Web広告研究会のサイト
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Web広告研究会は、1999年4月に「日本広告主協会ディジタルメディア委員会」が母体となって発足した団体で、インターネット上の広告手法や広告効果、また企業サイト運営についての調査・研究を中心とした活動を行なっている。インターネット広告関連では「インターネット広告推進協議会」(以下JIAA)という団体があり、こちらが媒体や広告関連会社などが主体であるのに対し、Web広告研究会は広告主企業(テレビや新聞などで広告を展開しているクライアント企業)が主体という特徴がある。現在会員企業は176社にのぼる。
Web広告研究会では現在モバイル委員会、ブロードバンド委員会など9つの委員会に分かれ、セミナーなどを中心とした活動を展開している。インターネット広告というと最近は不況、不振といった話題が取り沙汰されることが多いが、研究会の代表幹事であるキリンビール株式会社の真野英明氏は、「決してそんなことはない」と断言する。「これまでは分母となる数字が低かったので。2倍3倍と成長しているように見えていた。2001年度も前年に比べ124.6%も増加しており、停滞しているわけではない。またマーケティングツールとして考えると、実際には今のインターネット広告費の3倍以上の額が使われているのでは。現在はそういう点が数字に換算されておらず、表面的に見えていない」(真野氏)と指摘。Web広告研究会の観点では「2001年度はむしろ一般クライアントは伸びているという認識があった」(同研究会事務局 水島久光氏)という。
こうしたインターネットの広告活動の現状を捉えるために、2001年夏に「広告主のWeb活用状況と意識調査」が実施された。日本広告主協会の会員約300社(有効回答90社)を対象に行なった調査で、企業のインターネット利用目的や手法などについてまとめたものだ。
調査によると、回答した90社はすべて自社サイトを保有しているが、その多くは企業紹介(94.4%)と商品紹介・宣伝(94.4%)。EC直販(オンラインショッピング)の展開は44.4%、リサーチは37.8%、また顧客組織化は47.8%と、いわばユーザーへの告知はできているが、相互交流(インタラクション)はこれからといった状態だ。インターネット広告の種別では、バナー広告は75.6%、テキストリンクは52.2%の企業がすでに実施している。これに対し、メール広告は48.9%、オプトインメールは37.8%と、まだ半数以下の企業しか行なっていない面がある。将来的には、バナー広告は減らし、メール広告やオプトインメールを増加したいという傾向が見られる。Web広告研究会では、「広告主がインターネット広告やWebサイト運営を理解し、使い分ける時期に来ている」(水島氏)と分析、今後はさらなる多様化が進むと予測している。
一方、2001年はブロードバンド広告が登場し、すでにさまざまなサイトで目にするようになっているが、「ブロードバンド広告=動画=コンテンツがない、という考えは止めてほしい」(真野氏)という。ブロードバンドの一番のメリットは広告を見せられる時間が増える点にあり、「必ずしも動画広告が主体ではない」(真野氏)からだ。ただ、テレビCM素材をWebで利用する場合を考慮し、テレビCMなどの制作時に権利クリアを最初から行なうよう、広告主企業に呼びかけてもいるという。
またインターネットを利用するようになって、テレビの視聴時間や新聞を読む時間が減っているといった状況については、「当面はテレビ・新聞のリーチ媒体(より多くの人に広告を見せられる媒体)としての価値は下がらないだろうし、ターゲッティングだと雑誌はやはり強い面がある。ただインターネット広告には、4大メディア広告(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の広告)に触れる機会の少ない人たちに、ターゲッティングで広告を見せられる利点がある。マルチメディア化が進むほど媒体力は落ちるので、インターネットを含めた各媒体のメディアミックスは不可欠。今後はデジタルメディアと各媒体のメディアミックスを、事例を含めて取り上げていきたい」(真野氏)としている。さらに「メディアミックスの場合、問題は各媒体で広告効果の指標が異なること。これについては併用する場合の手法などを、今後セミナーなどで発表していく」(水島氏)という。
なお「広告主のWeb活用状況と意識調査」の詳細や、ブロードバンド広告に関する実証実験などのデータは、Web広告研究会編「Webマーケティング年鑑2002」(インプレス刊)に収録されている。
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(2002/4/9)
[Reported by aoki-m@impress.co.jp]