【裁判】

米国で「児童インターネット保護法」の違憲性訴訟~25日に審理開始

■URL
http://www.aclu.org/court/CIPA_Intro.html

 米国の公立図書館にインターネットのフィルタリングソフトの導入を義務づける「児童インターネット保護法」(CIPA)について、米国憲法で保証された言論の自由を侵害するものとして違憲性を問う裁判の審理が25日、フィラデルフィア州の連邦地裁で開始される。原告を代表する米市民自由連盟(ACLU)が明らかにした。CIPAは2000年12月に議会で可決した法律。今回の訴訟では控訴裁判所が陪審員を任命しており、判決に不服があれば最高裁判所で直接争われることになる。

 原告側には、オレゴン州ポートランドやメイン州ポートランドの公立図書館、図書館でインターネットを利用しているフィラデルフィア州在住の15歳の少女と叔母、Webサイトへのアクセスを阻止された「Planetout.com」の運営者などが含まれている。

 現在、米国の1万6,000カ所以上の公立図書館のうち95%がインターネット接続を提供している。CIPAは、特定の国家プログラムに参加する図書館に対し、あらゆるインターネット接続端末に「技術保護基準」を設置するよう義務づけている。同法ではその基準として、市販ソフトの「CyberPatrol」や「WebSense」などの「インターネット接続をブロックまたはフィルタリングする特殊技術」と規定している。

 同法に対し、原告側は、合法的に保護された言論の伝達や利用を妨げたり、言論への制限を強要する法律であり、言論の自由を保証した米国憲法修正第1条を侵害するものだと訴えている。また、同法が推奨するフィルタリングソフトが、「猥褻な児童ポルノ」や「未成年に有害なコンテンツ」のみをブロックするだけでなく、原告側のオンライン医療アドバイスサイト「AfraidToAsk.com」といった、同法が対象としていないサイトまでもブロックすると批判している。

 米国では、インターネットの有害情報を一律に禁止した「通信品位法」(CDA)が、1997年に最高裁判所で違憲判決を下されている。さらに1999年に成立した、児童をインターネットの有害情報から保護するための法律「児童オンライン保護法」(COPA)についても、一審、二審で同法の施行を延期する判決が下され、現在最高裁で係争中。今回の訴訟は、インターネットにおける「言論の自由」か「有害情報からの保護」かを巡る3件目の訴訟となるため、CIPAについて司法がどのような判断を下すのか、訴訟の行方が注目されている。

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(2002/3/25)

[Reported by hiro@nakajima-gumi.net]


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