【通信行政】

総務省、「プロバイダー責任法」で開示される発信者情報に対する考え方を公表

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http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020510_1.html

 総務省は10日、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(通称:プロバイダー責任法)」に関連して、プロバイダーが開示する発信者情報の項目に対する考え方を公表した。これは、4月25日まで行なっていた意見募集に基づくもの。

 プロバイダー責任法の第四条第一項では、インターネット上の情報によって自分の権利が侵害されたというユーザーからの要求に対して、特定電気通信役務提供者が該当情報の発信者に関する情報を開示できることを定めている。省令案では、開示情報は「氏名または名称」「住所」「電子メールアドレス」「IPアドレス」の4項目となっていた。意見が集中したのは、主に「電子メールアドレス」や「IPアドレス」に関する部分。

 株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)は、「電子メールアドレス」を省令に含めるべきではないとの意見を提出した。その理由として、「電子メールアドレスはIPアドレスとは異なり、特定電気通信において必然的に附帯する情報ではない」としている。これに対して総務省では、無料掲示板サービスを利用して掲示板を開設した者などは、該当書き込みを行なったユーザーの氏名や住所を通常保有していないが、メールアドレスを記録している場合があるとしている。

 「IPアドレス」に関しては、動的に割り当てられるIPアドレスについて、IPアドレス単体の情報では役に立たないという指摘が多かった。これに対して総務省では、「動的に割り当てらているIPアドレスについてはいわゆるタイムスタンプを含む」としており、省令の策定時には明確化するとコメントしている。

 米国政府からは、「身元特定データの一覧を総務省が発行する理由がない」と指摘された。その理由として、「侵害情報を掲載している『発信者』を特定するために有用であれば、権利保有者は役務提供者が保有しているいかなる情報も要求できるはずだ」としている。これに対して総務省では、「発信者情報がひとたび開示されれば原状回復は不可能」という立場から、「開示情報を必要最低限の範囲に限定するのが相当」としている。

 この他に多かった意見では、「電話番号やFAX番号の開示を含むべきだ」というものがあった。これに対して総務省では、「電話番号やFAX番号を保有している特定電気通信役務提供者は、通常は氏名および住所も保有している」として、開示情報の範囲限定の立場から「必要性は低い」としている。

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(2002/5/13)

[Reported by okada-d@impress.co.jp]

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