米市場調査会社Odysseyが15日に発表した調査結果によると、米国の16歳以上のインターネット利用者のうち31%が「ここ6ヶ月以内に音楽をダウンロードあるいは転送したことがあり、週に11回の割合で行なっている」ことが明らかになった。これは米国インターネット利用者の4,000万人に相当する人数だ。
調査によると、30歳以下のインターネット利用者では53%が音楽ファイルをダウンロードあるいは転送しており、若者だけでなく大人もこうした活動に携わっていることも明らかになっている。実際に30歳以上の20%が、そして45歳以上の14%が6ヶ月以内に音楽をダウンロードあるいは転送していたという。デジタル音楽は年齢が上の世代にも浸透しつつあり、音楽のダウンロードが大衆化している傾向が浮き彫りとなった。
調査報告ではこうした音楽ファイルのダウンロードが音楽業界の売り上げに与える影響も指摘している。今週発表されるレコード業界の調査では、音楽の売り上げが昨年に比べて10%(330億ドル)減少し、レコード業界で史上最悪の下落となっている。また最近の米レコード協会(RIAA)の発表では、米国内の音楽出荷枚数が昨年に比べて10%近く下落していることも明らかになっている。Odysseyではこれら下落の理由にはさまざまな要素が関係していることを指摘しつつ、デジタル音楽の普及が大きな役割を果たしたと推測している。
こうした問題に対処するため音楽業界は「MusicNet」や「pressplay」など独自のオンライン音楽サービスを始めているが、これについてOdysseyのSean Baenen氏は「今日のデジタル音楽サービスは業界の問題を解決するために作られたものであり、消費者のニーズにこたえるものではない」と指摘した。消費者は音楽をミックスしたり、自分の好きな音楽をCDに焼いたりすることを望んでいる傾向が明らかになっている。例えば米国のCD-ROMドライブ保有世帯のうち、CDやそれ以外の音源からハードディスクに音楽をコピーしたことのある世帯は50%、自分の保有している音楽CDから好きな曲を新たなCDに焼いた経験のある世帯は54%に上る。
こうした調査をもとにOdysseyではレコード業界が顧客のニーズに合ったサービスを開始する必要性を訴えている。Odysseyのデータでは、自分の好きな楽曲をダウンロードして自分の好きなフォーマットのCDに焼くことができるようなサービスに対して米国世帯の60%が興味を示していることを指摘、こうしたサービスが必要であると主張している。
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(2002/4/16)
[Reported by taiga@scientist.com]