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JPNICのIPアドレス担当である |
JPNICの評議委員である |
社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)は25日、IPv6におけるIPアドレスの割り当て指針に関する説明会を開いた。本来は世界中に割り当てられているsub-TLA(先頭35ビットがネットワーク部のアドレス)が100個を越える時期を目安に正式なアドレスポリシーを決定する予定であった。しかし、sub-TLAは今年の10月に既に100を越えているため、今回の説明会はアドレスポリシーの決定が急がれている中での開催となる。
まず、「IPv6アドレスの現状」としてJPNICのIPアドレス担当である荻野司氏が説明を行なった。現状のIPv4は、アドレスの不足が深刻なため各団体への割り当てを最小限にしており、割り当てられたアドレスが不足した場合は、追加をすることで対処していた。その結果、ルーターのルーティングテーブルが膨大になり、パケットの振り分けが遅くなったり、場合によってはダウンするなどの障害が起こりやすくなると問題点を指摘。そのためIPv6では、CIDR(Classless Inter Domain Routing:クラスの概念にとらわれないネットワーク設計)を導入してアドレス空間をある程度自由に決められるため、各団体に適切な個数を割り当てられるようになる。
次に「新IPv6アドレスポリシー経過報告」としてJPNICの評議委員である荒野高志氏が説明をした。IPv4アドレスにおける5つの原則として「一意性」「レジストリデータベースへの登録」「経路の集成(aggregation)」「アドレスの節約」「公平性」を挙げた。IPv6アドレスにおいてもIPv4アドレスの原則を重視するが、「経路の集成」についてはIPv6に移行させるメリットの1つであるため今後も重要度は高く、一方で「アドレスの節約」については膨大なアドレスを割り当てることができるため重要視しない方針だ。現状では割り当てるアドレス数を決める際、IPv4ネットワークの規模などを目安とするが、現状の規模で判断するので、どうしてもアドレスが足りなくなり追加で割り当てを行なう必要が出てくる。このようなケースだと、経路の集成ができなくなり、メリットが薄れることになる。また、現状のネットワーク規模で判断すると将来的な計画が考慮されないため「公平性」についても問題が発生することになるという。
これらの問題点を話し合うため10月28日にARIN(アメリカ地域のIPアドレスを管理する組織)ミーティングがフロリダで開催される。その後12月には次のドラフトポリシーが決定される予定だ。
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(2001/10/25)
[Reported by adachi@impress.co.jp]