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【N+I 98 Tokyoレポート】

「Networld+Interop 98 Tokyo」展示会レポート(3日目)


■「Voice Over IP」インターネット電話システムの展示が目立つ

アセンド 展示会場内、特にホール1~3辺りで「Voice Over IP(VoIP)」という表示を目にした人も多いのではないだろうか。VoIPとは、IP(Internet Protocol)上で音声(Voice)データの通信を行なうこと。つまりは、インターネット、イントラネット電話を可能にする技術だ。
 会場では、10社以上の企業がVoIPの展示スペースを設けていた。また、実際に電話をかけられるデモを行なっているブースも複数あった。
 アセンドコミュニケーションズジャパン株式会社のブースでは、アクセスサーバー「MAX 6000」にVoIP機能を搭載した機種を展示。ブース内には電話ボックスを設け実際に音声を確認できるデモを行なっていた。隣接したブースの日本ルーセントテクノロジー株式会社では、プロバイダー向けの「インターネット・テレフォニーサーバーSP」を展示しており、同じく電話機を使ったデモを実施している。

 以上は、主にインターネット電話サービスを提供するプロバイダーを対象とした製品であるが、企業向けのVoIPシステムも目立っていた。LAN上に電話機能を統合するというもので、離れた本店支店間に設置すれば通信費が削減できることや既存のPBXなどの装置をそのまま利用できるというのがウリだ。主なイントラネット電話システムの出展としては、横河ディジタルコンピュータ株式会社の「ふぉんザねっと」、日本電信電話株式会社の「VocaLink」沖電気工業株式会社の「BS 1200」などがあった。
 ほかには、スリーコム株式会社の「Total Control」や日本シスコシステムズの「Cisco3600」など従来製品をVoIP対応にするモジュールなどが展示されていた。

 このように、各社からVoIP関連製品の出展が増加したことについては、インターネットを経由した音声通信の品質が全体的に向上したことがあげられる。関係者によると、音声品質の向上のほか、遅延の解消など技術が向上し、VoIPが実用に耐えうるものになっているという。また、企業からの引き合いも増えているとのこと。企業において、VoIPは実験的な段階からより実用的な段階へと進んできたと言えるだろう。


■MPEG4対応のビデオストリーミングシステム
http://www2.toshiba.co.jp/mmotion/

 東芝のブースでは、6月2日に発表されたばかりのMPEG4を採用したビデオストリーミングシステム「MobileMotion」が展示されていた。MPEG4は年内に標準化される見込みのため、現在はまだMPEG4「準拠」バージョンでの発表となっている。

 MobileMotionでは、6~384kbpsのデータ伝送により1秒間に30フレームまで、128×96~352×288ドットの表示が可能。音声はステレオで20kbps、モノラルで6.4、8、16kbpsの各レートに対応している。低速回線でも再生でき、エラー耐性にも優れているためモバイル端末での使用にも適しているという。また、他のストリーミング技術に比べて、文字が見やすくなっているということだ。

 MobileMotionは、ネットワーク対応の再生ソフト「Viewer」、ローカルコンテンツ対応の「Player」、MPEG4コンテンツ制作用の「EasyProducer」および「Producer」などから構成される。それぞれ、Windows95/NT4.0に対応している。このうちViewerは無償配布され、RealPlayerやVDOLiveと同じ感覚で利用できる。これに対し、Playerはイントラネットなどでの使用を前提としたソフトとなる。EasyProducerでは、ソフトだけでエンコードができるため、外出先のノートパソコンでMPEG4ムービーを作成することも可能だ。Producerは、これにMPEG4形式のファイルを編集する機能などを追加したものだ。なお、配信用のサーバーもソフトウェアだけで構築できる。


■ホームページ自動閲覧ソフト「SiteCruise/Personal」
http://www.incx.nec.co.jp/sitecruise/personal/

 NECのブースでは、閲覧したいURLと表示方法を指定することにより、ホームページを自動閲覧できる「SiteCruise/Personal」を紹介していた。ページめくりやスクロールも自動で行なうよう設定できる。「シナリオ」データを友人に渡すことで、ホームページを紙芝居のように見てもらうことも可能だ。

 このSiteCruise自体は、すでにサーバー用のシステムとして発売されていたもので、シナリオの再生に使う「BrowserManager」が無償配布されていた。今回新たに、パソコンでシナリオを作成するための「SenarioEditor」が登場。これら二つのソフトをSiteCruise/Personalとしてパッケージし、3,800円で発売する。サーバー用CGIプログラムも無償配布されるので、自分のホームページから「紙芝居」を見せることも可能だ。Windows95/NT4.0対応。現在、ホームページよりβ版のダウンロードが可能だ。


