備を待たなければならない。JPNICではこれに対し、急速なインターネットの普及進展に追いつく必要があり、当事者間の合意による自主ルールで当面処理するという方針から、今回の処理方針を決めた。ICANNの処理方針では「ミニマル・アプローチ(最小限のアプローチ)」がいわれており、JPNICもこれを踏襲するとともに、実際の処理方針についてもICANNのものを元にしている。

 JPNICの処理方針では、「ドメイン名の不正な登録・使用」に該当する行為類型を、あらかじめ「実費金額を越える対価で転売することを目的に、登録」のようにいくつか例示。そして、申し立てがあったときに、別途設けられた「紛争処理機関」が不正な登録・使用に該当するかどうかを審査する。該当する場合にはドメイン名の取り消しや移転などを裁定する。説明会では一連の流れの例として、申し立てから裁定の通知・公表までおよそ55日ほどとした。

 元になったICANNの処理方針では申立て人とドメイン登録者の間で書類等のやりとりが発生するが、JPNICでは日本の裁判などの方式などを見て、すべて紛争処理機関を経由してやりとりする。

 登録機関であるJPNICは紛争処理機関の活動には関与せず、裁定の結果によってドメイン名の取り消しや移転を処理するのみとされている。紛争処理機関やJPNICは裁判のような強制執行力を持たないが、ドメイン登録にあたっての契約の範囲での拘束力は発生する。不服の場合やなどは当事者間についての裁判所への提訴も別途可能で、そのため裁定から執行まで10日保留期間が置かれる。処置はドメイン名の取り消しや移転までで、金銭的な損害賠償等は別途裁判などによることになる。

 紛争処理機関についてJPNICでは「現在国内に存在するこの分野を得意とする仲裁機関と接触中」としている。これについて、日本弁護士連合会らによる「工業所有権仲裁センター」の名も言われているが、JPNICではコメントを避けた。

 この第一次答申についてはすでに一般からの意見を募集しており、6月11日が締切となっている。6月中旬にはJPNICのタスクフォースが検討作業を行ない、6月下旬にはJPNIC運営委員会に対して最終答申を提出。7月に公開し、10月より発効・施行というスケジュールとなっている。

 現在のところ、申し立ての根拠は「商標」(登録・未登録)のみでよいか、人名はどうかなどが議論されているという。また、現行のJPNIC登録規則となっている「取り消し・移転の制限」「一組織一ドメイン名の原則」などを、紛争解決の運用上、見直す必要性などが検討されているという。

◎関連記事
JPNIC、ドメイン名紛争解決方法に関し外部答申委員会設置
WIPOに初めて、ドメイン占拠の仲裁依頼
プロレス団体ドメインの“スクワッティング”に「待った」

(2000/5/16)

[Reported by masaka@impress.co.jp]


INTERNET Watchホームページ

ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp