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スピードテストの結果を示しながら孫正義社長は、「最近の新聞や雑誌の報道の中では価格の面に目がいっているが、単に安いだけではなくて、なおかつスピードの面で8割のユーザーにおいては他社の限界値を上回るスピードが出ている」と強調した |
ソフトバンク、ヤフー、ビー・ビー・テクノロジーの3社は4日、「Yahoo! BB」において「ReachDSL」方式を追加導入することを明らかにした。ISDNとの干渉や電話局からの距離が遠いなどの理由により、通常提供しているADSLでは十分な速度が出ない回線環境のユーザー向けに投入する。
ReachDSLというのは、使用する周波数帯域を低くして最大速度を抑える代わりに、長距離回線やノイズの多い回線でも安定した通信品質を確保できる方式。米Paradyne社が製品を開発しており、すでに国内でも長野県協同電算がADSLサービスに採用している例がある。
同日公開された、東京都内の約2,500ユーザーにおけるYahoo! BBのスピードテストの結果を見ると、8割以上のユーザーが1.5Mbpsを上回っており、中には8Mbpsを上回るユーザーも確認されている。もっとも多いのは3M~4Mbpsで、だいたい35%がこの範囲に集中している模様だ。平均速度も約3Mbpsとなっている。
しかしその一方で500kbps以下のユーザーも約5%いるということで、“救済型”のメニューとしてReachDSLを投入するわけだ。すでに複数のユーザーで実験しているとしており、その結果、従来のADSLでは100k~200kbpsしか出ない回線環境のユーザーでも、ReachDSL方式に替えることで800kbps前後にスピードアップできることが判明しているという。
なお、この5%のユーザーについては、Yahoo! BBで採用している「AnnexA」仕様だけでなく、ISDNとの干渉問題に対応した「AnnexC」仕様のADSLモデムでも救済できない場合が多いという。さらに、これが都内を中心とした調査による数値であることから、地方ではこれが10%程度になる可能性があるとしている。
Yahoo! BBでは今後、通常のユーザーには「G.dmt AnnexA」による最大8MbpsのADSLサービスを、ADSLでは十分な速度の出ない回線環境のユーザーにはReachDSLによる800kbps程度(上り/下りともに)のサービスを提供するというスタンスとなる。この組み合わせについて孫正義・ソフトバンク社長/ビー・ビー・テクノロジー代表は、Annex Cよりも強い「最強のコンビネーション」と表現する。
気になるサービスの開始時期だが、「いくつかの主要な局舎については、今月中にサービスができるところを増やしていきたい」としながらも、「いくつの局舎で何人分提供できるかということについては、今は準備中」と述べるに止まった。
料金については今のところ、ADSLサービスと同額を予定しているという。最大8MbpsのADSLよりは速度が遅くなってしまうが、ReachDSLでは「一般的なADSLよりもはるかに高いコストがかかる」ためだ。
これまでADSLの導入を諦めざるを得ないシチュエーションとしては、すでに光収容されているユーザーや回線環境により速度の出ないユーザーが考えられたが、孫社長は、「光収容のユーザーを除くと、ReachDSLで救済できないユーザーはまずほとんどない。ほぼゼロということが、我々の少なくともこれまでの実験結果だ」と自信を見せる。Yahoo! BBのADSLでスピードが出ないユーザーのみならず、「他社ADSLを使っていてスピードが出ない方にも、救済策として非常に強い力を発揮する」と述べている。
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(2001/9/4)
[Reported by nagasawa@impress.co.jp]