【事業計画】

Amazon、第2四半期決算は売上が21%増加~営業利益も黒字化
~「ユーザーが欲しいと思っているものを全て提供することを目指す」Piacentini氏

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Amazon.comのSeniorVicePresident
Diego Piacentini氏

 米Amazon.comは23日、2002年度第2四半期の決算を発表した。これに伴い、アマゾン ジャパン株式会社は記者会見を開催し、Amazon.comのSeniorVicePresidentのDiego Piacentini氏が説明を行なった。

 決算発表によると、Amazon.comの純売上は8億600万ドルで前年同期の6億6,800万ドルと比較して21%の売上増となった。これに伴い、営業利益は前年同期の1億4,000万ドルの損失から100万ドルの利益となり、黒字化を達成した。また、これを受けて今後の売上見込みを15%増から18%増へと上方修正している。

 この好調の要因としてDiego Piacentini氏は、「今回の売上増の最大の要因は、値下げ効果と、選択肢の増加だ。米国では、繰り返し値下げを行なっており、これは書籍以外のCDやDVDなどにも及んでいる。日本においても、Virginとの提携を今年中にも開始し、さらに書籍以外の売上増を目指している。また、日本で実施した配送無料サービスは、アメリカでも採用されており、とても役に立った」と語った。

 また、米国以外の業績についても、「現在、米国以外にも英、独、加、日本など5カ国でWebサイトを開いているが、これらの売上も70%増の2億1,800万ドルとなっている。中でも、日本の成長は凄まじく、現在、米、英、独に続いて4位だが、将来的にはGDPから考えても2位になると予測している」とした。また、米国以外の売上も好調なため、同社ではアジアへの進出やアパレル分野の取扱いなども視野に入れているという。特に、アジア進出に関しては、「進出は、時間の問題で100%確実だ。現在は、何時、どうやって進出するかを検討している段階となっている」(Piacentini氏)と語った。

Amazon.comの成長サイクル
選択肢や低価格が顧客満足を満たしている
アマゾン ジャパン社長
Jasper Cheung氏

 このように、書籍以外の分野への進出による多角化と値下げが販売増をもたらしたということだが、日本ではどうなのだろうか。Piacentini氏に聞いてみた。「日本においても、DVDやゲーム、アニメなど多くのジャンルの提供を始めた。特に、CDでは近いうちにヴァージンメガストアのホスティングも開始する。これによって、総売上に占める書籍の割合が減ることはとても良いことだ。我々は、ユーザーが欲しいと思っているものを全て提供することを目指している。従って、今後も提供ジャンルは増えていくだろう。また、これによって書籍の売上自体が減っているかというとそんなことはなく、パーセンテージでは下がるものの、米国では書籍の売上高自体は20%成長している」と、多角化への意欲を示した。しかし、商品やジャンルが増えることによって、利便性が低下する可能性がある。これに対応するために、Amazonでは検索エンジン技術などへの投資を増やしており、「業界最高水準」のものだと自負しているという。現に、AOLがAmazonの技術を評価しており、技術の提供を希望しているという。また、「3~4年後には、よりグラフィカルで感覚的に操作できるユーザーインターフェイスが登場するだろう」(Piacentini氏)としている。

 一方、もう1つの要因としてある「値下げ」についてだが、日本独特の販売方法として再販制度というものがあり、定価以下で書籍を販売することは難しい。この点について同氏は「日本においても、洋書に関しては値引き販売を行なっているし、一番安く提供している自信がある。しかし、和書に関しては再販制度があり、割引販売ができないのは事実だ。Amazonでは、これを壊すつもりはない。割引できない代わりに、送料無料などのサービスを提供している。また、ゲームなどにおいては割引を行なっており、ユーザーの期待に応えられるはずだ。このような理由からも、書籍以外のジャンルにおける戦略が重要となってくる」と語った。

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(2002/7/24)

[Reported by otsu-j@impress.co.jp]

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