【業界動向】

BIGLOBE、2002年度の戦略は“量から質へ”~iモードとの連携強化など

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 BIGLOBEは10日、2001年度の総括と2002年度の戦略について発表した。今後、BIGLOBEは、コンテンツのみならず会員に関しても“量から質へ”と体質を変えていく。

 2001年度のBIGLOBEは、会員数1,000万人(付加価値サービス会員も含む)を突破し、収益も黒字となった。広告展開に関しては、@niftyや、So-net、Panasonic hi-ho、OCNと5社連合を組み、うち4社とは動画広告の試行を行ない、ユーザーカバー率でYahoo!JAPANと同じ69%を達成した。芳山憲治執行役員常務は、「5社連合は、Yahoo!JAPANの一人勝ちを止めたいと組まれたもの」と語り、狙いが的中した格好だ。また、セキュリティ面にも注力し、プライバシーマークの取得、個人情報取扱業務登録、国内ISPとして最初にW3Cが定めたプライバシー保護国際標準規格「P3P」に対応した。

 法人向けのサービス展開として、ASPサービス「ユア・インターネット」も好調だった。マネージド・データセンターやセキュリティサービスといったレディーメイドのシステムを組み合わせることで、企業にSCMやCRMシステムの早期導入が達成された。早稲田大学に導入した「メール&統合情報システム」では、学内イントラネットと学生向けのインターネットサービスを組み合わせることで、ユーザー数が6万人から50万人へと増加した。

 現在、BIGLOBEでは全国に6つのインターネットデータセンター(iDC)を構築し、運用監視の統合化やロードバランシングを重視した「バーチャルiDC」を構築している。データセンター事業のセキュリティに関しても、ISMS適合性評価制度のパイロット認証を取得し、「おかげで仕事が次から次に舞い込んでくる状態」(芳山氏)だという。

●2002年度の事業戦略


芳山憲治
執行役員常務

 BIGLOBEの2002年度の戦略として、大きく4つの柱が示された。まず、「パーソナルとビジネスを両輪とした事業の展開」として、法人ユーザーのシステム運用設計からBIGLOBEが請け負い、企業が既に持っている顧客コミュニティをオンラインに対応させる。このように構築された会員データベースからデータマイニングやリサーチなどを行ない、新たな価値を創造していくのだ。

 次に、「価格競争から価値競争へのシフト」として、会員数重視の従来の価格競争から、顧客単価の向上につながる「プレミア会員」、さらには「ロイヤリティ会員」へと“質”を重視した展開を行なう。芳山氏は、消費行動の二極化について「人々は、コモディティ(生活必需品)は安く買いたいし、価値あるものには金を惜しまない。この構造はインターネットコンテンツにも当てはまる」と分析し、「例えば、300円のコンテンツを100万人の会員に提供しても、3,000円のコンテンツを10万人の会員に提供しても、3億円の売上になる。これからは、会員の質を高めたい」という。

 三番目の柱として、「パーソナルソリューションの展開」が挙げられた。「NECは、携帯電話分野およびPC分野で1位であり、BIGLOBEもISP業界2位。これがスクラムを組んで個人向けサービスを提供すれば、国内ナンバーワンサービスになる」として、ユーザーに対して統一的価値の提供を目指す。その一例として、NEC製のiモード端末を利用しているユーザーが簡単にBIGLOBE会員になれるような流れを作るといった、ユビキタス時代への対応などが挙げられた。

 最後に、「メガコンソーシアムの形成」として、他のISPと協力して水平分業による相互乗り入れなどを目指す。これは、すべてのシステム、サービスをBIGLOBEだけでまかなうことは難しいことから、VoIPやインスタントメッセージ、ポイント制度などのサービスを他社会員も含めて相互に利用できるような取り組みだ。ただし、具体的な展開については、現時点では明かされなかった。

 芳山氏は、メガコンソーシアム構想のブロードバンドの部分に触れ、「エンド-エンドの保証もなく、収容局からユーザー宅まで一定距離が離れてしまうと急激に減速してしまうADSLはブロードバンドだと思っていない。また、収容局を増やしてローカル展開するビジネスモデルは、CATVが失敗している」として、「メガコンソーシアムを組んで地上波TV局のネットワーク網のような大規模ブロードバンド網を構築したい。その上でリッチコンテンツを展開する。極論的には、リッチコンテンツ事業だけで収益があがるようになれば、ISP事業は必要なくなってくるかもしれない」と語った。

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(2002/4/10)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

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