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■URL
http://internetweek.jp/ (Internet Week 2001)
http://www.nic.ad.jp/ (JPNIC)
http://www.icann.org/minutes/prelim-report-15nov01.htm (ICANN総会の速報)
村井純氏。午後はJPNICの代表としても演壇に立った
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「IP Meeting 2001」は“インターネットの運用・管理に関わる技術者のためのミーティング”で、「Internet Week」の総括的な役割を持つプログラムでもある。今回は慶應義塾大学・村井純教授の基調講演やJPNIC、JPCERT/CCなどインターネット関連団体の活動報告、パネルディスカッションなどを行なった。このうち、村井純氏の基調講演では、9月の米連続テロ事件発生時にニューヨークの空港にいた村井氏の体験を交えながら、国際政治や政府とインターネットの関わり方を論じる内容となった。
村井氏はテロ事件発生時、ICANNのウルグアイ総会に出席した後の帰国途中でニューヨークの空港に滞在しており、その後3日間ニューヨークに閉じ込められ、「すべてのトラフィックが閉鎖、またキャンセルされた状態」(村井氏)を体験した。その際、ある国の政府関係者から「(インターネットの)トラフィックが米国から遮断された場合はどうなるか?」という問い合わせを受けたという。またテロ事件発生後の米国「パトリオット法」(電話やインターネットなどの通信内容の傍受容認を含む反テロリズム法、ただし4年間の時限立法)の成立、トラフィックの監視・盗聴などを政府や軍から求められた場合はどうすべきかという問題、テロ事件以降に強まったインターネットセキュリティを懸念し“インターネットは政府のものだ”とする動き、“インターネットは13のルートネームサーバーを攻撃すれば止まる”という報道などに触れたうえで、11月に米国で開催されたICANNの総会について報告した。
この総会は、テロ事件の影響でテーマを「インターネットの安定性とセキュリティ」に急遽変更した経緯があり、インターネットセキュリティやサイバーテロの不安を懸念するメディアや各国政府などに対して、「インターネットの安全性・セキュリティ・分散性について、ICANNなどインターネットコミュニティでしっかりやっているから大丈夫」(村井氏)と納得させる必要があったという。総会では、ICANNが「13の地理的ルートネームサーバーを持ち、12の独立組織で構成し、13の異なった、かつ強く相互に結びついた団体で運用している」(村井氏)点や、ルートDNSのオペレーションにおいて、パックアップや冗長性、安全性の確保に努めている点などを解説した。また日本の小坂総務副大臣が基調講演に登場し、「世界の経済はインターネットに依存していることを認識するべき」「ICANNのコミュニティ・コンセンサスを強く支持し、各国とも同じ行動をとるべき」と、ICANNを支持する姿勢を打ち出したことを明らかにした。
村井氏はまとめとして、「インターネットの上で行なっているどのオペレーションもグローバルインターネットの一部と言える。自立・分散・協調を個別のオペレーションでも行なうことが、セキュリティを高めることになる」と、ネットワーク技術者がグローバル社会へ関わっているという意識を持つ必要性について述べた。また「インターネットが政府に取り込まれるのではないか?」という質問については、政府はインターネットの技術や仕組み、重要性を理解したうえでサポートを行なうべき。そこにはインターネットコミュニティ(ネットワーク技術者)側から政府や行政に対して、構造や仕組みを理解してもらうためのアプローチも必要」(村井氏)と回答した。
なお、ICANN総会の模様は12月上旬に開催予定の報告会で詳しくレポートする予定という。また「IP Meeting 2001」のなかで、2002年7月にIETFの総会をアジア地域で初めて横浜で開催することも発表した。
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■JPNICら、モンテビデオで開催されたICANN総会の内容を報告
(2001/12/5)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]