【業界動向 / 特許】

JPEG特許の解釈に異議あり
~独ベルリン工科大学教授とJPEG委員会独支部

■URL
http://www.algovision-luratech.de/company/news/statement_seiler_jung_de.pdf
http://www.math.tu-berlin.de/~seiler/
http://www.jpeg.org/
http://www.corporate-ir.net/ireye/ir_site.zhtml?ticker=FORG&script=410&layout=-6&item_id=314044 (Forgentのリリース)

 7月に米Forgent Networksが画像圧縮技術「JPEG」に関し基本特許の独占的ライセンスを主張して、全世界に打って出たことを受け、各地で積極的または消極的対策に応じるところが出てきたが、独では、画像処理技術の第一人者とJPEG委員会の独委員とが共同で「米特許はJPEG技術とは無関係で、JPEGは特許を侵害しない」という見解を出している。

 今回問題となっている米国特許第4,698,672号は、Forgent傘下のCompressionLabsが保有しており、1986年に出願され1987年10月には早くも特許となった。米国の改正前の法律が適用されるので、有効期間は2004年10月までとなっている。欧州では、EP特許が独仏英イタリアを指定国としてほぼ同様の内容で特許が成立している。

 Forgentは、この特許がJPEGの画像圧縮技術も含む内容であり、その独占的ライセンスを持つとして、JPEG技術を利用する各企業に対して、ライセンス料の支払いを求める活動を行なうことを明らかにしていた。ライセンスには、デジタルカメラ、端末などほとんどすべての内容がカバーされているという。これに対して、ソニーはライセンス契約に合意したとしている。

 このような流れの中、独では、画像処理技術の研究者であるRuedi Seilerベルリン工科大学教授と、JPEG委員会の独委員Klaus Jung博士が共同で声明を発表した。その中で「技術的に純粋に解釈すると、JPEG技術は米国特許第4,698,672号に抵触しない」との見解を示した。理由としては、特許が主にビデオ画像の圧縮処理に関連する可能性が高く、静止画には関連がないことや、そもそも特許には先行技術があり無効理由があるから有効ではないということを挙げている。

 世の中に広く普及した技術に対して特許を“発掘”して権利を主張する例はIT業界では珍しい例ではない。例えば、British Telecom(BT)の「ハイパーリンク特許」などでは、最近BT側が敗訴したことが記憶に新しい。同じ画像処理技術では、GIFに対してUnisysが権利を主張したことも知られている。WWWなどにも特許があったという話もあり、死蔵特許を活用して一つのビジネスとする風潮さえ米国にはあるが、今回の独での動きは欧州で根強い「ソフトウェア特許は認められるべきでない」という動きに合致する。

◎関連記事
米企業がJPEGの特許ライセンスを主張~ソニーが支払いに応じる (PC Watch)
英BTがハイパーリンクの基本特許を行使、米Prodigyを提訴
集中企画 GIFライセンス問題についてわかるページ

(2002/8/30)

[Reported by Gana Hiyoshi]

ほかの記事はこちらから

INTERNET Watch編集部internet-watch-info@impress.co.jp
Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.