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http://www.ibm.co.jp/event/sougou98/
幕張メッセにて開催されている「IBM総合フェア'98」。2日目の基調講演には米国大統領政策立案担当上級顧問Ira Magaziner氏が登場した。
Ira Magaziner氏は、クリントン米大統領の側近。インターネット政策の担当者としてその政策決定に大きな役割を果たしている人物だ。講演は「インターネットが拓く未来の扉(The Future of the Internet)」をテーマに開始された。
「インターネットが米国経済の駆動力になっていくと思う」。Magaziner氏は、現時点で、すでにインターネットによる経済活動が米国経済において重要なものになっているとし、「インターネット人口が10億を越えるのは、これから10年かからないだろう」と今後を予測した。インターネットが経済に大きな影響を及ぼす要因として、インターネットを利用した「企業対企業」の取引が経済分野すべてにおいて行なわれ始めたこと、航空券の販売やオンラインバンキングなどデジタルネットワークを使ったサービスが普及してきたこと、また、広告媒体としての認識が高まってきたことなどを挙げている。これらのことは「産業革命より大きな変革をもたらすものだ」としている。
しかし、それらの変革を受け止めるには「環境を整えることが重要だ」として米国政府の姿勢を語った。「米国は最初インターネットを恐れていた。課税も含めて規制の対象と考えていた」「電気通信においては企業が独占的であったが故に規制の対象となったが、インターネットは『市場』であり規制の対象ではない」として「政策は技術的に中立でなくてはならない。また、(インターネットは)分散しているので中央から政府がコントロールしようとしても不可能。政府が音頭を取るのではなく民間企業が主導を取っていくべきだ」と語った。
'98年5月、世界貿易機関(WTO)閣僚会議において電子商取引への非関税措置が採択された(本誌'98年5月20日号、'98年7月28日号参照)。これに関連してMagaziner氏は「インターネットの成長を妨げる課税はしない。インターネットに関税をかけてはいけないのだ」として、当面'99年まで継続するとされている非関税措置を「恒久的なものにしたい」と語った。また「長期的に税収を得るには、経済の発展が大切。そこで重要になるのがインターネットの成長だ」としている。
最後にMagaziner氏は「(インターネットは)これからどうなるかわからない。しかし、将来的に多大な可能性があることはわかっている。企業も政府もいち早くそのスピードに対応していくことが重要である。我々は常にディスカッションを重ねていかなければならない」と語り講演を終えた。
('98/9/17)
[Reported by okiyama@impress.co.jp]