【業界動向】

ネットオークションへの法規制が閣議決定~オークション事業者は反発

■URL
http://www.npa.go.jp/safetylife/index.htm (警察庁生活安全局)

 インターネットオークションに対する規制内容を加えた「古物営業法」の改正案が、15日に閣議決定した。改正案の提出は2月に警察庁生活安全局が発表していた。

 古物営業法は、古物売買業者の規制を目的に設けられた法律。今回はインターネットオークションを利用した盗品売買などが増加する傾向にあることを考慮しての改正案提出となった。改正案では、インターネットオークション事業者を届出制とする、盗品の疑いのある出品物を発見した場合の通報を義務づける、盗品の疑いの強い出品物に対し警察本部長がオークションの中止命令を出せる、命令違反の場合6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を化すといった規定を設けている。また出品者・落札者などの記録保存を求める努力規定や、優良業者の認定制度および適合マーク発行などの項目も盛り込んでいる。今後は今国会での成立と、早ければ来春からの施行を目指すという。

 一方、この改正案について、インターネットオークション事業者から反発の声があがっている。2月8日に警察庁が改正案提出および概要を発表した時点では、オークション事業者は概ね歓迎の意向を示していた。ところが、その後に改正案の全文が明らかになったところ、これが波紋を呼んでいる。

 閣議決定に先駆け、ヤフー(Yahoo!オークションを運営、以下同)、楽天(楽天市場)、ディー・エヌ・エー(BIDDERS)の3大オークション事業者は、3月13日に連名で警察庁に要請書を提出している。要請書では、古物営業法改正の趣旨については賛同しているが、現状の改正案ではインターネット事業者としての懸念点が払拭されていないとして、“「古物競りあつせん業」という表現の変更”“警察本部長からの命令は文書で通達する”“盗品照会の報告義務の削除”“法令や通達の制定・改廃において、事業者の意見を反映する”……の項目について検討および回答を求めている。

 特に問題となっているのは、条文においてインターネットオークション事業者を示す言葉として、「古物競りあつせん業」という表記が使われている点だ。3社は“インターネットオークションのやりとりはあくまで個人同士のもので、オークション事業者はプラットフォームを提供しているだけ。個人間の取引をあっせんする場では決してなく、むしろ個人広告掲載の場といえる”との立場を表明。もしインターネットオークションがあっせん業と定義された場合、広い意味ではオンラインショッピングなどもあっせん業に含まれる恐れもあるという。「古物競りあつせん業」という表記が変更されなかった場合、ここにインターネットオークション事業者は適用されないという主張から、認定制度の申請を拒否することも辞さないとしている。その他の項目は、施行された場合、インターネット事業者に対し過度の負担が予想される点について指摘した形となる。

 ヤフーはこの改正案の検討組織である「セキュリティシステム研究会」にオークション事業者として参加していた経緯もあり、これ以前に単独で2回意見書を出していたが、充分な回答が得られなかったため、競合3社の連名による異例の要請書提出となった。現在は警察庁からの書面回答を待っている状況といい、今後の動向が注目される。

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(2002/3/15)

[Reported by aoki-m@impress.co.jp]


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