【ソフトウェア】

米Microsoft、「.NET」用のJavaIDEベータ版を発表
~SunのJavaとの間に隔たりも

■URL
http://www.microsoft.com/presspass/press/2001/Oct01/10-10VisualJPR.asp
http://www.microsoft.com/india/indiadev/projects/dotnet.htm

 米Microsoftは10日、Microsoftの.NETフレームワーク用開発環境「Microsoft Visual J# .NET」ベータ版を発表した。現在同社のサイトでダウンロードできる。

 「Visual J# .NET」は、Microsoft陣営のWebサービス「.NET」の開発環境(IDE)」の一つ。これまでに発表された20の対応言語に加えて、Javaを使って.NETのWebサービスを開発できるようになる。この新しいIDEで開発されたWebサービスは「ASP.NET」、「ADO.NET」、「Windows Form」などと組み合わせて動作させることができ、同社では.NETアプリケーションを一から開発することも可能だとしている。

 Microsoftは、Javaの登場後、開発しやすいJavaの言語体系に多くの開発者がひきつけられるのを見て、新しい言語である「C#」を開発、標準化団体に送付している。しかし、依然としてJavaプログラマーの数は増え続けており、人気のある言語の一つであるため、多くの開発者を.NET環境に引きつけるためには開発言語の中にどうしてもJavaが必要となる。MicrosoftがJavaをサポートした理由の一つはそこにあると思われるが、一方でMicrosoftはJavaライセンスをめぐるSun Microsystemsとの争いで実質的に敗れたために、Sunの最新のJavaを利用することができない。実際、開発者向けに公開されているMicrosoftのサイトでは、このJavaIDEでサポートされているJavaのバージョンが「1.1.4」であることが明記されている。さらにこのJavaにはJNI(Java Native Method Interface)、RMI(Remote Method Invocation)、アプレットの機能などが除去されているほか、Microsoftが独自に拡張した「J/Direct」や「JavaCOM」などが組み込まれており、SunのJavaとは大きく異なっている。

 そのためMicrosoftは今回の発表でも、「Visual J# .NET」は、これまで開発者向けに発売してきた「Microsoft Visual J++」のユーザーが.NET環境に移行しやすくするものであることを強調する文面となっている。新しいIDEの中にはVisual J++ 6.0で作られたプロジェクトを自動的にアップグレードして.NETアプリケーションとして動作させるツールも含まれており、Microsoft流のJavaに慣れ親しんだ開発者にとっては非常に便利なものとなっている。

 一方で“一般的”なSunのJavaに親しんでいる開発者にとっては、Java2で追加された新たな機能を使えないという大きなデメリットがある。特にデータベースアプリケーションなどにおいてはバージョン1.3以降から付け加えられたものも多く、そうした機能を利用する場合にはMicrosoftのJava開発環境でアプリケーションを開発するには実質的に難しいといえるかもしれない。

 追記すべきこととして、MicrosoftはSun Microsystemsとの裁判の後、WindowsXPにおいてSun MicrosystemsのJavaVMをインターネットで標準的なブラウザーとなっているInternet Explorerに搭載することをやめている。

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(2001/10/11)

[Reported by taiga@scientist.com]


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