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ヤフー、下り最大12MbpsのADSLサービスの詳細を発表
~「イー・アクセスの小畑氏の言動は営業妨害に該当する」孫社長

■URL
http://bb.yahoo.co.jp/

「営業妨害だ」と憤る孫 正義社長

「カメレオンモデム」の外観。8M用と外観はほとんど変わらないが、自動切換えやBBフォンのモデム、スプリッターを兼任するなど、高性能となっている

 ビー・ビー・テクノロジー株式会社(以下、BBT)などは16日、先日発表した下り速度最大12MbpsのADSLサービス「Yahoo! BB 12M(以下、12Mサービス)」の詳細を発表した。12Mサービスは、既に7月1日より試験サービスが開始されており、8月1日より商用サービスを開始する予定。

 今回新たに発表されたのは、「新型モデム」、「費用や手続き方法」、「EC(エコーキャンセラー)などの新技術」、「Yahoo! BB 12Mの実証データ」などについて。

 12Mサービスは、新型モデムを採用し「Annex.A.ex」、「Annex.A」、「Annex.C」の規格をユーザーの回線状況にあわせて、自動的に切り替える点が特徴だ。BBTの孫 正義社長によると「3つの規格を、状況によって切り分けるところから、このモデムの開発コードを『カメレオン』と呼んでいた」とのこと。この新型モデムは、ADSLモデムとしての機能以外にも、BBフォンモデムやスプリッターとしての機能も持ちあわす。なお、このモデムは8Mタイプのサービスでも利用することが可能で、ユーザーが手動で任意の規格を選択することも可能だという。

 月額費用では、8Mのサービスと比較してADSLサービス料金が990円から1,190円に、モデムレンタル料が、690円から890円にそれぞれ200円づつ値上がりしている。従って、12Mサービスのモデムをレンタルした場合の月額料金は、8Mサービスより400円高い3,370円となる。初期費用は、8Mサービスと変わらず初期登録費用が無料のNTT契約料金が800円、NTT局舎内のジャンパー工事費が2,800円となる。また、商用サービスが始まった際の、8Mサービスから12Mサービスへの切り替え料金は、変更手数料が2,000円、NTT局舎内工事費が2,800円となっているので、計4,800円が必要だ。なお、8Mサービスで利用しているADSLモデムは、12Mサービスに対応していないので、8Mから12Mへサービスを変更する際には、ADSLモデムの物理的な変更をもってサービスの変更になるという。なお、新型モデムをレンタルではなく買取する場合は、4万2,720円(税別)となる。

 12Mサービスで新たに導入される技術として、「EC(エコーキャンセラー)技術」と「S=1/2技術」がある。8Mサービスで採用されていたFDM技術では、下りの使用帯域として138~1104KHz、上りで25~138KHzを使用していた。しかし、EC方式では、スペクトルオーバーラップによる周波数帯域を効率的に利用することにより、下りの使用帯域として25~1104KHzを使用し、上りで25~138KHzを使用していた。このように、減衰量の少ない低周波数帯である25~138KHzを利用することで、長距離化を図ることが可能になったという。また、S=1/2技術は、エラー訂正のパラメーターの最小値に2分の1を追加する手法。これにより、回線状況の良い環境では、速度が向上するというもの。これらの新技術は、国際基準ITU-T規格に準拠したものであり、今年の3月より始めた大口町の実証実験でも、全く問題は出ていないという。

 12Mサービスでは、大口町で実際に「Annex.A.ex」規格による実験で測定したリンク速度を発表した。これによると、局舎間距離が1km未満の近距離ユーザーの場合、4Mbps程度の速度向上が見られ、中距離においても平均1Mbpsの速度向上が見られたという。また、長距離に関しても最大7kmのユーザー宅でも通信が可能となったという。また、「Annex.A.ex」、「Annex.A」、「Annex.C」という3つの規格の相互干渉についても、大口町やラボ等で実験済みであり、全く問題ないとしている。

 Yahoo! BBの12Mサービスについては、7月12日に行なわれたイー・アクセスの勉強会にて、イー・アクセスのCTO小畑 至弘氏が「BBTが採用する規格『Annex.A.ex』は、他のADSL事業との干渉などの問題について十分な検証がないままにフィールド上で試験サービスを開始したのは問題である。実際に、TTC(情報通信技術委員会)による検討会では、当社が採用する『Annex.C.x』はISDN並の干渉レベルに押さえることができたが、BBTが採用する『Annex.A.ex』は、ISDNの3倍程度の干渉が発生する可能性があり、他のADSL事業社の回線に影響がでる恐れがある」と発言し、総務省へ書類提出した経緯がある。

 これに対して孫社長は、「『Annex.A.ex』は、国際基準であるITU-T規格に完全に沿った規格だ。このように、国際水準で認められた規格について問題があるというのは、おかしい。これは、まさに営業妨害だ。本日(16日)の午前中に、再抗議の形で総務省に書類を提出した」と発言した。また、他社へ干渉する問題についても「電話線内で、最も干渉するのは物理的に最も距離が近い自社が提供するサービスについてだ。実証データでも示した通り、『Annex.A.ex』において下りの帯域が上りの帯域を干渉しているデータはほとんど示されておらず、あったとしても微々たるものである。従って、自社のサービスに対してもほとんど影響がないのであるから、他社への影響はもっと少ないであろう。万が一、干渉が発生するのであれば、その回線に関しては、カメレオンモデムの特徴を活かして『Annex.A.ex』以外の規格に、BBT側が手動で切り替える可能性もある」と反論した。

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(2002/7/16)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]

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