■インターネットで身近になる衛星通信
http://www.directint.net/ (ダイレクトインターネット)
http://www.iodata.co.jp/ (アイ・オー・データ)

 通信衛星を使ったインターネット接続の展示もいくつか見られた。その中からコンシューマー向けのものを二つ紹介する。
 ダイレクトインターネットのブースでは、DirecPCを利用した「サッとネット」サービスを紹介。このサービスを利用することで、400kbpsでのデータ受信が可能なる。例えばIE4.0のフルスペック版(26MB)をダウンロードした場合、ISDN(128kbps)で27分以上かかるところが、9分弱で完了するというからかなり高速だ。サービス開始時に必要となる受信アンテナとアダプターカード、専用ソフトをパッケージした「DirecPC AccessKit」も6月1日より4万9,800円に値下げされている。現時点ではデータのダウンロードが主な用途で今一つ魅力に欠けるきらいはあるが、今後、ビデオオンデマンド形式の映像コンテンツなどが出てくれば、より魅力的なサービスとなるだろう。

 一方、アイ・オー・データのブースでは、SKYPerfecPC!用の受信ボード「SR-SPPC/PCI」を展示。PCIバスを搭載したWindows95マシンで使用できる。3万5,000円で6月中に発売予定だ。また、SKYPerfecPC!とSKYPerfecTV!を両方受信できるボードも展示されていたが、こちらは8月発売予定とのことだ。


■S/MIME、カラー原稿対応のインターネットFAX
http://www.panafax.co.jp/

 松下電送システムのブースでは、5月に発売されたインターネットFAX「FreePortI SP-100」のほか、新たに2機種のインターネットFAXが展示されていた。
 S/MIME対応インターネットFAXは、S/MIMEバージョン2に準拠したプロトコルを組み込むことにより、セキュリティ面を強化している。暗号化や電子署名などにより、インターネットFAXでも重要な書類を安全にやりとりできるようにしている。
 もう一方は、カラー原稿の送受信が可能なカラーインターネットFAX。A4サイズ/300dpi/26万色をサポートしている。送信された原稿は、あらかじめ設定されたWWWサーバーに保存され、送信先にはカラー原稿を送信したことを伝えるメールを送信する。相手がカラーインターネットFAXであれば自動的に原稿をダウンロードし、送信相手が同等の機種を持っていない場合は、メールで指定されたURLにパソコンからアクセスすることで、サーバーに保管されたカラー原稿を見ることができる。
 ただし、これら2機種はいずれも参考出展ということで、今のところ発売の予定はないということだ。


■ソニー、自動追尾機能付きのインターネット中継用カメラをデモ

 ソニー株式会社のブースでは、自動追尾機能付きのインターネット中継用カメラのデモが行なわれた。これは、自動追尾機能付きカメラ「EVI-D30/D31」と専用のコントロールソフト「パノラマソフト」を、インターネットカメラ用に応用したシステムで、WWWブラウザーからカメラをコントロールすることが可能だ。
 「EVI-D30/D31」による自動追尾のデモは、'96年の「N+I」でも行なわれていたが、今回はパノラマ画像モードやJavaアプレットのファイアーウォール通過など新機能が追加されている。なお、システムは参考出品で製品化については現在検討中とのこと。



■三菱電機が指紋によるWWWアクセスシステムを参考出展

 三菱電機株式会社は、WWWサーバーへのアクセスするときのユーザー認証を「指紋」照合で行なうシステムを参考出展した。
 指紋照合装置に指を置くと、認証クライアントが指紋情報を取得する。その情報を指紋認証サーバーの個人情報データベースに照会し、合致するとアクセスが許されるというしくみだ。1台の指紋認証サーバーで複数のWWWサーバーに対して個人認証サービスを提供できるほか、人事情報や経理情報などへのアクセスを役職によって設定することも可能とのこと。


■ネットスケープ、出展なくても宣伝効果抜群!

 今回の「N+I」では、ネットスケープ社の出展がなかった。実は伊藤忠テクノサイエンスのブースにネットスケープ社製品の小さなコーナーがあるのだが、周りのにぎやかなブースに紛れ、なかなか発見するのも難しい。
 しかし、会場では「Netscape SuiteSpot」のロゴの入った袋をもっている人がやたらに目につくのだ。
 実は、ホール1の登録コーナーで「Netscape SuiteSpot」の袋が来場者に配られていた。派手はデモはなくても、「ネットスケープ健在!」をアピールするには十分な作戦のようだ。
 
('98/6/6)

[Reported by okiyama@impress.co.jp / nagasawa@impress.co.jp]

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ウォッチ編集部INTERNET Watch担当internet-watch-info@impress.co.jp