Web広告研究会の岩城メディア委員長
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Web広告研究会は広告主企業(テレビや新聞などで広告を展開しているクライアント企業)が主体の広告研究団体。今回は研究会のワーキンググループで、メディアコミュニケーション力の調査やメディアミックスによる効果を研究する「メディア委員会」の活動を中心に、報告と今後の展開を発表した。
セミナーでは、Web広告研究会・メディア委員長の岩城陸奥氏がプレゼンテーションを行ない、「オーディエンス(ユーザー)が広告主の期待と異なる情報接触回路を持っている」と発言。これまでは媒体別に広告がユーザーに届く形が多く、4マス媒体(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞)広告にWeb広告を加えることでプラス効果は得られていた。今後はユーザーがさまざまな媒体広告とWeb広告に触れられる体制、いわば「すべてにリーチできる体制」(岩城氏)を作ることで、マス広告とWeb広告の組み合わせが高い相乗効果を生み出せるという。その相乗効果を生み出すために、インターネットを含めてどの媒体にどういった広告を打ち出したらよいかの目安となる指標、すなわち“メディアミックス広告モデル”つくりを、同委員会で進めていくという。
またメディア委員会では、今年の1~2月にオンラインとオフラインの双方で「メディアミックス調査」を展開、今回その結果も発表した。ヤフーリサーチによるオンライン調査(1,124サンプル)と、郵送留置調査方式によるオフライン調査(252サンプル)で、テレビ・ラジオ・新聞・雑誌・屋外・ネットの各媒体およびその広告に対して、接触頻度や受ける印象などをまとめたものだ。
この調査の「媒体に対する評価」では、オンライン調査の場合、評価の高い順からインターネット(100点満点で31.29点、以下同)、テレビ(29.62点)、新聞(17.13点)、雑誌(12.89点)。オフライン調査ではテレビ(26.10点)、新聞(12.29点)、インターネット(6.53点)、雑誌(2.47点)。テレビはオンライン、オフライン双方で高く評価されているが、インターネットと雑誌の評価が分かれる形となった。結果によると、オフライン調査回答者のほうがテレビとラジオを“なくてはならない”存在と感じていたり、テレビの接触時間が長い傾向がある。一方オンライン調査回答者は“資料請求”や“参加応募”への意識が高く、また雑誌の評価が高い面があるが、新聞の速報性については非常に評価が低いという。なおインターネットについての評価では、年代が若くなるほど評価が高くなるほか、女性のほうが接触時間が少ないにも関わらず評価が高いといった面が見られた。
メディア委員会では、今後こうした調査を定点観測的に続けていくほか、企業に対する調査、およびWebやモバイルなどインターネット広告の手法別調査も展開する予定だ。こうした調査の結果をもとに、各媒体を共通の指標で評価し、最適広告効果を引き出すための基礎的なシミュレーションモデルの策定を目標としている。
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[Reported by aoki-m@impress.co.jp]