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■URL
http://www.adobe.co.jp/aboutadobe/pressroom/pressreleases/200110/20011023ebook.html (プレスリリース)
http://www.adobe.co.jp/products/ebookreader/register.html (ダウンロード)
説明を行なうアドビ石井 幹副社長。ebook分野の将来性を語っていた |
中央公論新社矢内 栄一デジタル編集部部長。ebookと紙媒体の関係について述べている |
アドビシステムズ株式会社(以下アドビ)は、同社が提供する電子書籍閲覧ソフトウェア「Adobe Acrobat eBook Reader2.2」(以下eBook Reader)を利用した商業サービスを10月23日より開始すると発表した。また10月23日より、アドビWebサイトより、「Adobe Acrobat eBook Reader2.2 日本語版(ベータ版)」Windows版およびMacintosh版の無償ダウンロード配布を開始した。
今回アドビより提供されるのは、クライアント側で用いる「Adobe Acrobat eBook Reader2.2」とサービス提供側が用いる「Adobe Content Server」。「eBook Reader」の特徴は、同社製品「Adobe Acrobat Reader」と異なり暗号化されたコンテンツの利用を可能にし、コンテンツ提供者の著作権管理が行ないやすくなった点だ。これにより、コンテンツ提供者は、書籍の販売・時間毎のレンタル提供などが可能になり、電子書籍分野のサービス提供範囲を広げることができる。また「eBook Reader」で表示された書籍には、マーカーで印をつけることや、しおりをはさむ、直接書き込みを行なうことなどができる。
提供開始となった「eBook Reader日本語版」は、既に米国などで提供されている「eBook Reader」シリーズの最新版を日本語化したもの。10月23日より提供されるものはベータ版だが、2ヶ月程度状況を見て正式版をリリースするという。ベータ版でダウンロードで購入した本やマンガは、製品版でも継続して利用できる。米国では既に、「Amazon.com」や「Yahoo!」などが「eBook Reader」対応書籍のレンタル・販売を開始しており、アドビ石井 幹副社長は「日本市場でもebook産業は、年間190%の成長をしており、2005年には540億円産業になる」と予測している。
また、eBook Readerサービス開始にあわせて、イーブック イニシアティブ ジャパン(EBI)、So-net、インディビジオなどが「eBook Reader」対応書籍やマンガを、サンプルダウンロードや有料で提供することを発表した。
EBIが提供する「10daysbook」、中央公論新社が提供する「中公eブックス」、パピレスが提供する「電子書籍パピレス」などでは、書籍・マンガ・写真集など出版物全般を「eBook Reader」で提供する予定だ。また、インディビジオが提供する「FRANKEN」ではこれまでマンガを主体に提供していたが、11月1日にURLなどを変更し、提供システムの「eBook Reader」化や、サイトのリニューアルなどを行なう。So-netは、「eBook Reader」を用いた電子現代美術館「Internet Museum of Art」を開設し、有料で芸術家の作品を公開していく予定だ。第一回は11月上旬より、写真家 都築響一氏の企画展「賃貸宇宙」を3日間700円で提供する予定。
中央公論新社 矢内栄一デジタル編集部部長によると「今回の『eBook Reader』は、紙媒体の書籍を補う位置にあると認識している。これから、高額書籍や専門書などにおいては、電子書籍が紙書籍を補う立場になるのではないか」と述べた。アドビは今後の目標として「近い将来には国内の書籍サイトでも『eBook Reader』の提供を行なう予定だ。また『eBook Reader』対応コンテンツも年内に1,000程度、数年間で10万サイト程度にしていきたい」としている。
「eBook Reader」のメイン画面 | 「eBook Reader」でドカベンを表示した画面 | So-netが提供する電子現代美術館「Internet Museum of Art」 |
上記のキャプチャーは「Adobe Acrobat eBook Reader2.2日本語版」のベータ版の画像 |
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(2001/10/23)
[Reported by otsu-j@impress.co.jp]